チリ・ワイン、輸入首位へ:
もう随分、昔の事になってしまったが、40数余年前に、仕事で、チリに長期滞在していたときに、食事時に飲むワインがとても、美味しくて、今ならば、全く不思議なことはないのであるが、カリフォルニア・ワインや、南アフリカ・ワインなど、チリ産ワインも、手軽に、リーズナブルな値段で、美味しいワインが戴けるとあって、今や、人気沸騰である。とりわけ、二国間でのEPA貿易協定の締結以降は、その貿易障害の撤廃や関税低減により、市場競争力が高まり、成る程、輸入第一位になっても、不思議ではない。戦前から、戦中・戦後にかけて、ドイツやフランスからの移民をチリが、積極的に、受け容れたことで、ワイナリー経営が、やがて、軌道に乗り、今日、一大輸出産業に、のし上がったという歴史的な経緯があるのも、事実であろう。30年以上に亘って、首位を独占してきたフランス産ワインは、今後、如何にして、首位再奪還を目指して行くのであろうか?昔、ボルドー産ワインや、フレンチ・ブランディー、ポルトガル・ワインの輸入の仕事を担当していた私には、なかなか、複雑な思いである。それでも、こういう形で、消費市場が拡大して、これまで、実績のない国々から、徐々にではあっても、市場に浸透して行くと云う事は、望ましいことではなかろうか?初めはバルク向けの混合ワインとして、スタートしたにも拘わらず、こうして、首位になるまでには、関係者の努力が相当あったことと推察されよう。週末には、チリ産ワインを飲むことにするか?ムール貝を恐る恐る食べながら、美味しいワインを、バラパライソの海の見えるレストランで、食事を愉しんだ若い昔のことを懐かしく、想い出す。