今日の瀧道!
季節の移り目を感じさせる大雨が降ったりして、ここ数日は
雨模様が続いていました。
今日は晴れたり曇ったりのお天気のようなので出かけてみました。
ところが、予定していた桜谷コースを登り始めると予想外に
足元が悪く、諦め、無理を避けて桜道から瀧道へ向うことに
しました・・・
久しぶりに見る瀧道の箕面川・・・
今日はゴーコーと水音を響かせて豪快に流れています。
岩にぶつかり、白い水しぶきをあげながら谷間を流れる様に、
しばし時の立つのを忘れて見入っていました。
日頃見ない小さな谷間からも水が流れ落ちていて、
それらの小さな流れがあちこちから川へと注いでいます。
まさに 「雨水を集めて速し箕面川」 といった感じです。
そんな川辺のよどみに、一羽のシラサギが小魚をねらって
まるで置物のように川面を見つめていました。
いつも見るアオサギも、どこかで同じように水面をにらんで
狩りをしているに違いありません。
つるしま橋の先に見事なコバルトブルー色をしたカワセミが
いました。
ホバリングしながら水に飛び込んでいったかと思ったら、小魚を
口にくわえて枝に戻り、すぐにまた川面を見つめています。
その横には 「魚取り禁止」 の小さな看板があったので
つい笑ってしまいました。
今日はいつになく中高年のトレイルランニングの方々が走り、
同じくハイカー姿の方々も多く歩かれています。
毎日この瀧道往復を日課とされている方々が多いそうで、
そんな方々が挨拶を交わしながら行き交う姿が印象的でした。
ハックション! ハックション!
急にクシャミが出始め、見上げると杉林です。
今年もとうとうやってきました・・・
今日は花粉が舞っているようです。
すると後方からいつもの英国風紳士?が3匹の犬を連れ、
英語でなにやらつぶやきながらやってきました。
挨拶を交わし、またすぐに背筋を伸ばし、犬もそれに合わせる
かのようにしゃんとしてリズムを合わせ歩いていきました。
もう何年も何回となくこの瀧道でお会いしていますが、
その姿勢はいつも変らず、毎日のように犬たちとの散策を
楽しまれているようです。
大瀧前に近づくと・・・
すごい!
今日はその滝幅いっぱいにゴーゴーと水が流れ落ちています。
滝壷前に着くと、水しぶきでメガネがすぐに水滴で見えなくなり、
風向きで服もベトベトになりました。
ド ド ド ド ド~ と地響きを上げながら豪快に流れ落ちて
いて、前には七色のきれいな虹が浮かんでいます。
最近は、遠路はるばる訪ねてこられた方々には申し訳ない
ぐらいの馬の尾っぽ程度の滝の流れでしたから・・・
これが本来の箕面大瀧の姿なのだ!
昔はいつもこんな水量があったのだろうにな・・・
と感慨深いものがありました。
サザンカの花が終わったと思ったら、今は山椿、ヤブツバキが
赤い花を咲かせ、その花ガラが沢山山道に落ちています。
アオキも沢山の赤い実をつけています。
イロハモミジの小枝の先に、小さな幼葉が出てきましたよ。
政の茶屋の周辺に、白い鈴のつらなるアセビの花が咲き始め、
森の中を吹き抜ける軟風に揺れています。
季節の移り目を伝える「こころあいの風」に感じられました。
いよいよ箕面の森にも、早い春がやってきたようですね。
森と少年たち!
今朝起床すると、家の横の校庭は一面の雪化粧・・・
きれいだ!
休日の朝は、いつも野球少年たちがグラウンドを使用している
けれど、今日はみんな歓声をあげながら入ってきました。
今日の森の散策は、箕面・外院二丁目の交差点から、
北のウツギ谷へ向います。
近くから焚き火の煙が~
日曜ファーマーの方々が畑の手入れをされています。
畝の所々には雪がかぶっています。
その横にはオレンジ色した大きな柑橘類が鈴なりになって
います・・・タチバナかダイダイかな?
それにしても誰も採らないところをみると、食べられないのかな?
冷たい風の吹く山里を抜けて、ウツギ谷の欝蒼としたスギ林に
入っていくと・・・
今日は傍を流れる谷川の水量が、いつになく多く流れていて
心地よい音を立てています。
岩の上には苔がはえ、周辺にはシダの緑が彩りをそえ、
小さな水しぶきを眺めながら・・・
しばししゃがみ込み、目を閉じ、耳を澄ませて聴き入っていま
した。
樹冠を揺らす北風の音、葉擦れのささやき、遠くでヒヨドリの
鳴声がし、近くで地鳴きする鶯の声、絶え間ない音質の異なる
谷川の流れ・・・
それぞれが独立した音ながら、谷間に響くハーモニーは
なんと素晴らしい音響なのだろうか・・・
そこに浸る自分が、森の自然と一体となり「無」の世界に入り
込んだようで、身も心も軽くなり気持ちのいいものです。
ワッショイ! ワッショイ!
遠くから子供たちの声がこだましてきて我に返りました。
そして間もなく少年7-8人が走ってきたかと思うと、
私の姿を見つけるとリーダー格らしき少年が手を上げ、
全員が立ち止り・・・
* こんにちわ!
帽子をとり一斉に挨拶をし、ゆっくり歩いて私の前を通り過ぎると
またリーダーの号令のもと元気に走り出しました。
礼儀正しい少年たちです。
それから10分ほど上がって奥池付近にきた時、前方から
また少年たちが走ってきました。
今度は14-15人ぐらいで、同じく私を見つけるとリーダー格の
少年が手を挙げて皆を制し、立ち止り、帽子をとり、
一斉に挨拶です・・・
* こんにちは!
おじさん! すいませんがちょっとお聞きしますが・・・
リーダー格の少年が話してきた。
* 僕たちと同じような格好をした者たちが、この道を
通りませんでしたでしょうか?
・ ああ それなら10分ほど前にこの下を走っていったよ・・・
* ありがとうございました。
お~い みんな! 急ぐぞ!
そう言いながら一人一人が私の前を通り過ぎながら・・・
* すいません! ありがとうございます!
お気をつけて! ごくろうさまです!
お疲れ様です!・・・
少し場違いの言葉もあるものの、
みんなが礼儀正しい挨拶をしながら整列し、またリーダーの
号令のもと元気よく掛け声を合わせて走っていきました。
先のグループといい、子供たちだけなのによくまとまっています。
指導者の方々に脱帽です。
野球帽とブレーカーには、箕面000と少年野球チーム名が
刺繍してありました。
足場の悪い狭い山道や、障害物の多い森の中で、
しかも子供たちだけでどんな訓練メニューや目的があるのか
分かりませんが・・・
自然の中を走るだけでも、日頃のグラウンドとは違う環境に
身も心もいい刺激を受けるに違いないと感じました。
杉木立の中を蛇行する谷川にそってウツギ谷が続いています。
少年たちが走り去った谷道に明るい木漏れ陽が差し込んで
きました。
凛とした冷たい森の道に、さわやかな風が吹いていきました。
教え学ぶ森!
今日は朝から気温が上昇し、冬着を一枚一枚と脱がねばならない
ような暖かさです。
スカイアリーナ(箕面市立第一総合体育館)東側の小川口から
教学の森に入りました。
すぐに地鳴きするウグイスが迎えてくれました。
遠くでケキョ ケケケケ・・・と練習中? のウグイスも聴かれ、
春の訪れを感じます。
すぐに汗ばんできて、先週の寒さからの一変に驚きです。
寒がりやの暑がりやの私は、もうアレコレと着替えに大変!
山の中腹で一休みしながら、木立の間から箕面市街を一望して
いると、下のほうから一人の幼稚園児がフー フー言いながら
登ってきました。
・ こんにちわ!
* こんにちわ・・・
元気よく挨拶してくれたものの、少し恥かしそうな笑顔です。
まさか一人じゃないよね? と思っていると・・・
下から若いご夫婦が息を弾ませながら上がってきました。
* こんにちわ~ ああしんど! いいお天気ですね!
00ちゃん早いね!
