面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

小幡績よ、MMTをやるなんてことは不可能なんだ

2021-12-14 19:10:20 | 経済
また財務省出身の御用学者(二浪で東大経済学部首席卒業)小幡績が東洋経済に滑稽なコラムを書いている。面倒なことだが、批判しておかなくてはならない。莫迦を放置すると莫迦な主張が広まってしまうからだ。

財政破綻派の主張は滅茶苦茶だが、嘘も100回言えば真実になるので論理破綻は構わないのだろう。

タイトルの「MMTをやる」ことが不可能な理由はMMTは経済法則であるから「万有引力をやる」何てことができないのと同じことだ。だが小幡績がMMTをどのような屁理屈で否定するのか興味がなくもない。ひとつずつ挙げて否定していこう。

繰り返し引用して否定する形式を採ったので無駄に長い。上手く読み飛ばしながら読んで欲しい。

~~引用ここから~~

日本では絶対に危険な「MMT」をやってはいけない | 小幡績の視点

「MMT(現代貨幣理論)」が、いまだに日本では言及されているようだ。改めてひとことで言えば、これは「独自通貨を持つ国であれば、債務返済のため...

東洋経済オンライン

 


「MMT(現代貨幣理論)」が、いまだに日本では言及されているようだ。

改めてひとことで言えば、これは「独自通貨を持つ国であれば、債務返済のための通貨発行に制約を受けないため、いくら借金をしても財政破綻は起きない」という理論である。

だが、結論から言えば、これは理論的に誤りであるうえに、現実に採用されれば、経済を破壊する「最も害悪の大きな理論」になる。以下、理由を説明しよう。

MMTの「4つの誤り」と「3つの害悪」とは?
理論的には、以下の4つの大きな誤りがある。

第1に、価格メカニズムをまったく無視している。
第2に、リスクという概念が存在していない。
第3に、その結果、金融市場をまったく無視している。
第4に、その結果、マネー自体を無視している。

つまり、現代貨幣理論とは「現代ではマネーを無視していいのだ」という理論である。

だから、貨幣理論なのに財政がすべてを決めるのである。その結果出てくる政策提言は、インフレ水準がターゲットよりも低ければ、財政支出をとことん行い、インフレがターゲットを超えたらとことん財政支出を縮小し、とことん増税する、というものとなる。

これは、誰が見ても、経済を破壊する理論であり、政策であることがわかる。しかし、MMT論者はそれが理解できないようなので、現実の大きな問題点も指摘しよう。

現実の政策としては、3つの害悪がある。

第1に、財政支出の中身がどうであっても、気にしない。
第2に、金融市場が大混乱しても、気にしない。
第3に、インフレが起きにくい経済においては、その破壊的被害を極限まで大きくする。

理論と現実の政策としての問題点の説明は、現実的に日本経済が破壊されることを何よりも防止するために、政策の害悪を先に説明しよう。

第1の害悪である「財政支出の中身の議論を行っていない」点に対しては、ワイズスペンディング(賢い支出)が必要であるという、単純だが重要な問題がまずある。

経済にとって必須であり、破滅しそうな社会を救うような財政出動は、もちろん行うべきである。しかし、失業率が歴史的に最低水準にあるような場合に、景気対策をするための財政出動はするべきでないことも明白である。

インフレ高進が起きなければMMTをやってもいいのか?
にもかかわらず、MMTでは、その議論には立ち入らずに「財政支出を拡大する余地がある」とだけ説く。前提として、財政支出が不足しているという認識があるのだろうが、そうであったとしても、役に立つ支出と無駄な支出と、害悪の支出とがある。その区別は財政支出という政策を議論する際には、何にもまして重要である。それを無視した政策提言は害である。

これに対してMMT論者は「細かい政策の是非については、個別に議論すればよい。われわれが言っているのは、マクロ政策として、財政支出の規模を増やすべきだと言っているのだ」と主張するだろう。そして、なぜ財政支出の規模を拡大するのが望ましいかと言えば、実際に困っている人々が社会にいる以上、その人たちを支援するための財政支出をするべきだ、ということを第1の理由として挙げる。

