面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

日経新聞が経済、財政に無理解では経済再生は難しい

2022-01-19 20:55:34 | 経済
日経新聞が1月15日の社説で政府の中長期の経済財政試算を批判していたのでさらにこれを批判する記事を書きたい。朝日新聞と毎日新聞も同様の社説を書いていたのだが、朝日新聞と毎日新聞は不買すれば済む。

日経新聞は電子版が好調であるし、経済に関しては部数以上に影響力がある。批判するなら日経新聞だ。あの三橋貴明も謝罪しながら日経新聞を購読していると書いていたからだ。不買できないものは批判するしかない。日経新聞は社説も有料記事ではあるのだが(登録すると月10本までは無料で読める)。

読売新聞と産経新聞が政府の中長期の経済財政試算に対する批判社説を書いていなかったことは興味深い。しかしそれが意味するものはわからない。

~~引用ここから~~

[社説]財政の悪化を直視し抜本改革に備えよ

成長率や歳出入の見通しが甘く、現実離れしているといわざるを得ない。政府が公表した中長期の経済財政試算である。新型コロナウイルス禍で打撃を受け...

日本経済新聞

 


成長率や歳出入の見通しが甘く、現実離れしているといわざるを得ない。政府が公表した中長期の経済財政試算である。

新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済の回復と税収の拡大に伴い、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は改善する。PBの赤字は2020年度の48.8兆円から、21年度には42.7兆円、22年度には35兆円に縮小する見通しだ。

その後も赤字の減少が続き、26年度には0.2兆円の黒字に転じる。内閣府は歳出抑制の努力を続けることで、25年度の黒字化という目標の達成が視野に入るとしており、岸田文雄首相もこの目標を維持する方針を示した。

問題は試算の前提である。政府は21~26年度の成長率を各年度の平均で実質2.4%、名目3.1%と見込む。民間シンクタンクや国際機関の予測より総じて高く、これをもとに見積もった歳入の妥当性にも疑問符がつく。

歳出の見積もりも信頼に足るとは言い難い。最近は補正予算の編成が常態化しているにもかかわらず、今回の試算で想定しているのは当初予算だけだという。

21~26年度の平均成長率を実質1.9%、名目2.0%と見込む場合は、26年度に4.7兆円の赤字が残る。31年度になっても黒字化することはできない。こちらをメインシナリオに据える方がまだ現実的なようにもみえる。

岸田首相がPBの黒字化目標を維持するのはいいが、財政悪化の厳しい現実を直視せず、楽観的な見通しを振りまくのは許されない。政府は国庫の窮状を国民に正しく伝えるとともに、必要な対策に理解を求めるべきだ。

もちろん成長率の押し上げは重要である。デジタル化やグリーン化の促進で経済を活性化し、多くの税収を確保するのは、財政再建の有力な手段の一つだろう。

だが巨額の債務を抱える日本が、自然増収だけで財政を健全化するのは難しい。まずは当初予算や補正予算の編成で「賢い支出」に徹し、無駄やばらまきを排除する努力を続けなければならない。

コロナ禍のいまは困難でも、いずれは歳出入の抜本改革に取り組む必要がある。消費税率の引き上げや社会保障の効率化を含めた将来のプランを練っておくのも、岸田政権の責務ではないのか。今夏の参院選を乗り切るまでは、議論さえしないという態度では困る。
~~引用ここまで~~


社説のほぼ全てが間違っているが、最初から順に批判していくとしよう。

>岸田首相がPBの黒字化目標を維持するのはいいが、財政悪化の厳しい現実を直視せず、楽観的な見通しを振りまくのは許されない。政府は国庫の窮状を国民に正しく伝えるとともに、必要な対策に理解を求めるべきだ。

「基礎的財政収支の黒字化目標」。小泉純一郎内閣で竹中平蔵が持ち出したこの概念が全ての癌なのだ。歳出を税収の範囲内に抑える。なぜそんなことをする必要があるのか。なぜそんなことをすれば財政が健全ということになるのか。

その「そもそも」の話には誰も答えないのに、基礎的財政収支の黒字化目標だけが維持されている。これのせいで十分に歳出を増やせない。それが「失われた25年」の正体だ。

「失われた25年」は橋本龍太郎内閣の緊縮財政から始まり、小渕恵三内閣で緩和されたが、小泉純一郎内閣で結局経済は停滞することになった。それが岸田文雄内閣まで続いているのだ。

>もちろん成長率の押し上げは重要である。デジタル化やグリーン化の促進で経済を活性化し、多くの税収を確保するのは、財政再建の有力な手段の一つだろう。

不況時にGDPを増やすには歳出を増やす以外ない。(消費税)減税もありだが。国債を十分に発行して政府支出を増やす。それ以外にGDPは増やせない。GDPの内訳は民間消費、民間投資、政府支出、純輸出(輸入)だ。不況で民間消費と民間投資は増えないのだから政府支出を増やす以外ないのだ。日本経済の規模では純輸出も期待できない。

>だが巨額の債務を抱える日本が、自然増収だけで財政を健全化するのは難しい。まずは当初予算や補正予算の編成で「賢い支出」に徹し、無駄やばらまきを排除する努力を続けなければならない。

「賢い支出」つまりは「選択と集中」だ。財政再建派は「選択と集中」という言葉が使い古されてきたから「賢い支出」という言葉に変えたのだが、それではGDPは増えないし、賢い支出など不可能でもあるのだ。

ある研究がものになるかはその研究に十分な予算を出して最後までやらせてみないとわからない。「賢い支出」と称して始めからものになる研究がわかるならこの世の中に敗者はおるまい。ツイッターでの皮肉は当たり馬券だけを買うようなものとしていた。まさにだろう。

またGDPを増やすには規模が必要なのだ。「賢い支出」と称して歳出を絞ってしまえばGDPは増えない。橋本龍太郎内閣で日本経済が破綻しつつさんざん学んだではないか。日経新聞はいい加減学べ。

>コロナ禍のいまは困難でも、いずれは歳出入の抜本改革に取り組む必要がある。消費税率の引き上げや社会保障の効率化を含めた将来のプランを練っておくのも、岸田政権の責務ではないのか。今夏の参院選を乗り切るまでは、議論さえしないという態度では困る。

「歳出入の抜本改革」。つまり増税と歳出削減の緊縮財政である。これも橋本龍太郎内閣の財政再建でさんざん学んだではないか。増税と歳出削減の緊縮財政で財政再建は絶対にできない。かえって景気を冷え込ませ、GDPも税収も減らしてしまうのだ。

こんな新聞を買うこと事態が自傷行為だ。増税と歳出削減の緊縮財政を繰り返し主張しているのだから。朝日新聞と毎日新聞もそうだ。繰り返すが不買を勧めたい。読売新聞と産経新聞もだ。地方紙も不買したい。

日経新聞の社説の最後が怖い。今夏の参院選を乗り切った後は3年間国政選挙がない。つまり消費税増税を仕掛けてくる可能性が高いのだ。岸田文雄の支持率は高い。新型コロナウイルスの第6波で急落するかもしれないが。自民党を勝たせるとさらなる消費税増税が待っているかもしれない。それは避けたい。

だから自民党、公明党、維新以外に投票したい。社民党と共産党ではせっかく投票しても無駄になってしまう。だから国民民主党かれいわ新選組に投票したい。一人区は消去法で立憲民主党になるが。

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