もうこんな子供にも付いていけませんわ~
お先です。
そう言いながらも、子供にせかされるようにまた元気に登って
いかれました。
家族で山歩きなんて、何と健全なレジャーなんでしょうか。
私には生き生きとした好奇心溢れる子供さんの目が
とても印象的でした。
今日は水沢の谷へ下りてみました。
この辺はハイカーの方とも余り出会わず、今日も枯れ葉が
いっぱいに山道を覆い、道なき道の様相です。
谷川には少しのチョロチョロ水が流れていて、小さな音を響かせて
いますが・・・
この流れでも動物や野鳥たちにとっては充分な水量のようです。
今日はいつになく鳥たちがさえずっているので、リュックを
降ろして双眼鏡を出しました。
見つけた!
あそこにも ここにも・・・
一人で夢中になって野鳥を追いかけているものの、何しろ素早く
じっとしていないので目で捉えるのに一苦労です。
それでもシジュウガラ、ヤマガラ、ウソ、アトリ、カケス?か
などがいました。
コゲラは幹をドラミングしながら上っていくので、ゆっくりと観察
できました。
足元からヤマバトが急に飛び立ってビックリしたものの、
長く突っ立っていたので、鳥たちも老木と思ったのか?
私の目の前を自由に飛び交っていきます。
それにしても今日はどうしてこんなにも多くいるのだろうか?
先週の森の大きな音のする作業の事を思い出し、
あの森の鳥たちが大挙してこの森へ引っ越してきたのかな?
と思ったぐらいです。
いつまでも飽きることなく、一人で至福のひと時を過ごしました。
箕面の森にはいろんなルートやハイキングコースが紹介されて
いますが、少し外れるともう自然そのものの所が沢山あり、
私のようなあまのじゃくな心をも満たしてくれます。
中尾根に出てくると、上方から小さな二人の子供さんを連れた
お父さんが下りてきました。
それぞれの手には透明な袋・・・
見るとマツポックリや枯れ葉や小枝、小石なども入っています。
挨拶を交わし、去り行く子供たちの言葉の端はしには、
それが何かの工作をするための材料のようですが・・・?
家に帰ってお母さんに山での出来事を話しながら、お父さんと
アレコレ工作を楽しむ・・・
そんな家族団欒の様子が浮かんでくるようです。
以前 別の所で、お父さんが小さな子供をリュックのような所へ
逆向きに入れて背負い、お母さんが後から子供と話しながら
登っている家族に出会いました・・・
お父さんの背に揺られ、お母さんの話し掛ける笑顔に嬉しそうに
キャッ キャと笑い転げていましたが・・・
そんなほのぼのとした一家を思い出しました。
森に遊ぶ子供たちに共通しているのは、いつも興味津々の
好奇心であり、生き生きと目を輝かせている事を感じています。
いいですね・・・
六箇山から西尾根を経て「教学の森・野外活動センター」に下りて
くると、丁度7-8人の子供たちが森の中で輪になって座り、
先生のお話を聞いていました。
どうやらいっぱい遊んだ後の今日のまとめのような感じです。
今日は森の中でどんな遊びをしたのかな?
日常生活とは違う世界で、どんな楽しい思い出をつくったのだ
ろうか?
まさに教え学ぶ「教学の森」です。
この自然の中で遊んだ子供たちは、一人一人が何かを学び、
将来きっといい心の糧になることだろうな~
真っ赤なヤブツバキの花が、木漏れ陽のスポットライトを浴びて
照らし出され、まるで森のスターのように美しい輝きを放って
います。
見上げると、冬枯れ木立の森の中から真っ青な空が見え、
暖かい太陽が顔をのぞかせていました。
森の中からまた別の子供たちの歓声がこだましてきました。
もうすぐ春休みですね・・・
心で見る美しさ・・・
今日は寒い冬の一日でした。
朝は霜が下り、水溜りには薄い氷が張るような寒さでした。
私はこの日、ほとんど車のいない滝の上の無料で広い
「大日駐車場」に車をとめました。
滝に向かう途中にある 「杉の茶屋」の東側の上り口から
「雲隣展望台」を経て、「風呂ケ谷」をゆっくり下り、上りして
「こもれびの森」に入りました。
冬の寒さの中 シ~ン とした森に、時々樹木が風で揺れる時の
葉の音や、いろんな鳥たちの鳴き声が響きます。
静かに目を閉じて耳を澄ますと、それはもう何ともいえない
森の響きとなって、心安らかな空間となります。
まだ今日は誰一人としてハイカ-の人とは出会いません。
一日中、人と出会わないときもよくありますから、
まさに私だけの世界です。
あの大きなコンサート会場でたった一人、交響楽団の演奏を
愉しんでいるような気分で、とても心豊かになります・・・
いつも森のコンサートに接するときには私は
何て幸せなんだろう・・・ と、しみじみ感じるのです。
「こもれびの森、展望台」に着きお昼にしました。
ここは展望台と言っても周りの木々が成長しすぎたのか
生い茂り、あまり遠望する事はできません。
パンを食べながら、冬はいつも持参するポットから温かいコーヒー
をいれ、一休みをしていました。
それにしても寒い・・・!
そこへ一組のご夫婦が上ってこられました。
そうですね・・・ 一見、70歳台の方のようでした?
・ こんにちわ! 今日は寒いですね・・・
と 挨拶を交わして、私は席の端に荷物を寄せました。
私は温かいコーヒーで 寒くなった両手で囲みながら、
それとはなしにご夫婦の会話を耳にしていました。
* 今日は空も澄んでいてとても気持ちがいいですわ・・・
* そうだね!
お二人はしばらくは子供さんか知人の話をされていましたが,
やがて近くに咲いていたやぶつばきの真っ赤な花を見て・・・
* お父さん、きれいな花が咲いてますよ・・・
つばきじゃないですかね?
ほれ! いつか伊豆大島にいったでしょ、
あの時の花に似てますよ・・・
すると奥さんは急に立ち上がり 枝から一輪を折って,座っていた
ご主人に持ってきた。
ご主人はそれを鼻先に持っていき匂いをかいでいたようだ・・・
* ヤブツバキだね! きれいだね!
ほんとにきれいだよ! 思い出すね・・・
* これは 貴方の部屋の一輪挿しに入れて
あげましょう!
* もっと きれいな花の話を しておくれ・・・
私はそんな光景を後に・・・
・ お先です・・・
と リュックを担ぎ歩き出したとき、ふっと何となくぎこちない会話に
振り返ってみた。
そうだったのか・・・ 分かった!
なんとご主人は目の見えない人だったのだ・・・
でも、きれいだね・・・ と言っていたのに・・・?
あれは心の目でしっかり見ておられたのだな・・・
この寒空の中、奥さんと二人、仲良く手をつなぎ、
おしゃべりをしながら森の散策を愉しまれているんだな・・・
人生の途中で失明されたのかな?
幾多の困難を乗り越えられてきたんだろうな・・・
この自然の中で、心の目をしっかりと開けてあの風のささやき、
鳥達のコンサート、樹木の話し声・・・ いろんな森の営みを
私たち以上に肌で感じ、愉しまれているんだろうな・・・ と、
想像できました。
一人では森の中は歩けないが 奥さんと二人三脚で歩まれてきた
人生そのままに、 今も豊かに生き抜いておられるご様子に,
私にはこみ上げるものがありました。
ここにもまた、森に癒される幸せな人を見ることができました。
「幸せかどうか決めるのは 環境ではなく 生きる態度である」
と、どこかで聞いた事があります。
東側の「ばばたれ坂」を下り、箕面ビジターセンターに向かい
ながら、自分の心がとても温かくなってきて、外の寒さを
すっかり忘れてしまいそうな一日でした。
前鬼谷・・・ 一分で白銀の世界に!
箕面ゴルフ倶楽部の横の狭い山道を通りました。
ゴルフ場芝生は、一面土色に覆われた枯れ芝で 所々に残雪があり
冷たい風が吹いていました。
ゴルファーの方々も厚手の防寒服に思うように体が回らないのか?