しかし、「すべての人を理想的な状態まで助けることができればそれは良いが、支出にも限度があり、コストとベネフィットの見合いで、妥当な水準があるはずだ。闇雲に支出を増やすのはおかしい」と普通の人々が言えば、彼らは「いや、財政支出は、インフレ率が高くなりすぎなければ、どんどん拡大していい」と主張し、「歯止めはインフレだ」という。あるいは「現在、インフレが起きていないことが財政支出が足りないことの何よりの証左である」と主張する。

この点が特に日本におけるMMT支持者にとって重要である。インフレが起きない日本なら、どこまで財政出動してもいいと彼らは主張する。こうなると「ワイズスペンディング(賢い支出)論が足りない」という素朴な問題でなくなり、日本経済を破壊する政策になってしまう。

なぜなら、インフレ率は財政支出の規模の妥当性の指標ではまったくないからである。インフレは金融緩和によってマネーがじゃぶじゃぶになれば起こるものでもなく、また、需要が過剰になれば必ず起こるものでもないのである。前者は、素朴な貨幣数量説が成立しないことを示しており、後者は、MMTがインフレ率だけを頼りに財政支出の規模を決めることが誤っていることを示している。

日本においてはとりわけ、2013年、2014年と需給ギャップが解消されてもインフレが起きず、インフレ率は景気の指標としても有効でないことが示されているから、日本こそ、MMTをいちばんやってはいけない国なのである。これは第3の点のところで詳しく議論しよう。

政府が大規模な財政支出を続ければどうなるのか?
第2の害悪として挙げた「金融市場がどうなってもよい」という考え方は、財政支出の適切な規模をMMTでは判断できないこと以上に、経済を壊滅的に破壊する可能性がある。

例えば「財政出動をとことん行って金利が大幅に上昇しても、インフレがターゲットを超えない限り、財政支出を続ける」ということが起こりうる。これは、大規模な財政支出により、民間投資が大幅に縮小する、という典型的なクラウディングアウト(英語の元は「押し出す」の意味)を起こすということである。その結果、民間経済の活力、経済成長力は大幅に低下し、経済は長期的な大不況に陥ることになる。

これに対する彼らの反応は「理論的にはそのとおりだが、現在、世界経済は低金利で困っている。とりわけ日本はその最たるものだ。したがって、金利が上がらない現代でそのような心配をするのは杞憂だ」というものである。

これも、明らかに間違いで、金利が低いのは世界各国の中央銀行が無理やり低金利に押さえ込む、大規模な金融緩和を行っているからである。もし、低金利を維持したまま、大規模財政支出を継続すれば、民間の投資は、干上がってしまう。

投資資金は限られており、金利という価格による需給調節が効かなくても、政府セクターに取られてしまえば、リスク資金は民間へ回ってこない。さらに、人手が不足する。労働力は限られており、とりわけ優秀な人材はすぐに枯渇する。すると、民間投資として適切で利益の上がる投資を行える人材が不足する。彼らは、大規模財政支出に乗じて、その分野で稼ぐために活動しているからである。

中央銀行が資金を供給したところで、それを受け取る民間経済主体はいない。将来の経済見通し、リスクが不透明のため、投資も控えるし、儲かるかわからない投資のための資金も利子率ゼロでも借りない。

ただで資金をくれるのであれば、それはもらうだろうが、それは中央銀行が行うのではなく、政府財政で行うことになるから、これは財政政策であり、民間投資ではない。この財政支出がうまくいくかどうかが、保証されていない以上、この財政出動は意味がない。これは第1の、ワイズスペンディングの議論にも関係する。

この結果、自らリスクをとって金融機関も貸し出しを行うことはせず、企業も個人も借り入れで投資は行わなくなる。

中央銀行が異常な量的緩和を行っていなければ、つまり、国債の実質直接引き受けをせずに、通常の範囲での金融緩和を行っていれば、資金はほとんど国債に吸収されてしまい、民間に回る資金が枯渇し、民間経済主体の資金調達の金利は急騰することになる。民間投資は、大規模財政出動が行われる前から実行されていたものですら、干上がっていくことになるだろう。

