雪の滝道を歩く・・・ コリャ コリャ!
今朝、家の窓から箕面の山を見ると 全山真っ白 で ビックリでした。
まだ小雪が降り続いているので、今日はどうしようかな・・・?
何しろ先日は雪の装備不十分でさんざん反省した後ですから・・・
それに、まだ雪仕様の靴もウエアーなども用意していませんから・・・
迷います。
いくら低山の箕面の森とはいえ、自然の脅威を知ってしまうと ここは慎重に
ブレーキをかけて・・・今日は安全な箕面大滝までをノンビリと歩く事にしま
した。
滝道の 「母を背負う・・・」 銅像にも雪が積もり、背負う笹川良一像も
心なしか重そうに感じます。
明治時代の古い橋本亭が建つ一の橋の袂から箕面川を見下ろすと、雪を
抱いた小岩の間からサラサラと清らかな流れがありました。
その先では、いつも見られるカワムツなど川魚の姿が見えません・・・
やはり、凍てつく冷たい谷川の水ですから・・・
こんな時、一体どこに隠れているのでしょうか・・・?
瀧安寺の前の芝生広場も一面真っ白の雪で埋まり、一組の子供連れが楽し
そうに雪だるまを作って遊んでいます・・・
今日はやはりカメラを担いだ方が多く見られます・・・
雪に覆われた箕面の森は、まさに絵になる絶景があちらこちらで見られ
ますから、シャッターチャンス日でカメラマンは大忙しの様子です。
山本コーヒー店から箕面川を渡り、南側の山道に入ります・・・
アスファルトの滝道と違い、土の山道なのでぬかるんでいるかな・・・ と 思い
きや、深く積もった雪でゴロ岩が隠れて逆に歩きやすいほどです。
ザクザクと歩くたびに雪の音がしていいものです・・・
真っ赤に咲いたツバキの赤い花の上にも白い雪が積もり、その対比がとても
美しい・・・!
下を流れる箕面川の渓谷はいつもと違って神秘的です。
カメラマンの方がここにもいてシャッターチャンスを狙っています・・・
彼らに こんにちわ! と 言うとうるさそうにされますから、こんな時は
先方から言われない限り静かにして通ります。
( 最初の知らない頃、鳥を狙っているカメラマンの方に挨拶したら、鳥が
逃げたようで、睨まれた事がありましたからね (笑))
雪に埋もれた渓谷の森を、 いいな~ きれいだな~ すごいな~
と いつもの如くゆっくりのドンカメスタイルて浸り歩いていると・・・
前方から一人の女性が下りてこられて・・・・
・ きれいですね! この先には鳥がいっぱいいましたよ・・・
なんていう鳥なのでしょうか? 素敵な眺め・・・ 素晴らしいですね・・・
云々と、話し掛けられました。
この年まで、女性から話し掛けられる機会のまずなかった私としては、
最近 よく声を掛けられます。 喜んでいいのか、悪いのか・・・?
爺じいになったので、人畜無害に見えて女性からの警戒心がなくなったの
かもしれません (笑)
姫岩の手前から見る赤色のつるしま橋の眺めは、白い雪化粧と相まって
美しい光景です。
ここから、更に上の地獄谷入口から風呂ケ谷登り口につながる山道を
歩きます。
いずれも箕面川を挟んで下方に滝道が見え隠れしていますから、大声を
出せばすぐ聞える安心な山道です。
( 時々、豪雨の時に山裾が崩れたり、倒木や落石があったりして閉鎖に
なりますから、注意は必要ですが・・・ )
ここも一人歩きの方が多く、会うたびにお互い挨拶を自然と交わします。
やがて滝道と合流したとたん、すれ違う人々とは全く互いに無言・無関心
となり・・・ その変化に我ながら苦笑してしまいます。
まもなく大滝が見えてきます・・・
両側真っ白の中に一本のスマートな滝の流れが見えてきました。
写真で見るのと違って、やはり実物の美しさは感動的です。
数人の方が大型カメラを構えて撮影をされていました・・・
絵を描いておられる方もおられます・・・
しばし見とれてしまいましたが、急に寒気がしてきました・・・
じっとしていると足元から冷気が体を包みます・・・
そう言えば、この元旦に初歩きをしてここに来た時・・・
初めて前の店で熱燗を飲んだことを思い出しました・・・
でも、見ると今日は戸が閉まっています・・・ 残念!
しかし、少し下った所にある茶店をのぞいて見ました・・・
この寒いのに開けっぴろげの店の中には7-8人の年配の方々がストーブを
囲んで賑やかにしています・・・
かなり年季の入った・・・昔からの店のようです。
私は一つだけ空いていた窓際の席につき、早速 熱燗一本と 大きなお鍋に
湯気を立てていた美味しそうな おでんを頼みました。
窓から外を見ると、目の前の箕面川の渓谷を挟んで真っ白い森が見えます・・・
時折、枝の上の雪が落ち、舞った白い粉雪が窓にあたります。
寒い寒い雪の森で、ストーブを囲み、熱燗を口にすると・・・心も温かくなり
ます!
ここの人たちは皆さん店の常連さんらしく、茶店の人も交えて一緒に
おしゃべりを楽しんでいるようです・・・
箕面の雪や山の話し、イノシシや鹿の話、植物の話から いつ頃 桜が咲く
とか・・・
それに今日の写真やカメラの話など盛り上がっていました。
私は彼らの話を左の耳で聞きながら、右の耳では雪が滑り落ちる音や、
川の流れ・・・ それにこのいい一期一会の雰囲気に浸りながら、至福の
一時を過ごしました。
私は家系的には酒に強いのですが、日頃 余りお酒を飲まないので、
たった一本のアツカンで結構いい気分になってしまいました。
あばさん! ごちそうさん・・・ おでん 美味しかったよ ありがとう!
・ ありがとうございます・・・ また寄ってください!
店をでて 唐人戻岩の所まで来た時・・・
ふっと見上げるとそれまで気が付かなかったのに、その大きな巨岩の上に
何本かの大きな木が繁っているのが見えました・・・
高さは7-8m以上で何の木・・・?
それにしてもこの硬い大きな岩の上に、どのように根を張って養分を得て
育ったのかな・・・?
体を思い切りふんぞり返えして見上げていると・・・
フラフラフラ~ ヨロヨロヨロ~ 雲の上を歩いているようでした。
その時です・・・・
アッ! コリャ コリャ コリャ~ との掛け声!
踊っていたわけではなく、転びかけていた私が何とか立ち直り 前を見ると
二人の男女の外人さんの声でした・・・
思わず私も コリャ コリャ~ と踊る恰好でごまかして、共に大笑いでした。
この道でスッテンコロリンは恥かしいので、それからはまた いつもの
ドンカメ歩きで今度は滝道の方をゆっくりと戻ってきました。
途中、突然空のかなたから ピュー と いう甲高い猛禽類の鳥の鳴き声が
聞えました・・・ 何?
すると、目の前の大きなもみじの小枝にとまっていた数10羽の鳥
(アトリか?) が、一斉に飛び立ったではありませんか・・・
その影響で、小枝に降り積もった雪が一斉に舞い上がり、風にあおられて
滝道を覆い、前が見えないぐらいに降りそそいできました・・・
お陰で私はいい気分で歩いていたのに、冷たい粉雪を顔いっぱいに浴びて
しまい、その冷たさに酔いがいっぺんに冷めてしまいました・・・ (笑)
今日は 冷たくも 心温かな 雪の箕面の森 の一日でした。
08-2/24 (完)