キャデーさんはさかんに ファーファー・・・ と 叫んでいます。
私は先程まで大阪が一望できる所で一休みをしていましたが、気持ちの
いい快晴なのに、ふっと見ると西の空から厚い雪雲がどんどん迫って
くるのが見えたのであわてて腰をあげたのでした。
山道を北へ歩き、途中から東に折れて前鬼谷への道に入りました。
枯れ木の上に足を載せたら、ツルリン! と 思い切りすべって、大きな
仕草で尻餅をついてしまいました・・・
下が土でよかったです・・・ それに誰もみてなくて・・・
やがて大ケヤキのほうから下りてくる前鬼谷へと合流しました・・・
みると左方の上のほうから一人、私より年配と思われる女性が、ゆっくり
とカニ歩きで下りてこられるのが見えました・・・ 大丈夫なのかな?
前鬼谷の深いV字渓谷に入ります。
左に大きな岩が迫り、右に谷川を挟んで山裾に倒木が多く、山道は岩場
で歩きにくく、昼なお暗き森の中です・・・
ここはまさに自然の野趣に富んだ所で、私の好きな森の一つです。
この東には、ひとやま超えて後鬼谷があり、ここもいい所です・・・
昔、役行者(えんのぎょうじゃ)の弟子の前鬼さんと後鬼さんが各々の
谷筋を下り、この下の谷で落ち合った(落合谷) とかで ついた名前と
か・・・?
何となく冬枯れのさびしい森の中で、静かにサラサラサラ~ と流れる
谷川の音が、優しく森を包んでくれます。
その時、急に上のほうからギーギーギー~という大きな音・・・ ドキン!
何・・・?
見上げるとそこは高さ10数メートルの杉の大木が林立する所・・・
よく見るとその杉の木立が左右に大きく揺れていて、その木と木の幹が
擦れ合う音でした・・・
まるで動物が叫んでいるようで無気味な音です・・・
上空はすごい嵐のような強風の様相です。
その時です・・・
パラパラパラ~と、白いアラレ・・・ 粒の粗い雪?
そう思って目を前方に向けたとたんに・・・
一瞬、まるでバケツで一気に横から蒔いたような、ものすごい横殴りの
雪が急に降り注いできました。
あわててリュックを下ろして中から折り傘を取り出そうとしている時に、
もうそのリュックの上にも雪が積もっていきます。
やっと傘を広げて前を見ると・・・
なんということでしょう・・・!
もう山道も山裾も谷川も岩の上も 一面真っ白 ではありませんか・・・
この間、一分も経っていません・・・
ものすごい自然の力を感じました。
前方はもう見えないぐらい降り注いでいるので歩く事ができません・・・
私は唖然としてその場にたたずんでいました。
その時ふっと、この突然の大雪に先ほどの年配の方はどうされている
かな?
とても心配になって、よっぽど引き返してみようかな? と思ったぐらい
です。
やっと前方が見えるようになって歩き始めました・・・
あっという間に森は 白銀の世界 です。
真っ白になった渓谷の新雪を踏みしめながら・・・
この思いもよらない自然の営みに驚かされると共に、その自然のもつ力
の脅威を感じたり、またその神秘さ、美しさへの畏敬の念を感じたり、
言いようのない素晴らしさに至福の念を味わったり・・・
いろんな思いで心はいっぱいになりました。
少し行くと岩と岩の間から小さな滝のように流れ落ちているきれいな光景
の所にきて、私は少し谷川に下りてみました。
一面真っ白の森の中で、岩の上に積もった雪・・・その合間から流れ
落ちる渓流の小滝・・・
何ともいえない美しい絵になる光景にしばらく見とれていました。
降り続く雪に傘が重たくなってきました・・・
どのぐらい小滝を見ていて時が経ったのか・・・
たぶん数分の事でしょうが、しばらく何も考えずに無我の境地に入ったか
のごとく、無意識の世界に居たようです・・・ 禅僧になったみたい?
我に返り、山道に戻ろうと岩場を登りますが、雪ですべって何度も転んで
しまいました・・・
さっきよりも更に斜面に雪が積もったようです。
何度目かの挑戦で勢いをつけて上がろうとした時でした・・・ 上から・・・
* 大丈夫ですか・・・?
あっ!
先ほど心配していたあの年配の方が声をかけてくださいました・・・
私は一瞬、 無事でよかった! と 安堵しました・・・
しかし、自分の今 置かれている状況から、逆にその方に案じられて
しまい、少し恥かしい思いでした。
やっとの思いで何とか脱して私が山道に戻ると・・・
* 急に雪が降り出してビックリですね・・・ お先に失礼します・・・
と、後ろから見ると私より元気な足取りで雪道を下っていかれました・・・
(呆気にとられている私でした・・・ 笑)。
最近は中高年の女性の一人歩きの方とよく出会いますが、みなさん概し
てお元気ですね・・・
若い頃に山岳部やワンゲル部だった方はともかく、そうでない方も
はるかに私よりもスイスイと上り下りされておられますのに・・・
ドンカメの私が ウサギさんのことを案ずるなんて、おこがましくて
恥かしい・・・
これからは我が身の心配を人様にかけないように参ります・・・
やがて前鬼谷と後鬼谷と合流する落合谷に下りてきました。
落合トンネルを出て滝道にでてくると、もうそこにはあの先ほどの静かな
白銀の森がウソのように、人々の賑やかな笑いとおしゃべりの流れがあり
ました。
箕面の森に南国の鳥・・・!?
今日は凍気の冷たい空気の中にも、気持ちの良い凛とした冬の
青空が見えています。
新稲(にいな)の里の桜池にはシラサギ、アオサギ・・・
それに、全長80CMぐらいで長い黒い羽、目の下は黄色、くちばしの先
がカギ状に曲がっている鳥が4羽いました・・・ カワウです。
巧みに潜水してはサカナを捕らえていましたが、私が池のすぐ傍で見て
いても、ゆうゆうたるものです。
私はリュックから双眼鏡を取り出し、首にかけてしばし鳥達の仕草を見て
楽しみました。
池畔の木立にはヒヨドリが沢山遊んでいます・・・
今の季節はバードウオッチングも楽しみの一つです。
新稲の旧牛舎の柵の木に一羽のモズがとまりました・・・
橙褐色の頭頂がとてもきれいな鳥です・・・ 双眼鏡で見るといつになくよく
肥っています・・・ 食べすぎだよ?
その横の林の中では色鮮やかなウグイス色のメジロが10数羽 飛び
交っています・・・ もうすぐ春の気配です。
小川口から森に入ります・・・
太陽が雲間から顔をだすとポカポカと実に温かく、いつも帽子をとって
頭と体を太陽に向けるのです・・・
薄い頭毛を通して、暖かさが直接肌身に感じられるからですが・・・
見ると一人の中年の男性がスケッチブックを広げて写生をされています。
絵になる情景ですね・・・!
山道を登り、私が息をハーハーとはき始めた頃、後ろから黒い
ラブラドール犬を連れた若い男女が・・・
* こんちわ!
と 元気に挨拶しながらあっという間にスイスイと登っていかれました。
またウサギとカメの自分を実感・・・ ドンカメです!
中腹まで来て一休みです・・・
いつものポットから暖かいコーヒーを入れて飲むときの幸せ感・・・
いいな~
見上げると、落葉した枝木の間から澄み切った青い空と白い雲が見えて
なんと美しい光景なんでしょう・・・
そこへまた太陽が顔を出すと、もうそれだけで自然の演出と共に至福の
空間に浸ることとなります。
森じゅうに響く自分のクシャミを合図に腰をあげて さあ出発です・・・
寒い!
すると前方から一人の年配の女性が下ってこられました・・・
・ こんにちわ・・・
* こんにちわ・・・(私の双眼鏡を見て・・・) バードウオッチング
ですか?
・ ええ!・・・ でも、まだ始めたばかりでなかなかトリの見分けが
出来ないんです
* 難しいものですよね・・・ この道は鳥が多いですわね・・・
・ そうですね! じっとしていないので追うのが大変です
* 私も見た鳥を目に焼き付けて帰って図鑑で調べてみても
なかなか分かりませんもの
・ 私も全く同じですよ・・・
* 今日は梢から見る空がきれいですね・・・
・ そうですね! 私も先ほど見とれていたところです・・・澄んでいて
気持ちがいいですね。
* そうそう・・・ この前、私ここで珍しい鳥を見ましてね・・・
それが、頭が赤くて胴がこの木のような色で、大きさはこの
くらいで・・・ 見たこともない珍しい鳥だったので、後でいろ
いろ調べてみたんですが分からなくて・・・ 南国の鳥?