そして、金融(株式や債券)市場は、暴落することになるだろう。金利が上がるし、中央銀行が金利を押さえ込んだとしても、そうなると経済も将来の市場の不透明性が増大し、リスクが高まる。ましてや、インフレになるリスク、そしてそのときに大増税、財政支出の急減による大不況のリスクがあるから、誰も投資しなくなるだろう。

つまり、リスクという現在と将来のバランスをとる機能を果たす価格、金融市場の最大の機能を殺すことにより、金融市場は大暴落、実体経済も大混乱となるだろう。

日本でMMTを絶対にやってはいけないワケ
MMT理論を現実の政策として実行することにより、金融市場が混乱にとどまらず、崩壊してしまう危機に追い込まれる可能性は、世界で日本が最も大きい。日本こそ、MMTを絶対に実行してはいけない国なのである。
なぜなら、これが政策としての第3の問題点であるが、インフレが起こりにくい経済においては、財政支出の歯止めが効かないからである。その結果、とことん、経済が破滅的におかしくなるまで、財政支出は拡大され続けるのである。

インフレがなぜ起きにくいのかは、また改めて詳しく議論したいが、大まかにいって理由は3つある。第1に、企業の価格設定行動の結果の合計がマクロ的な物価水準であるから、企業が値上げをできるだけしないようにする日本ではインフレが起きにくい。

企業が値上げをできるだけしない理由は、消費者が値上げに過度に敏感であり、値上げで失う売り上げがあまりに大きいため、日本では商品提供者はできるだけ値上げしないのである。だから、卸売物価は変動しても消費者物価にはあまり反映されないのである。

第2に、これは世界的な現象でもあるが、過熱した実体経済において生み出された利益や所得は、実物財に回らず、現代ではその多くが資産市場に投資される。だから、モノの値段は上がらず、株式や不動産だけが上がるのである。そして、物価で上がっているのは不動産、つまり家賃が最も大きなものの1つなのである。

第3に、モノの供給が世界中からなされるために、一国内の経済が過熱しても、その国の物価が上がるとは限らない、という普通のこともある。

これら3つの影響で、インフレ率は、現代においては、景気、需給ギャップの指標の役割を果たさなくなっているのである。

だから、金融緩和が過大になって資産市場がバブルになることが21世紀になって頻繁になっているのである。しかし、中央銀行は物価だけでなく資産市場にも目配りをしているから(少なくとも多少は)、MMT論者よりはましなのである。

経済や社会における、過大な財政支出の悪影響、コストはインフレだけではない。労働力や設備など経済資源の無駄遣い、民間経済と公共部門とのバランスの喪失、成長力の低下などがあることは前述したとおりだ。

MMTは資本市場の機能や国の長期成長力を破壊
これらは、経済における資本の配分、誰が資本をどの程度利用するのが経済にとって望ましいか、ということを行う資本市場の機能をMMTが破壊することによっておこる。価格メカニズムが資本市場において機能しなくなり、しかも、その代わりに配分を行う主体を考えないことにより、資本の利用の非効率性が計画経済よりもひどいものになってしまうのである。

そして、それは、現在において「誰に資本を配分するか」という問題を無視するだけではない。現在と未来において「どれだけ資本を使うか、資源を今投入するか、消費するか、それとも長期的な投資に回すか、さらには、すべての金融資本を今使い切るのではなく、将来に金融資本を実物資本に転換することのほうが効率的か、それをどのくらいのペースで、現在から10年後、20年後、100年後の未来に配分していくか」など、それらを一切考慮しないことにより、経済の長期成長力を徹底的に破壊する。

資本市場は、資本を今、誰に配分するかという問題と、どの時点に配分するか、という現在と将来の資源配分、資本配分という経済成長において、最も重要な機能を果たしているのである。

