私の森浸りと相棒は・・・!
私は 「箕面の森の散策」を趣味の一つとしていますが、更に具体的に自分に
問うならば 「山歩き」でもなく 「ハイキング」でもなく 「自然観察」でもなく・・・
やはり的確な言葉はないけれどあえて 「森浸り・・」といった所です。
何か? 森の木の枝で じ~としている ”ふくろう” みたいですね・・・
気に入った森の中でゆっくりと浸る・・・
これは私にとっていつの間にかやみつきになりました。
最初から意図してやったわけではありませんが・・・
山歩きを始めた頃は、より遠くへ、より早く、より初めてのところを探し、そして
それらを自分の地図に毎回印をつけ、満足していました。
箕面駅前にある箕面観光協会で 「箕面の森のハイキングマップ」 を頂き、
毎回それに書き込み、地図にない道を新たに加えたり、コピーしコピーして
自分なりのオリジナルな森の地図を作ってきました。
しかし、「箕面の森」は 東京の「高尾の森」に次いで、日本で二番目に小さな
「国定公園」ですから 週末に毎回歩いていても 1年(52週、52回ぐらい)で
あちこち組み合わせたとしても全てのコースは二回ぐらい歩けてしまいます。
そこで 2年目からは前回歩いた時と季節を変えて歩いたり、逆向きにコース
を取ったりしたら、また違う風情が楽しめたり、新しい発見があったり・・・と、
その都度コースの組み合わせも考えて楽しんできました。
しかし、体力の懸念もありますが、早く、遠くまで、今日の目的地まで何が
何でも・・・ とやっていると 3巡もすると慣れ過ぎて感動が薄れてくるんです。
ある秋の日、疲れたこともあり 目的地までを諦めて1時間ほど森の中で
浸っていました。
じ~としていると、今まで聞えなかったいろんな森の音が聞えてくるんです。
風の音~風にそよぐ葉と葉の音、木立が擦れ合う音、枯れ葉が舞い落ちる音
、小鳥のさえずりが何種類もいっぱい聞えてきた・・・
まさに 森のコンサートの始まりです!
足元にはせっせと冬の準備で忙しい蟻の姿、いろんな昆虫も目の前にいる・・・
少し先には森の中に一本だけの真っ赤に紅葉した「イロハもみじ」の木が
ある・・・ きれいだ! 気が付かなかった・・・
こんなきれいなもみじを私だけ独り占めしてしまっていいのかな! 普段は
誰も気が付かないだろうな・・・ もったいない。
小鳥がいっきに飛び立った時、ぶなの木から枯れ葉がまるでシャワーのように
降り注ぐ・・・ 肩に何か当たった・・・ 何?
しばらくしてパラパラと音を立てて ドングリがいっぱい落ちてきた・・・
見上げると一匹のお猿さんが木から木へと移りながら木の実を食べていた・・・
こんな出来事の重なりが、私が 浸りの魅力 に目覚めた時でした。
7年目の今は、もっぱらこの 「森浸り・・」を楽しみ、いつまで続くのか飽きも
せず・・・
いや~本当に同じ森ばかりでよく飽きないものですね・・・と 周りからは呆れ
られていますけど・・・ 凝っています。
しかし不思議ですね。 私はもう400回以上になりますが、いまだに森に入る
と、いつも行く度に 新しい感動と、新しい発見と、心の癒しをもらって、英気を
養って帰ってくるのです。
「森浸り・・」には双眼鏡のほかに、もう一つ相棒がいるんですよね。
森で浸りたい・・・いい所なのに座る所が岩場だったり、雨上がりで濡れて
いたり、急斜面だったり、ぬかるんでいたり、適当な座る場所がないときが
ありますよね・・・
そんな時、試行錯誤して見つけたのが・・・・これなんです。
私が森浸りに至った経緯の一端は前回、少しお話しましたが・・・
それには相棒が必要なんです。
この相棒探しには時間もかかりましたが、何とひょんな所で見つかったんです。
森浸りに重要な事は、気に入った森の中でゆっくりと心を落ち着けて、心穏や
かに自然の空気と一つになって 浸りきる事だと思っています。
その時大事なのは座る所・・・
どんなに良い場所でも座れないごつごつした岩場であったり、濡れたぬた場で
あったり、足場の悪い所や斜面だったり、まして雨や雪ではゆっくりと座れない。
そんな時に相棒は強い味方です。
そうなんです! 「小椅子」 なのです・・・
折りたたみで 軽く 小回りがきく物。
いろいろ探してみましたが帯に短し、たすきに長しで上手くいかない・・・
所が何と 100円均一SHOP にあったんです。100円ですよ!