なんの鳥でしょうか?
・ 私にもわかりませんが・・・
* 本当に珍しい鳥でしたのよ・・・
・ そうですか・・・
しかし、先日大阪湾でダイバーの方が、こんな所にいるはずのない
熱帯の魚を見つけて話題になっていましたね・・・
地球温暖化の影響でしょうか?
日本も早い時期に亜熱帯地域に属するようになるかもしれないと
言われていますから・・・
それからいくと、南国の鳥が暖かい気流に乗って、箕面の森に飛ん
できてもおかしくないかもしれませんね・・・
* そうですね! でも何か気持ちのいい話じゃありませんわね
・ 確かにそうですね!
* しかし、この森はいいですわね! 自然がいっぱいで・・・
しばし、そんな箕面の森の話で立ち話をしていましたが・・・・
* すいません! つい!・・・ 足を止めさせてごめんなさい
失礼します!
と 女性は下っていかれました。
自分の感性と共感できる方と話す機会が余りありませんから、私は
もう少しゆっくり、とお話したかったのですが残念!
それにしても、南国の鳥と思われる鳥が箕面の森に飛来したかもしれない
と思うと、地球温暖化を身近に感じて不気味さを覚えました。
でも、先日のTV番組で日本の夏はこれから毎年猛暑となり、その内に
摂氏45度-50度以上の アフリカ or 熱帯アマゾン 状態になって
いってもおかしくない時が近づいている・・・ と、学者の方が述べていま
したから、全く絵空事でないという事が恐いですね・・・
それにしても熱帯のジャングルにいるような箕面の森を想像したくありま
せんね・・・
それに、暑くてターザンスタイルの爺じい姿もしたくありませんしね・・・
( * 話が飛躍しすぎて自分でもついていけません・・・ )
その後、凍気の寒風吹きすさぶ尾根道を歩きながら、
この季節感のある森の寒さの有り難さをしみじみ思うのでした。
何とも考え方を変えてみると不思議な思いです・・・。
心の清掃!
今日も箕面ビジターセンターを起点に、森の散策に出かけ
ました。
自然3号路に入ると、前方を4人連れの中高年のグループが
賑やかに上がっていきます。
よく見ると各々が山歩きの完全装備で、かなりのベテランの
様子です。
どこまで行かれるのだろうか?
* なかなかええとこやんか! 気持ちええわ!
初めてのとこは当りハズレが多いからな!
ここはええわ~
地図しっかり見といてや!
大きな声で喋っているので、後方までその賑やかな会話が
聞えてきます。
やがて彼らは旧山伏の修験道(箕面自然歩道)の方面へ向って
行ったものの・・・
一つア然とする光景を見てしまいました・・・
一人はアメ玉か何かの包み紙をポイ捨て!
一人は何とコーヒー缶をポイ捨て!
そしてまたかんだハナカミまでポイ捨て!
何と言うことをする人たちなんだろうか!
駆け寄って注意したいものの、しばらくして尾根に消えて行って
しまった。
私は手前から箕面川ダム湖へ向ったものの、腹の虫が
収まらない・・・
そんな時・・・
一人の女性ハイカーの方が、リュックを背負いながらも、両手に
いっぱいのビニール袋を抱えながら、前から歩いてこられました。
よく見るとその透明のビニール袋は、空き缶やゴミ類で
いっぱいです。
私は思わず・・・
・ ご苦労さまです。 ありがとうございます。
と頭を下げました。
* いいえ~
女性ハイカーの方は笑顔でそう言いながら去っていきましたが、
私はつい先ほどの光景を見た反動からか、しばしその後ろ姿を
見つめていました。
さらりとした素敵な笑顔と、当たり前のようなさりげない仕草が
余計に感動的でした。
この時間だから、朝早くからハイキングがてらに目に付いた
ゴミを拾い集められたようですが、それにしても両手に4つもの
袋を抱えて、それは大変な作業だったに違いありません。
もう本当に感謝です。
一人一人の目に付かないような小さなボランティア活動が、
この箕面の森を育てているのだと実感しました。
だからこそ、あの4人組の初めてらしき箕面を訪れた方でも・・・
* ええとこやん!
と感じてくれたのでしょう・・・
夕方、箕面ビジターセンターに戻ってくると、職員の方がお二人で
トイレ舎の掃除をされていました。
しかし、清掃用具と共に望遠レンズのついたカメラを背にしていて、
そのアンバランスな格好に思わず吹き出してしまいました。
しばらくしてトイレが終わると、前の箕面川の岩場にいる野鳥、
小枝にさえずる野鳥の撮影をしながら、周辺の道を丁寧に
きれいに掃除されています。
私も双眼鏡で、小枝にとまり川面を睨んでいるカワセミの
長いクチバシ、コバルトブルー色した見事な鳥をじっくりと
観察する事ができました。
朝の女性ハイカーの方のゴミ拾いといい、職員の自然を愛する
行き届いた清掃といい、私は自分の心の中まで清掃して
いただいたようで、気持ち良く下山する事が出来ました。
森に差し込む木漏れ陽のように、心温まるいい一日でした。
前鬼谷・・・ 一分で白銀の世界に!
箕面ゴルフ倶楽部の横の狭い山道を通りました。
ゴルフ場芝生は、一面土色に覆われた枯れ芝で 所々に残雪があり
冷たい風が吹いていました。
ゴルファーの方々も厚手の防寒服に思うように体が回らないのか?
キャデーさんはさかんに ファーファー・・・ と 叫んでいます。
私は先程まで大阪が一望できる所で一休みをしていましたが、気持ちの
いい快晴なのに、ふっと見ると西の空から厚い雪雲がどんどん迫って
くるのが見えたのであわてて腰をあげたのでした。
山道を北へ歩き、途中から東に折れて前鬼谷への道に入りました。
枯れ木の上に足を載せたら、ツルリン! と 思い切りすべって、大きな
仕草で尻餅をついてしまいました・・・
下が土でよかったです・・・ それに誰もみてなくて・・・
やがて大ケヤキのほうから下りてくる前鬼谷へと合流しました・・・
みると左方の上のほうから一人、私より年配と思われる女性が、ゆっくり
とカニ歩きで下りてこられるのが見えました・・・ 大丈夫なのかな?
前鬼谷の深いV字渓谷に入ります。
左に大きな岩が迫り、右に谷川を挟んで山裾に倒木が多く、山道は岩場
で歩きにくく、昼なお暗き森の中です・・・
ここはまさに自然の野趣に富んだ所で、私の好きな森の一つです。
この東には、ひとやま超えて後鬼谷があり、ここもいい所です・・・
昔、役行者(えんのぎょうじゃ)の弟子の前鬼さんと後鬼さんが各々の
谷筋を下り、この下の谷で落ち合った(落合谷) とかで ついた名前と
か・・・?
何となく冬枯れのさびしい森の中で、静かにサラサラサラ~ と流れる
谷川の音が、優しく森を包んでくれます。
その時、急に上のほうからギーギーギー~という大きな音・・・ ドキン!
何・・・?
見上げるとそこは高さ10数メートルの杉の大木が林立する所・・・
よく見るとその杉の木立が左右に大きく揺れていて、その木と木の幹が
擦れ合う音でした・・・
まるで動物が叫んでいるようで無気味な音です・・・
上空はすごい嵐のような強風の様相です。
その時です・・・
パラパラパラ~と、白いアラレ・・・ 粒の粗い雪?
そう思って目を前方に向けたとたんに・・・
一瞬、まるでバケツで一気に横から蒔いたような、ものすごい横殴りの
雪が急に降り注いできました。
あわててリュックを下ろして中から折り傘を取り出そうとしている時に、
もうそのリュックの上にも雪が積もっていきます。
やっと傘を広げて前を見ると・・・
なんということでしょう・・・!