このようにMMTは、この2つの機能を無視して会計的な現在のバランスだけを強調することにより、市場、価格メカニズム、リスク配分、利子率という現在と未来との相対的な重要性、これらの要素をすべて無視しているのである。

これらの機能を果たすための媒介手段が貨幣、マネーである。MMTは、これらの機能を無視し、貨幣を、政府の手段、そして納税の手段とだけとらえ、経済、市場を無視しているのである。この結果、MMT理論を政策として実行すれば、経済は壊滅するのである。

理論的な4つの誤りのほうも、ここに明確になっただろう。したがって、これ以上、MMT理論を批判する必要はない。もうたくさんだ。
~~引用ここまで~~


>つまり、現代貨幣理論とは「現代ではマネーを無視していいのだ」という理論である。

最初の段落の論理構成はMMTを貶めるための論理だが、この結論がよくわからない。小幡績の頭の中では自明のことのようだが、MMTはマネーを無視しても良いなんて理論だっただろうか。まあ慌てずひとつずつ見ていこう。

>第1の害悪である「財政支出の中身の議論を行っていない」点に対しては、ワイズスペンディング(賢い支出)が必要であるという、単純だが重要な問題がまずある。

確かに歳出は効用が最大になるよう賢い支出を行うべきではあるが、東大経済学部ではケインズ政策を習わないのだろうか。「穴掘って埋めるだけ」で不況時には効果があるのだ。それに何より「賢い支出」というのは緊縮財政派の歳出を搾る理屈付けでしかないのだ。

>経済にとって必須であり、破滅しそうな社会を救うような財政出動は、もちろん行うべきである。しかし、失業率が歴史的に最低水準にあるような場合に、景気対策をするための財政出動はするべきでないことも明白である。

日本の見かけ上の失業率は低いが実質賃金が100万円も下がっているから女性や高齢者も働かざるを得ないのが実態だ。明らかに現在は不況なのだ。財政出動は必須である。二浪して東大経済学部を首席で卒業した小幡績のように恵まれた人間には不況、貧困を我が事として捉えられないのかもしれない。

>にもかかわらず、MMTでは、その議論には立ち入らずに「財政支出を拡大する余地がある」とだけ説く。前提として、財政支出が不足しているという認識があるのだろうが、そうであったとしても、役に立つ支出と無駄な支出と、害悪の支出とがある。その区別は財政支出という政策を議論する際には、何にもまして重要である。それを無視した政策提言は害である。

本当に東大経済学部ではケインズ政策を習わないのだろうか?確かに海外援助は国内に金が還流しないから害悪な支出といえよう。しかし今話題になっている現金給付をクーポン券にすると事務経費が967億円掛かり全く無駄な支出だが、その事務経費を受け取った人がさらに食費や娯楽などに使うから無駄にはならないのだ。

>これに対してMMT論者は「細かい政策の是非については、個別に議論すればよい。われわれが言っているのは、マクロ政策として、財政支出の規模を増やすべきだと言っているのだ」と主張するだろう。そして、なぜ財政支出の規模を拡大するのが望ましいかと言えば、実際に困っている人々が社会にいる以上、その人たちを支援するための財政支出をするべきだ、ということを第1の理由として挙げる。

まさにその通りではないか。増やす歳出は福祉でも公共事業でも軍事費でも教育費でも良いのだ。日本の国益の最大化を図るべきであるが、何に使うかは個別に議論すれば良い。

>しかし、「すべての人を理想的な状態まで助けることができればそれは良いが、支出にも限度があり、コストとベネフィットの見合いで、妥当な水準があるはずだ。闇雲に支出を増やすのはおかしい」と普通の人々が言えば、彼らは「いや、財政支出は、インフレ率が高くなりすぎなければ、どんどん拡大していい」と主張し、「歯止めはインフレだ」という。あるいは「現在、インフレが起きていないことが財政支出が足りないことの何よりの証左である」と主張する。

