比企の丘

彩の国・・・比企丘陵・・・鳩山の里びと。
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「少年H」・・・むかし小説は読んだ・・・映画を見に行こうかな

2013-09-19 | 本・テレビ、ドラマ・映画・スポーツ
映画「少年H」を見に行こうかな・・・近くの町のシアターで2か月間のロングランです。
(原作を)読んでから(映画を)見るか・・・(映画を)見てから(原作を)読むか・・・

小説は数年前に読んでいます・・・あらためて読み直してみました。

妹尾河童少年H(講談社 1997年刊)・・・写真は新潮文庫2000年刊。
97'「毎日出版文化賞特別賞」受賞。340万部のベストセラーに。

妹尾河童(1930年~)・・・神戸市林田区(現長田区)本庄町生まれ、舞台・映像美術家、グラフィックデザイナー、エッセイスト。

妹尾河童・・・・・・Hajimeだから・・・少年H・・・が自らの体験と記憶をもとに書いた自伝的小説だそうだ。1930年生まれ…といえば昭和5年です・・・4年に世界大恐慌、日本経済は疲弊し都会では失業者、農村では身売り。6年には満州事変勃発、大東亜共栄圏・八紘一宇・五族協和・王道楽土という標語のもとに昭和7年満州国を建国、それから中国への進攻、太平洋戦争へと進んでいきます。つまり少年Hの少年時代は日本が無謀な侵略国家への道仁進みだし無惨な結末を迎える時代と重なり合います。
父は広島の田舎から神戸に出て洋服の仕立職人の修業を経て独立、ミシン一つで洋服の仕立屋を営む。母は父と同じ田舎の人。なぜか二人ともいつの間にかクリスチャン。父と母と少年H と妹との4人暮らし。手に職を持つ職人のごく普通の家庭でごく普通に育っていきます。

物語は小学生生活から旧制神戸二中(現兵庫高校)に入学、やがて卒業、二中の先輩で押しかけで絵の指導を仰いだ小磯良平画伯の口添えで看板屋さんで仕事をはじめる(月給1500円)ところで終わります。
小学生時代の友だちや町の大人たちとの出会い、母の実家へ妹と汽車の旅、中学入学後の教師との出会い、農作業、軍需工場作業、機銃掃射で狙われたこと、神戸大空襲で母と逃げまどったこと、普通の家庭にしだいに押し寄せてくる戦争の影、敗戦後の教師や大人たちの変化・・・庶民の昭和史を読んでるような進行です。

※写真左は神戸上空で落とされる焼夷弾、右は焦土と化した神戸市元町あたり・・・いずれも新潮文庫「少年H」より。
少年Hは、戦争を肯定するでもなく、否定するでもなく、ただバケツリレーでは空襲の火は消せないなあとか、一人一殺の軍事教練ではどうにもならんなあと素直に思う少年です。

文庫本で上・下巻、全950頁ぐらい・・・かなりの長編。
この本は総ルビに近いほど漢字にルビがふってあります。著者によりますと少年少女にも読んでもらうようにとの思いをこめて、ルビの多い本にしたとのことです。

来週あたり・・・映画を見に行こうかな。


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