もう山道も山裾も谷川も岩の上も 一面真っ白 ではありませんか・・・
この間、一分も経っていません・・・
ものすごい自然の力を感じました。
前方はもう見えないぐらい降り注いでいるので歩く事ができません・・・
私は唖然としてその場にたたずんでいました。
その時ふっと、この突然の大雪に先ほどの年配の方はどうされている
かな?
とても心配になって、よっぽど引き返してみようかな? と思ったぐらい
です。
やっと前方が見えるようになって歩き始めました・・・
あっという間に森は 白銀の世界 です。
真っ白になった渓谷の新雪を踏みしめながら・・・
この思いもよらない自然の営みに驚かされると共に、その自然のもつ力
の脅威を感じたり、またその神秘さ、美しさへの畏敬の念を感じたり、
言いようのない素晴らしさに至福の念を味わったり・・・
いろんな思いで心はいっぱいになりました。
少し行くと岩と岩の間から小さな滝のように流れ落ちているきれいな光景
の所にきて、私は少し谷川に下りてみました。
一面真っ白の森の中で、岩の上に積もった雪・・・その合間から流れ
落ちる渓流の小滝・・・
何ともいえない美しい絵になる光景にしばらく見とれていました。
降り続く雪に傘が重たくなってきました・・・
どのぐらい小滝を見ていて時が経ったのか・・・
たぶん数分の事でしょうが、しばらく何も考えずに無我の境地に入ったか
のごとく、無意識の世界に居たようです・・・ 禅僧になったみたい?
我に返り、山道に戻ろうと岩場を登りますが、雪ですべって何度も転んで
しまいました・・・
さっきよりも更に斜面に雪が積もったようです。
何度目かの挑戦で勢いをつけて上がろうとした時でした・・・ 上から・・・
* 大丈夫ですか・・・?
あっ!
先ほど心配していたあの年配の方が声をかけてくださいました・・・
私は一瞬、 無事でよかった! と 安堵しました・・・
しかし、自分の今 置かれている状況から、逆にその方に案じられて
しまい、少し恥かしい思いでした。
やっとの思いで何とか脱して私が山道に戻ると・・・
* 急に雪が降り出してビックリですね・・・ お先に失礼します・・・
と、後ろから見ると私より元気な足取りで雪道を下っていかれました・・・
(呆気にとられている私でした・・・)
最近は中高年の女性の一人歩きの方とよく出会いますが、みなさん概し
てお元気ですね・・・
若い頃に山岳部やワンゲル部だった方はともかく、そうでない方も
はるかに私よりもスイスイと上り下りされておられますのに・・・
ドンカメの私が ウサギさんのことを案ずるなんて、おこがましくて
恥かしい・・・
これからは我が身の心配を人様にかけないように参ります・・・
やがて前鬼谷と後鬼谷と合流する落合谷に下りてきました。
落合トンネルを出て滝道にでてくると、もうそこにはあの先ほどの静かな
白銀の森がウソのように、人々の賑やかな笑いとおしゃべりの流れがあり
ました。
お手をどうぞ!
箕面ビジターセンターに着き、テラスで一休みをしていると
ハイカー姿のご両親に連れられた一人の小学生が
やってきました。
元気な声で・・・
* こんにちわ!
と挨拶すると、「森の博物館」にいた係りの人へも・・・
* こんにちわ! おじゃまします!
見せてください!
と大きな声できちんと挨拶するので、周りにいた人たちも
一瞬にして笑顔になりました。
明るい挨拶は人々の心にぬくもりを与えてくれるものです。
東海自然歩道との分岐を右にとり、自然4号路から
勝尾寺裏山へ向って歩いていると、コバノミツバツツジに幼葉が
少し出ていたり、モチツツジの蕾が少し膨らんでいたりする
ものの、まだ森の奥には薄い雪影が見え、時折り冷たい北風が
吹き抜けていき、春の気配はまだほんの少しの様子です。
木漏れ陽の差し込むカエル池を過ぎてしばらく進んだ所に
ポツン とリュックが一つ、道端に置いてあるのが見えました。
・ あれ! なんだろう?
何気なく右手の谷間を見ると、一人の女性ハイカーの方が下で
ウロウロとされているのが見えます。
・ どうしました! 大丈夫ですか?
* ハイ~ 手袋落としたんで拾うつもりが滑り落ちて
しもうて・・・・
・ お手伝いしますから・・・
私が降りるので手につかまってください。
お手をどうぞ・・・!
* ハイ! でも?
この先の道へ出れそうなんで・・・スイマセン!
素っ気無く断られたので変な気分!?(笑)
お手をどうぞ! がいけなかったかな?
それとも私の顔かな?(笑)
とにかく女性は再び谷間に下り、Uカーブの先の方へヤブを
かき分けて行き、やがてやっと先の道の上に出たようです。
置かれていたリュックから見てベテランのハイカーのようですが、
道に出てリュックの所へ戻ってこられる姿を見ていると、
少し腰が曲がったかのようなおばあさんなので、ビックリでした。
やがてリュックのある所へ来たので挨拶すると・・・
* あんたさんも一緒に滑り落ちたら悪いと思うてな~
とのこと。
・ それはそれはご親切にどうも~ 顔でなくてよかった!
ご自分から言われた年齢は私の一つ上なだけ・・・
これにはちょっとショック!
私も若い若いと思いつつも、人の振り見て我が年齢を実感する
事となりました。
・ どうぞお気をつけて・・・!
冬枯れの森のぬくもりに・・・!
今日も寒い一日です。
どんよりとした厚い雲に覆われた空からは、時折小雪がちらついてきます。
六箇山へ向かって水沢コースを登り、一休みをしている時でした・・・
回りから何かゴソゴソゴソ・・・と音がするのです。
なに・・・?
耳あてをはづして耳をすませていると、ササヤブの茂みや枯れ葉の
あいだをなにやら動くもの・・・ それも多数?
すると急に音がすると鳥が4~5羽バタバタ・・・と 飛び立ち木の枝に
とまりました・・・
実は鳥でホッとしました・・・ 安堵の一息です! (笑)
気の弱い私としては、原因の分からない時の不明な音ほど不安で緊張
する事はありません・・・
枝にとまっている鳥をよく見ると全長25CM前後、いつも見るヒヨドリより
は少し小さく、ムクドリ位の大きさです。
外側の尾羽の先に白斑があるのが見えました・・・
上面はオリーブ褐色で下面は淡褐色です。
(後で図鑑で調べたら、渡り鳥のシロハラのようです。)
木の実か昆虫を捕らえていたのでしょう・・・
ところがまたゴソゴソゴソ・・・と音がするのです・・・
他になにかが・・・?
私が立ちあがったところ・・・バタバタバタ・・・と 一斉に鳥が飛び立ちま
した・・・ その数、20羽ぐらい?
まだいたんだ・・・!
驚かしてゴメン ゴメン・・・と つい、つぶやいてしまいました。
(森の色と同じ擬似色で全く分かりませんでした・・・)
寒い、淋しい冬枯れの静かな森の中で、このシロハラ鳥達の賑やかな
営みに、私は逆に生きもののいる森の温かさを感じました。
* 箕面在住の高野 日出夫氏の句集
「箕面山麓」(発行・編集工房ノア)
を、書棚から出して見ていると、こんな句がありました。
「枯草掻き シロハラが 目の前に来る」
まさに今日の光景がぴったりでした。
横にはコバノミツバツツジの木があり、その小枝の先には早や小さな
新芽が見えていました・・・
春を待っているんだな・・・そんないとおしさを感じました。
今日はまだ一人も他のハイカーの方とは会っていません。
時折聞える小鳥達のさえずりと冷たい北風の音、その風になびく葉音の
ささやき・・・
それに自分が枯れ葉を踏む足音が響きます・・・
それに薄暗い森は益々寒さを感じます。
海の見える丘 から西尾根を下っている時でした・・・
その静かな冷たい森の中から何かの音楽の響きが・・・?
聞き耳を立ててきくと なんと! 三味線の音色ではありませんか・・・
どこからかな?