「普通の人々」。小幡績は自分が普通の人々の側に立っているつもりらしい。日本だけの例ではないが高度経済成長期は経済が高成長するとともにインフレも招いた。若い人には想像しづらいだろうが、バス代が50円など物価も安かったのだ。私も聞きかじりなのだが。インフレにならなければ歳出を増やすのは当然だ。弱者救済だけではなく国益最大化のために。

>この点が特に日本におけるMMT支持者にとって重要である。インフレが起きない日本なら、どこまで財政出動してもいいと彼らは主張する。こうなると「ワイズスペンディング(賢い支出)論が足りない」という素朴な問題でなくなり、日本経済を破壊する政策になってしまう。

さっぱりわからない。インフレが起きないなら財政出動を増やすのは当然ではないか。だが続きを読むとしよう。

>なぜなら、インフレ率は財政支出の規模の妥当性の指標ではまったくないからである。インフレは金融緩和によってマネーがじゃぶじゃぶになれば起こるものでもなく、また、需要が過剰になれば必ず起こるものでもないのである。前者は、素朴な貨幣数量説が成立しないことを示しており、後者は、MMTがインフレ率だけを頼りに財政支出の規模を決めることが誤っていることを示している。

インフレは需要と供給の関係で決まるはずだが。だがここは小幡績の理屈を聞くとしよう。

>日本においてはとりわけ、2013年、2014年と需給ギャップが解消されてもインフレが起きず、インフレ率は景気の指標としても有効でないことが示されているから、日本こそ、MMTをいちばんやってはいけない国なのである。これは第3の点のところで詳しく議論しよう。

需給ギャップが解消されてはいないはずだが。景気は一貫して悪いのだ。2013年だけは少し良かったのだが、安倍晋三が消費税増税と緊縮財政でぶち壊した。

>第2の害悪として挙げた「金融市場がどうなってもよい」という考え方は、財政支出の適切な規模をMMTでは判断できないこと以上に、経済を壊滅的に破壊する可能性がある。
>例えば「財政出動をとことん行って金利が大幅に上昇しても、インフレがターゲットを超えない限り、財政支出を続ける」ということが起こりうる。これは、大規模な財政支出により、民間投資が大幅に縮小する、という典型的なクラウディングアウト(英語の元は「押し出す」の意味)を起こすということである。その結果、民間経済の活力、経済成長力は大幅に低下し、経済は長期的な大不況に陥ることになる。
>これに対する彼らの反応は「理論的にはそのとおりだが、現在、世界経済は低金利で困っている。とりわけ日本はその最たるものだ。したがって、金利が上がらない現代でそのような心配をするのは杞憂だ」というものである。

国債は民間資金を奪ってはいない。国債の資金は「日銀当座預金」であり、民間資金は「主に銀行預金」だからだ。国債をいくら発行してもクラウディングアウトは起こらない。

>これも、明らかに間違いで、金利が低いのは世界各国の中央銀行が無理やり低金利に押さえ込む、大規模な金融緩和を行っているからである。もし、低金利を維持したまま、大規模財政支出を継続すれば、民間の投資は、干上がってしまう。
>投資資金は限られており、金利という価格による需給調節が効かなくても、政府セクターに取られてしまえば、リスク資金は民間へ回ってこない。さらに、人手が不足する。労働力は限られており、とりわけ優秀な人材はすぐに枯渇する。すると、民間投資として適切で利益の上がる投資を行える人材が不足する。彼らは、大規模財政支出に乗じて、その分野で稼ぐために活動しているからである。

国債をいくら発行してもクラウディングアウトは起こらない。民間資金を奪うことはないのだから。国債の資金は「日銀当座預金」であり、民間資金は「主に銀行預金」だからだ。

>中央銀行が資金を供給したところで、それを受け取る民間経済主体はいない。将来の経済見通し、リスクが不透明のため、投資も控えるし、儲かるかわからない投資のための資金も利子率ゼロでも借りない。
>ただで資金をくれるのであれば、それはもらうだろうが、それは中央銀行が行うのではなく、政府財政で行うことになるから、これは財政政策であり、民間投資ではない。この財政支出がうまくいくかどうかが、保証されていない以上、この財政出動は意味がない。これは第1の、ワイズスペンディングの議論にも関係する。
>この結果、自らリスクをとって金融機関も貸し出しを行うことはせず、企業も個人も借り入れで投資は行わなくなる。

