「死にたい」と思って死ぬ人もいれば、「生きたい」と思っているのに死んでしまう人もいます。「死にたい」で死ねるように、「生きたい」で生きることができたら良いのにね。
【ただいま読書中】『天使のたまご 完全版(上)』『天使のたまご 完全版(下)』岸香里 作、いそっぷ社、2005年、各1200円(税別)
野口英世の伝記に感動した作者は、看護婦(当時の呼び方)になります。看護学生の寮生活、病院での実習、新米ナース……なんともドジで要領が悪いどたばたを、現場を知っている者だけが描けるリアリティーで温かくユーモラスに漫画にしています。ユニークな人たち(看護婦、看護士(当時の男性ナースの呼び方)、医師、患者、患者の家族、作者の家族、など)が次々登場してシビアではあるけれど抱腹絶倒の騒ぎを繰り広げますが、その誰にも作者は繊細で温かい視線を向けています。
私が特に心を動かされたのは、作者が仕事に慣れて後輩や学生を指導する立場になったとき、「何か違う」と違和感を感じていて、ある瞬間に自分が初志を忘れていたことに気づいた瞬間です。私自身も仕事をしていて「あ、初志を忘れている」と気づいたことが(恥ずかしながら何回も)あります。慣れと自信は、初志を忘れさせちゃうのかな。
読んだ人が自分自身のことまで思い出すことができるとは、良い漫画です。
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