しばらく立ちどまって聞いていましたが、そのうち渋い歌声が聞えてきま
した。
何度か同じところを歌いなおしている所をみると、どうやら練習中のよう
です。
今まで箕面の森の中ではバイオリン、フルート、クラリネット、ギターなど
の練習やハーモニカなどの音色は聞いてきましたが三味線は初めてです。
どこからか分からないまま私は歩き出しました・・・
ふっと少し離れた横手の山裾で一人のおじいさんが熱心に弾き、歌って
いる姿を発見しました・・・
私はしばらくその様子をうかがっていましたが、急に目と目が合ってしまい
ました・・・
共に会釈をしましたが、おじいさんのきまり悪そうな仕草に・・・申し訳ない
ことをしたな・・・と、早々にそこを後にしました。
それにしてもこの寒風吹く冬空の下で寒くないかな? と 案じてしまい
ました。
しばらく山道を上っていると遠くで大きなハックション!の音・・・
やっぱり!
風邪引かないでくださいよ・・・ と、私は一人つぶやきました。
しかし、あのおじいさんは家で三味線を弾き歌いだすと・・・
家の人から・・・ おじいさん うるさいわね!・・・ とか・・・ うるさがら
れたりして? この森の中で練習しているのかな・・・ (笑)
それとも森の自然の中で鳥達との共演を楽しんでいるのかな・・・?
あれこれ勝手に想像して楽しんでしまいました・・・ (失礼な!)
山裾にはヤブツバキの真っ赤な花が咲いていて、寒く薄暗い森の中で、
絶世の美人に出会ったような思いでした?
山里に下りてくると、大阪青山大学の西隣にある半町池畔に寒桜の
淡い花が満開でした。
私は振り返って、今 歩いてきた箕面の森に耳を澄ませると・・・
寒い冬枯れの何もないような森の中でも、自然の営みは確実に行われて
いる事を感じます。
その何気ない森の小さな営みごとに、私は自分の心に温かいぬくもりを
感じ、至福の思いを抱きつつ、今日も満足な一日を味わう事が出来ました。
「 ヤブ遊び シロハラ鳥の 冬の狩り 」
「 冬の森 三味線の音 温かく 」
「 ヤブツバキ 冬枯れの森の 紅美人 」
「 冬空に 咲く寒桜 チト淋し 」
「 耳澄ませ 森のぬくもり 冬火種 」 ( 花詩 )
森の冬明けも近い~
「Expo’90みのお森」 に着くと、門扉が閉じています・・・?
どうやら五月山ドライブウエイが凍結による通行止めの為に、
森の駐車場も今日は閉鎖のようです。
車道を若い3人のランナーが走ってきて、
丁度目の前で脚を止め一休みされている・・・
* オレ恐かったわ! 初めてやもんな~
大丈夫やって~ なんにもせえへんわ~
せやけど30匹ぐらいおったな~
どうやら長谷周辺のいつものサルの群れに出会ったようです。
森の通用門から中に入ると、数人の中高年の方々が
大型カメラを担いで急ぎ足で駆けていきました・・・
今頃はどんな珍しい野鳥が撮れるのだろうか?
芝生広場から木組みの展望塔に上って見ました。
風は冷たいものの日差しが少し柔らかく肌に心地いい・・・
南側は左の長谷山(568.2m)、右には堂屋敷山(553.4m)
があり、その谷間から大阪市街が一望です。
西側には山を開発してできた川西市の新興住宅地が広がり、
北側を見ると能勢の山々の後方に妙見山の近代仏閣が
太陽に輝いて見えます。
東側はこれから上る鉢伏山(604.4m)です。
裸木となったコナラやヤマザクラ、リョウブなど
尾根道の落葉樹林をゆっくりと上ります・・・
冬の陽だまりといった暖かそうな南斜面に座り
一休みすると、お尻の乾いた枯れ葉が少し暖かい!
それに見上げる冬の青い空が何と気持ちいいこと~
そろそろ樹木たちは吸水活動を始めているのだろうか・・・?
それともまだ冷たい風の中、もう少し冬篭りをしている
のだろうか?
周辺の木々を見ても、まだ枝先に芽吹きの気配はなさそうです。
鉢伏山山頂に着くと、近くであのカメラマン一行が
みな同じ北の方向へ大きな望遠レンズをつけたカメラを
構えています・・・
どんな野鳥がいるのだろうか?
私はその北の方向・・・梅ヶ谷方面へ向かいました。
しばらくすると落葉樹林の森が広がる所々に
いろんな野鳥が飛び交っているではありませんか~
しばし歩を休め、あのカメラの皆さんには悪いような・・・
一人双眼鏡で野鳥観察を楽しんだものの興味の違いか?
珍しくも鳥の名前さえ分からないのが残念です。
昼なお暗き梅ヶ谷の杉林に下り、再び明ヶ田尾山(619.9m)
への道を上ります。
明るい裸木の森から尾根道にで、しばらく歩くと山頂に到着・・・
ここで昼食です。
ここは箕面市と大阪府豊能郡の境界だそうで、
少し切り開いた山頂には暖かい太陽が燦燦と降り注ぐ・・・
上着を脱いで思い切り深呼吸をしてみる・・・
凛とした冷気と霊気に、何と気持ちのいいことだろうか~
食後ゆっくりと高山への谷道を下るものの、ここは少し荒れた
道なので足元要注意!
戦国武将・キリシタン大名の高山右近・生誕石碑前で一休み、
高山の村落はいつ来ても懐かしさを感じる所です。
村落を抜けて山上の北摂霊園へ・・・
その先から東海自然歩道へ入り西へ・・・
自然8号路に入ると一人の外人さんと出会いました。
歩き慣れている方のようで、いかにも楽しそうに軽快な歩み・・・
満面の笑みで挨拶をして下さり、その笑顔にはこちらも心が
温かくなります・・・ 笑顔とは不思議な力です。
清水谷へ向かって歩いていると前方で 工事中! の看板
と共にブルドーザーが動いている。
聞けば、この先数ヶ所の木橋の架け替え工事だとか・・・
仕方なく再び東海自然歩道に戻り、岩場展望所から
最勝ヶ峰(538.5m)、鎌倉時代の開成皇子の墓を経て、
途中の迂回路から再び清水谷へ下りました。
更に下りた府道から自然6号路(四反田谷)を上ります・・・
この辺にくるとそろそろ脚が痛くなるので、益々ゆっくりの
ドンカメ歩きになる・・・ ドンくさいカメ並み歩きです。
谷下から渓流の響きが・・・
先回歩いた時は、シカがその水を飲んでいたけれど・・・
双眼鏡で覗くと、心地いい水の流れ音が絶え間なく聞こえ、
そのいいリズム感に励まされるように細い山道を上ります。
ケヤキの大木が林立する山道を上り切ると
やっと長谷山への分岐点にでました・・・
冬の陽は早く落ちるので今日は時間もなく、予定変更し
そのまま みのお森林道に入り帰路につきました。
ただ淡々、黙々と歩いた一日でした。
早春の気配は感じるものの、まだ樹木や森の植物は
夜明け前といった感じです。
来週は予想外に暖かくなるという予報なので、
そろそろ森の活動、芽吹きも始まるかもしれません・・・
森の冬明けも近いようです。
’11-2-19 (晴)
新しい森へ!
「EXPO’90みのおの森」の伐採整備作業が一月末日迄と
聞いていたので、もう終わったものと出かけてみました。
ところが近づくと、前方から箕面の森ではあまり見かけない
材木満載の大型トラックが走ってきたのでビックリです。
まだ終わっていないのだろうか?
森の入り口は閉ざされ、前の看板には1-31を消して2-26迄と
記されています。
一ヶ月近く作業が延びていることを知りませんでした。
私は横のハイキングロードに入り、外周から森を覗くと、まだ
大量の伐採された材木が積み上げられ搬出は待っています。
日曜日でも多くの作業の方々が働いていました。
山道を上がっていくと・・・
急に斜面が開け、中央にこの森の木組みのシンボルタワーが
ポツンとそびえ立っているではありませんか・・・
こんな所にあったのか?
それまで沢山の樹木に覆われていたので、姿は全く見えなかった
のです。
それにしても少しのマツの木を残して全て伐採されて丸裸!
