保元湯《景嶽全書》は,参、芪、桂、草から組成し,陽気を温補する。 重ければ人参を用い,軽ければ党参を用いる。
四薬は相伍して,内外上下の気を皆温補し,虚労損怯に対応する。
李東垣の補中益気湯《脾胃論》及《内外傷辨惑論》は,補気升陽して,脈遅に対応し,また乏力肢重懶倦と中気不足に好い。
麻黄附子細辛湯《傷寒論》は,辛苦温の薬性を借りて,心脈の鼓動と脈率を高める。
本方に干姜を加えるのは,干姜の辛熱性を,心、肺、脾、腎の諸経に入れて, 温中逐寒、回陽通脈の力量を強めるためである。
《医学入門》の保元湯は生姜だが,干姜に改めた。
加減運用:温のため化燥し,口干するなら石斛30, 知母, 黄柏各6~10を配伍し, 其の燥を制し,温陽益気しても助火にならないようにする;
血瘀症があれば,鶏血藤30、川芎10を加えて活血通瘀する;
咽干、牙痛するなら“上火”の症象であるから,薬量を酌減する。
或いは巴戟天10、仙霊脾30、補骨脂12gの温潤薬で肉桂、附子、麻黄に代える。
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按語:これらの脈遅証の患者が常用すれば良い温熱類薬物は,
強さによって次の一、二、三類に分けられる。
温経助陽薬:①鹿茸、韭菜子、烏頭、附子、肉桂;
②仙茅、仙霊脾、巴戟天、胡芦巴、覆盆子、金毛狗脊、補骨脂、
陽起石、益智仁、鎖陽;
③肉苁蓉、枸杞子、菟絲子、金桜子、骨碎補、鹿角膠、沙苑子、 杜仲、続断。
②仙茅、仙霊脾、巴戟天、胡芦巴、覆盆子、金毛狗脊、補骨脂、
陽起石、益智仁、鎖陽;
③肉苁蓉、枸杞子、菟絲子、金桜子、骨碎補、鹿角膠、沙苑子、 杜仲、続断。
名老中医陈可冀临床经验 より
※微数の脈