現在こそ利子率ゼロでも民間が借りない事態なのだが。デフレで投資しても儲からないからである。デフレから脱却すれば民間は投資するようになる。

>中央銀行が異常な量的緩和を行っていなければ、つまり、国債の実質直接引き受けをせずに、通常の範囲での金融緩和を行っていれば、資金はほとんど国債に吸収されてしまい、民間に回る資金が枯渇し、民間経済主体の資金調達の金利は急騰することになる。民間投資は、大規模財政出動が行われる前から実行されていたものですら、干上がっていくことになるだろう。
>そして、金融(株式や債券)市場は、暴落することになるだろう。金利が上がるし、中央銀行が金利を押さえ込んだとしても、そうなると経済も将来の市場の不透明性が増大し、リスクが高まる。ましてや、インフレになるリスク、そしてそのときに大増税、財政支出の急減による大不況のリスクがあるから、誰も投資しなくなるだろう。
>つまり、リスクという現在と将来のバランスをとる機能を果たす価格、金融市場の最大の機能を殺すことにより、金融市場は大暴落、実体経済も大混乱となるだろう。

同じ返しは芸がないが、国債は「日銀当座預金」から調達し、民間資金は「主に銀行預金」から調達する。国債をいくら発行しても民間資金は干上がらない。

>MMT理論を現実の政策として実行することにより、金融市場が混乱にとどまらず、崩壊してしまう危機に追い込まれる可能性は、世界で日本が最も大きい。日本こそ、MMTを絶対に実行してはいけない国なのである。
>なぜなら、これが政策としての第3の問題点であるが、インフレが起こりにくい経済においては、財政支出の歯止めが効かないからである。その結果、とことん、経済が破滅的におかしくなるまで、財政支出は拡大され続けるのである。
>インフレがなぜ起きにくいのかは、また改めて詳しく議論したいが、大まかにいって理由は3つある。第1に、企業の価格設定行動の結果の合計がマクロ的な物価水準であるから、企業が値上げをできるだけしないようにする日本ではインフレが起きにくい。
>企業が値上げをできるだけしない理由は、消費者が値上げに過度に敏感であり、値上げで失う売り上げがあまりに大きいため、日本では商品提供者はできるだけ値上げしないのである。だから、卸売物価は変動しても消費者物価にはあまり反映されないのである。

もう正直飽きてきた。小幡績の理屈はひとつずつ否定する価値もなさそうだ。政府がデフレ脱却のための政策を採っていないのにデフレ脱却などできない。それだけだ。

>第2に、これは世界的な現象でもあるが、過熱した実体経済において生み出された利益や所得は、実物財に回らず、現代ではその多くが資産市場に投資される。だから、モノの値段は上がらず、株式や不動産だけが上がるのである。そして、物価で上がっているのは不動産、つまり家賃が最も大きなものの1つなのである。
>第3に、モノの供給が世界中からなされるために、一国内の経済が過熱しても、その国の物価が上がるとは限らない、という普通のこともある。
これら3つの影響で、インフレ率は、現代においては、景気、需給ギャップの指標の役割を果たさなくなっているのである。
>だから、金融緩和が過大になって資産市場がバブルになることが21世紀になって頻繁になっているのである。しかし、中央銀行は物価だけでなく資産市場にも目配りをしているから(少なくとも多少は)、MMT論者よりはましなのである。
>経済や社会における、過大な財政支出の悪影響、コストはインフレだけではない。労働力や設備など経済資源の無駄遣い、民間経済と公共部門とのバランスの喪失、成長力の低下などがあることは前述したとおりだ。