明るい太陽がさんさんと山肌を照らしている姿は明るく、
嬉しいような哀しいような・・・
それまで慣れ親しんだ森の光景が一変です。
芝生広場の横から鉢伏山方面へ向っていると、7-8人ほどの
トレイルランナーの方々が前から走ってこられて・・・
* 大丈夫ですよ!
いろいろ看板に通行止め書いてるけど、僕ら走ってきて
大丈夫だったから・・・
と案内してくださる。
それはいいとしてもこんなにも森が変化して、それまでの面影が
無くなってしまい、ショックで少し淋しい気持ちになりました。
必要な作業と理解しつつも、この割り切れない気分は、
多分ものの変化に弱い老化現象なのかもしれません。(笑)
帰路、自然6号路(四反田谷)を下りました。
この谷間を私は「小鳥の村」と名付けましたが、毎回沢山の野鳥が
さえずり飛び交っていたのに、今日はどんなに聞き耳を立てても
一つも聞えてこないのです・・・
最近、耳が遠くなってきたのでそのせいかな?
と、寂しい思いをしながら下りてきましたが・・・(笑)
ここもまだ通行止めのようですが、ほとんどが以前のままで
期待していた山道の補修工事はそのままのようです。
耳を澄ますと気持ちのいい谷川の流れが聞えてきます。
双眼鏡で谷底を見ると、今日は珍しく白い水しぶきを上げながら
勢いよく流れています。
しかし、崩れ土砂で道が狭くなり、一部斜面化した荒れ道があり、
これも最近つまづきがちなので、慎重に渡るだけで精一杯で
ゆっくり森に浸る余裕はありませんでした。(笑)
府道(豊中亀岡線)に下ると、自然6号路の100M程の
崩落斜面が工事中で、下の看板にはここだけのようですが、
請負金額が1400万円云々とありました。
やはり緊急性のある所だけになるようですね。
箕面林道に入り四季の森を周回していると、大型カメラを抱えて
野鳥撮影をされている方がいました。
・ 今、何がいるのですか?
* そこにウグイスとその先にキビタキのメスがいますわ!
私も双眼鏡で見つけるとしばらく観察を楽しみました。
撮影の邪魔をしてはいけないと思い早々にそこを離れると、
今度は箕面川ダム湖の湖面に同じように望遠レンズをつけた
大型カメラを構えている方がいました。
私が音を立ててはいけないと思い立ち止っていると・・・
* ああどうぞ! 今いいですよ。
あそこの下の方で釣りしてる人おりまっしゃろ!
あの人を撮ってまんねん!
・ ああ人ですか?
そういえばどうやってあそこまで下っていったのかな? と
いうような所で一人の釣り人が糸をたれています。
カメラマンは絵になりそうないろんな対象を同時に狙っている
ようですね。(笑)
長谷橋近くまでくると、山へ向って双眼鏡を覗いているご夫婦が
いました。
・ 何がいるんですか・・・?
* ワシ分かりまへんねん!
おい! 何おるねんな!
奥さんは・・・
* 今はシジュウガラが4-5羽その先にいます。
あれはヤマガラかな?
さっきウソがいましたけど・・・
* ウソって鳥か?
ご主人は私と同じようです。(笑)
市道(箕面五月山線)に出ると、また伐採搬出の大型トラックが
スギ丸太などを満載してゆっくりと下っていきました。
長い長い間みのおの森で育ち、沢山沢山楽しませてくれて
ありがとう・・・
なにか出棺の車を見送るような気分で、少しセンチメンタル
になってしまいました。
いつも沢山の野鳥が季節ごとにさえずっていた森の木立が消え、
あの鳥たちはどこへねぐらを移したのだろうか?
あの隣接する四反田谷で今日さえずりを聞かなかったのも、
何か生態系に変化があったのだろうか?
複雑な思いを抱きながら、新時代の新しい森の再生を
願うのでした。
それにしても耳の老化現象でなく少し ほっ!です。(笑)
’10-2-14 (完)
冬枯れの森のぬくもりに・・・!
今日も寒い一日です。
どんよりとした厚い雲に覆われた空からは、時折小雪がちらついて
きます。
六箇山へ向かって水沢コースを登り、一休みをしている時でした・・・
回りから何かゴソゴソゴソ・・・と音がするのです。
なに・・・?
耳あてをはづして耳をすませていると、ササヤブの茂みや枯れ葉の
あいだを、なにやら動くもの・・・ それも多数?
すると急に音がすると鳥が4~5羽バタバタ・・・と 飛び立ち木の枝に
とまりました・・・ 実は鳥でホッとしました・・・安堵の一息です! (笑)
気の弱い私としては、原因の分からない時の不明な音ほど不安で
緊張する事はありません・・・
枝にとまっている鳥をよく見ると全長25CM 前後、いつも見る
ヒヨドリよりは少し小さく、ムクドリ位の大きさです。
外側の尾羽の先に白斑があるのが見えました・・・
上面はオリーブ褐色で下面は淡褐色です。
(後で図鑑で調べたら、渡り鳥のシロハラのようです。)
木の実か昆虫を捕らえていたのでしょう・・・
ところがまたゴソゴソゴソ・・・と音がするのです・・・
他になにかが・・・?
私が立ちあがったところ・・・バタバタバタ・・・と 一斉に鳥が飛び
立ちました・・・ その数、20羽ぐらい?
まだいたんだ・・・!
驚かしてゴメン ゴメン・・・と つい、つぶやいてしまいました。
(森の色と同じ擬似色で全く分かりませんでした・・・)
寒い、淋しい冬枯れの静かな森の中で、このシロハラ鳥達の賑やかな
営みに、私は逆に生きもののいる森の温かさを感じました。
* 箕面在住の 高野 日出夫氏の句集 「箕面山麓」
(発行・編集工房ノア) を、書斎の本棚から出して見ていると、
こんな句がありました。
「枯草掻き シロハラが 目の前に来る」
まさに今日の光景がぴったりでした。
横にはコバノミツバツツジの木があり、その小枝の先には早や小さな
新芽が見えていました・・・
春を待っているんだな・・・ そんないとおしさを感じました。
今日はまだ一人も他のハイカーの方とは会っていません。
時折聞える小鳥達のさえずりと冷たい北風の音、その風になびく葉音
のささやき・・・ それに自分が枯れ葉を踏む足音が響きます・・・
それに薄暗い森は益々寒さを感じます。
海の見える丘 から西尾根を下っている時でした・・・
その静かな冷たい森の中から何かの音楽の響きが・・・?
聞き耳を立ててきくと なんと! 三味線の音色ではありませんか・・・
どこからかな?
しばらく立ちどまって聞いていましたが、そのうち渋い歌声が聞えて
きました。
何度か同じところを歌いなおしている所をみると、どうやら練習中の
方のようです。
今まで箕面の森の中ではバイオリン、フルート、クラリネット、ギター
などの練習やハーモニカなどの音色は聞いてきましたが三味線は
初めてです。
どこからか分からないまま私は歩き出しました・・・
ふっと少し離れた横手の山裾で一人のおじいさんが熱心に弾き、
歌っている姿を発見しました・・・
私はしばらくその様子をうかがっていましたが、急に目と目が合って
しまいました・・・
共に会釈をしましたが、おじいさんのきまり悪そうな仕草に・・・
申し訳ないことをしたな・・・と、早々にそこを後にしました。
それにしてもこの寒風吹く冬空の下で寒くないかな? と 案じて
しまいました。
しばらく山道を上っていると遠くで大きなハックション!の音・・・
やっぱり!
風邪引かないでくださいよ・・・ と、私は一人つぶやきました。
しかし、あのおじいさんは家で三味線を弾き歌いだすと・・・
家の人から・・・ おじいさん うるさいわね!・・・ とか・・・
うるさがられたりして この森の中で練習しているのかな? (笑)
それとも森の自然の中で鳥達との共演を楽しんでいるのかな?
あれこれ勝手に想像して楽しんでしまいました・・・ (失礼!)
山裾にはヤブツバキの真っ赤な花が咲いていて、寒く薄暗い森の
中で、絶世の美人に出会ったような思いでした?
