本病のそもそもの始まりは酒を飲んでsex.をしてから勃起が続いていると言うのです。
病気の原因に思いを凝らしているうちにアッと気が付きました。
湿熱が厥陰に下注して経脈が於阻したのかー!
すぐに竜胆瀉肝湯+桃仁・紅花・黒豆・琥珀・穿山甲に変方しました。 また別に甘草黒豆湯を煎じてお茶代わりに頻々と飲ませました。
かくして厥陰の湿熱の邪を去り、経絡の於血を散ずること10日ばかりするや、
突然陰茎が柔らかくなった。
硬化してから35日にして初めて治ったのである。
実に稀に見る臨床所見でした。
またある女性患者で二度妊娠して月足りて出産したのだけれど
どちらも嬰児の体が弱くて哺乳一月程で死んでしまいました。
近親結婚でもありませんし、カーン氏梅毒反応も陰性でした。
またお産をして子供が夭折することを恐れて半年間も避妊していますが
本人達の悩みは大変なものです。
嬰児夭折の原因が何であるのか分かりません。
とりあえず毎月の月経後に少腹逐於湯+莪朮を3~4剤与えて
子宮の働きの改善を待ち、妊娠環境を良くしようと図りました。
妊娠後は先ず六味地黄湯+菟絲子で益腎して冲任脈を固め、
更に血中に有るかもしれない薀毒を清解するために少量の甘寒の金銀花を加え、
十日に1剤の割りで飲ませました。
併せて 生甘草 6g 黒豆 30 g を濃煎してお茶代わりに飲ませ、
百毒を解し滋陰益腎させようとしました。
丁度妊娠六ヵ月になった時、六味地黄湯の服薬を止めましたが、
甘草黒豆湯だけは出産まで続けました。
生まれてからは 生甘草 3g 黒豆 12 g を濃煎して
哺乳瓶に入れて嬰児に少量宛飲ませました。
母親には飲用を停止し、専ら嬰児が薀毒にかかるのを防ぎました。
嬰児の発育は良好で半年が過ぎて活発で体も健やかです。
以上二つの病例に於ける効果と甘草黒豆湯にはある関係があります。
《王旭高医書六種》には「甘草黒豆湯は百毒を解し*筋疝を兼治する」とあります。
*<儒門事親>に肝経の湿熱や房労傷腎が原因でなる病証
陰茎が疼痛して急に縮んだり、痒かったり、腫れたり、破潰して膿が流れたり、
或いは陽萎を兼ね、小便と共に白い粘液が排出したりする。
「黄河医話」 史道生