株式や不動産が上がるなら結構なことではないか。財政出動をやらない理由にはならない。先取りしてしまうが、国債をいくら発行しても民間資金は干上がらない。クラウディングアウトは起こらない。これだけで小幡績の理屈を論破できるようだ。

>これらは、経済における資本の配分、誰が資本をどの程度利用するのが経済にとって望ましいか、ということを行う資本市場の機能をMMTが破壊することによっておこる。価格メカニズムが資本市場において機能しなくなり、しかも、その代わりに配分を行う主体を考えないことにより、資本の利用の非効率性が計画経済よりもひどいものになってしまうのである。
>そして、それは、現在において「誰に資本を配分するか」という問題を無視するだけではない。現在と未来において「どれだけ資本を使うか、資源を今投入するか、消費するか、それとも長期的な投資に回すか、さらには、すべての金融資本を今使い切るのではなく、将来に金融資本を実物資本に転換することのほうが効率的か、それをどのくらいのペースで、現在から10年後、20年後、100年後の未来に配分していくか」など、それらを一切考慮しないことにより、経済の長期成長力を徹底的に破壊する。
>資本市場は、資本を今、誰に配分するかという問題と、どの時点に配分するか、という現在と将来の資源配分、資本配分という経済成長において、最も重要な機能を果たしているのである。
>このようにMMTは、この2つの機能を無視して会計的な現在のバランスだけを強調することにより、市場、価格メカニズム、リスク配分、利子率という現在と未来との相対的な重要性、これらの要素をすべて無視しているのである。
>これらの機能を果たすための媒介手段が貨幣、マネーである。MMTは、これらの機能を無視し、貨幣を、政府の手段、そして納税の手段とだけとらえ、経済、市場を無視しているのである。この結果、MMT理論を政策として実行すれば、経済は壊滅するのである。
>理論的な4つの誤りのほうも、ここに明確になっただろう。したがって、これ以上、MMT理論を批判する必要はない。もうたくさんだ。

最後の結論も国債をいくら発行しても民間資金は干上がらない。クラウディングアウトは起こらない。国債は「日銀当座預金」から調達し、民間資金は「主に銀行預金」から調達するからである。

小幡績の理屈はそれで論破できた。長いからタブの反応が悪くて書き込みしづらく面倒だった。

「莫迦な大将敵より怖い」ということで無能な味方小幡績は緊縮財政派のお荷物ではなかろうか。


(参考サイト)

三橋貴明『三橋経済塾は 小幡績を歓迎するよ』

株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから三橋貴明のツイッターはこちら人気ブログランキングに参加しています。チャンネ...

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

 

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3 コメント

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おはようございます! (小平次)
2021-12-15 09:15:02
おはようございます!

私は経済学の知識は、ぬくぬくさんには到底及びませんが、この小幡の言っていることがイカれていることはわかりますww

実は、この記事に対し、私も記事を書いている途中でして、投稿後、何か認識に誤りがあればご指摘いただければ幸いです

ありがとうございました
返信する
度々すみません (小平次)
2021-12-15 10:26:46
度々すみません

今回の私の記事に、私なんぞよりはるかにわかりやすく的確にご説明されてらっしゃるぬくぬくさんのこの記事のリンクを貼らせて頂きました

問題があるようでしたらご指摘ください

リンクとその文面を削除いたします
返信する
小平次さんへ (ぬくぬく)
2021-12-15 21:58:21
コメントありがとうございます。

小平次さんにお褒めいただき恐縮ですが、私の経済学の知識もあまり高くはないのです。大学は法学部でしたので、正直付け焼き刃なのです。経済の書籍に色々手を伸ばしてみましたが。

しかし東大経済学部首席の小幡績がこのイカれ具合では我が国の教育はおかしいとしか言いようがないと心配になります。東大経済学部と財務省がこれでは失われた30年になろうというものです。

リンクはありがとうございます。小平次さんのブログから何人か来てくれているようです。ただこの記事はだらだら引用してしまったので読みにくい記事になってしまったのが悔やまれます。他の書き方など思い付きませんでしたが。
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