山里に下りてくると、大阪青山大学の西隣にある半町池畔に寒桜の
淡い花が満開でした。
私は振り返って、今 歩いてきた箕面の森に耳を澄ませると・・・
寒い冬枯れの何もないような森の中でも、自然の営みは確実に
行われている事を感じます。
その何気ない森の小さな営みごとに、私は自分の心に温かい
ぬくもりを感じ、至福の思いを抱きつつ、今日も満足な一日を味わう
事が出来ました。
「 ヤブ遊び シロハラ鳥の 冬の狩り 」
「 冬の森 三味線の音 温かく 」
「 ヤブツバキ 冬枯れの森の 紅美人 」
「 冬空に 咲く寒桜 チト淋し 」
「 耳澄ませ 森のぬくもり 冬火種 」 ( 花詩 )
08-2-3 (完)
雪の滝道を歩く・・・ コリャ コリャ!
今朝、家の窓から箕面の山を見ると 全山真っ白 で ビックリでした。
まだ小雪が降り続いているので、今日はどうしようかな・・・?
何しろ先日は雪の装備不十分でさんざん反省した後ですから・・・
それに、まだ雪仕様の靴もウエアーなども用意していませんから・・・
迷います。
いくら低山の箕面の森とはいえ、自然の脅威を知ってしまうと ここは慎重に
ブレーキをかけて・・・今日は安全な箕面大滝までをノンビリと歩く事にしま
した。
滝道の 「母を背負う・・・」 銅像にも雪が積もり、背負う笹川良一像も
心なしか重そうに感じます。
明治時代の古い橋本亭が建つ一の橋の袂から箕面川を見下ろすと、雪を
抱いた小岩の間からサラサラと清らかな流れがありました。
その先では、いつも見られるカワムツなど川魚の姿が見えません・・・
やはり、凍てつく冷たい谷川の水ですから・・・
こんな時、一体どこに隠れているのでしょうか・・・?
瀧安寺の前の芝生広場も一面真っ白の雪で埋まり、一組の子供連れが楽し
そうに雪だるまを作って遊んでいます・・・
今日はやはりカメラを担いだ方が多く見られます・・・
雪に覆われた箕面の森は、まさに絵になる絶景があちらこちらで見られ
ますから、シャッターチャンス日でカメラマンは大忙しの様子です。
山本コーヒー店から箕面川を渡り、南側の山道に入ります・・・
アスファルトの滝道と違い、土の山道なのでぬかるんでいるかな・・・ と 思い
きや、深く積もった雪でゴロ岩が隠れて逆に歩きやすいほどです。
ザクザクと歩くたびに雪の音がしていいものです・・・
真っ赤に咲いたツバキの赤い花の上にも白い雪が積もり、その対比がとても
美しい・・・!
下を流れる箕面川の渓谷はいつもと違って神秘的です。
カメラマンの方がここにもいてシャッターチャンスを狙っています・・・
彼らに こんにちわ! と 言うとうるさそうにされますから、こんな時は
先方から言われない限り静かにして通ります。
( 最初の知らない頃、鳥を狙っているカメラマンの方に挨拶したら、鳥が
逃げたようで、睨まれた事がありましたからね (笑))
雪に埋もれた渓谷の森を、 いいな~ きれいだな~ すごいな~
と いつもの如くゆっくりのドンカメスタイルて浸り歩いていると・・・
前方から一人の女性が下りてこられて・・・・
・ きれいですね! この先には鳥がいっぱいいましたよ・・・
なんていう鳥なのでしょうか? 素敵な眺め・・・ 素晴らしいですね・・・
云々と、話し掛けられました。
この年まで、女性から話し掛けられる機会のまずなかった私としては、
最近 よく声を掛けられます。 喜んでいいのか、悪いのか・・・?
爺じいになったので、人畜無害に見えて女性からの警戒心がなくなったの
かもしれません (笑)
姫岩の手前から見る赤色のつるしま橋の眺めは、白い雪化粧と相まって
美しい光景です。
ここから、更に上の地獄谷入口から風呂ケ谷登り口につながる山道を
歩きます。
いずれも箕面川を挟んで下方に滝道が見え隠れしていますから、大声を
出せばすぐ聞える安心な山道です。
( 時々、豪雨の時に山裾が崩れたり、倒木や落石があったりして閉鎖に
なりますから、注意は必要ですが・・・ )
ここも一人歩きの方が多く、会うたびにお互い挨拶を自然と交わします。
やがて滝道と合流したとたん、すれ違う人々とは全く互いに無言・無関心
となり・・・ その変化に我ながら苦笑してしまいます。
まもなく大滝が見えてきます・・・
両側真っ白の中に一本のスマートな滝の流れが見えてきました。
写真で見るのと違って、やはり実物の美しさは感動的です。
数人の方が大型カメラを構えて撮影をされていました・・・
絵を描いておられる方もおられます・・・
しばし見とれてしまいましたが、急に寒気がしてきました・・・
じっとしていると足元から冷気が体を包みます・・・
そう言えば、この元旦に初歩きをしてここに来た時・・・
初めて前の店で熱燗を飲んだことを思い出しました・・・
でも、見ると今日は戸が閉まっています・・・ 残念!
しかし、少し下った所にある茶店をのぞいて見ました・・・
この寒いのに開けっぴろげの店の中には7-8人の年配の方々がストーブを
囲んで賑やかにしています・・・
かなり年季の入った・・・昔からの店のようです。
私は一つだけ空いていた窓際の席につき、早速 熱燗一本と 大きなお鍋に
湯気を立てていた美味しそうな おでんを頼みました。
窓から外を見ると、目の前の箕面川の渓谷を挟んで真っ白い森が見えます・・・
時折、枝の上の雪が落ち、舞った白い粉雪が窓にあたります。
寒い寒い雪の森で、ストーブを囲み、熱燗を口にすると・・・心も温かくなり
ます!
ここの人たちは皆さん店の常連さんらしく、茶店の人も交えて一緒に
おしゃべりを楽しんでいるようです・・・
箕面の雪や山の話し、イノシシや鹿の話、植物の話から いつ頃 桜が咲く
とか・・・
それに今日の写真やカメラの話など盛り上がっていました。
私は彼らの話を左の耳で聞きながら、右の耳では雪が滑り落ちる音や、
川の流れ・・・ それにこのいい一期一会の雰囲気に浸りながら、至福の
一時を過ごしました。
私は家系的には酒に強いのですが、日頃 余りお酒を飲まないので、
たった一本のアツカンで結構いい気分になってしまいました。
あばさん! ごちそうさん・・・ おでん 美味しかったよ ありがとう!
・ ありがとうございます・・・ また寄ってください!
店をでて 唐人戻岩の所まで来た時・・・
ふっと見上げるとそれまで気が付かなかったのに、その大きな巨岩の上に
何本かの大きな木が繁っているのが見えました・・・
高さは7-8m以上で何の木・・・?
それにしてもこの硬い大きな岩の上に、どのように根を張って養分を得て
育ったのかな・・・?
体を思い切りふんぞり返えして見上げていると・・・
フラフラフラ~ ヨロヨロヨロ~ 雲の上を歩いているようでした。
その時です・・・・
アッ! コリャ コリャ コリャ~ との掛け声!
踊っていたわけではなく、転びかけていた私が何とか立ち直り 前を見ると
二人の男女の外人さんの声でした・・・
思わず私も コリャ コリャ~ と踊る恰好でごまかして、共に大笑いでした。
この道でスッテンコロリンは恥かしいので、それからはまた いつもの
ドンカメ歩きで今度は滝道の方をゆっくりと戻ってきました。
途中、突然空のかなたから ピュー と いう甲高い猛禽類の鳥の鳴き声が
聞えました・・・ 何?
すると、目の前の大きなもみじの小枝にとまっていた数10羽の鳥
(アトリか?) が、一斉に飛び立ったではありませんか・・・
その影響で、小枝に降り積もった雪が一斉に舞い上がり、風にあおられて
滝道を覆い、前が見えないぐらいに降りそそいできました・・・
お陰で私はいい気分で歩いていたのに、冷たい粉雪を顔いっぱいに浴びて
しまい、その冷たさに酔いがいっぺんに冷めてしまいました・・・ (笑)
今日は 冷たくも 心温かな 雪の箕面の森 の一日でした。
08-2/24 (完)