これで座れるのかな?
どうせ100円だからダメでもいいや・・と、持っていったら軽くて、小さいのに
尻の大きな私でも座れるし、どこでもひょい! と取り出して座れる気軽さに
大満足!
いまやいつも私のリュックに納まっていてすっかり相棒になりました。
他の100均店でも探したらまた形の違うものがありました。
これはダメでしたね。
私のお気に入りの小椅子は人にも勧めようとおもい、再びその店へ行きました
が、もうなくなってしまいました。 残念!
今日も教学の森に座っているとウグイスが鳴き方の練習中で面白いんです。
鳴き方を教えているウグイスもいるのか?・・・親子かな?
二羽が交互に鳴くんですが、練習している方が ”ホ~ホ~ケキョ・・ケケ・・
キョ・・ ケキョ・・” なんてね こっちがひっくり返りそうになるんですよ。
すると少し先で お母さん鳥? が ”ホーホケキョ・・”と、きれいに鳴くんです。
次は 子供? のほうです・・・”ケケケケ・・キョ ケキョ・・”
ホ~が抜けだぞ! と 私の独り言ですが・・・。
横には 山つつじの「コバノミツバツツジ」がピンクの綺麗な花を咲かせてい
ます。 「もちつつじ」も蕾を膨らませてきたな・・・
足元にはよく見ると スミレの花・・「タチツボスミレ」 か?
可憐できれいだな・・・
樹木の葉の間から太陽が山道を照らす・・・ 小さな 「シダ」の赤ちゃんが
一斉に太陽に向かって小さな葉を広げている。
しばらく歩いて後鬼谷(ごきだに)から上った尾根道でまた小椅子に座り
ながら一休み。
さすがまだ山頂は風が冷たい・・・温かいコーヒーが有り難い・・・
ふっと木々の間に目をやると、この周りには 丸い石が多い・・・なぜ?
岩とは明らかに違う・・・もしかして!
後で箕面ビジターセンターの職員の方に尋ねたら、「あのあたりは数十万年
前は海の底だったんでしょう・・・だからそれはかつての海の石でしょうね・・・
」 と。 やっぱりね・・・
才が原林道の道脇には、はっきりと地層の見えると所があるんです。
ある時 歩きながら山肌に丸い石がいくつもあり・・・あれ!?
このときも後で聞いたら大昔の海底の石ですよ・・・と 言われてビックリ!
地歴の好きな子供なら 「おじさん・・そんな事も知らないの!」 と 言われ
そうだが・・・ おじさんは今、子供時代をやっているんですよ・・・
我ながら、まさに好奇心でいっぱいな少年の様相ですね。
春夏秋冬・・・森浸りをしているといろんな事があって飽きません。
もういっそうの事、森の中に 山小舎 を建てるしかありませんね・・・
本当は欲しくて仕方がないんですが・・・
この夢は生きているうちに叶うでしょうか・・・?
叶えばこれが本当の私の人生の相棒になると思うんですが・・・
その前に、人間様の「相棒」の説得がこれ大変なんですが・・・
なにしろ 「山ノ神」 と言いますからね・・・逆らえません! とほほ・・・
06-1 (完)