日本にはまだ定着していないハロウィーンですが、隣町のケーキ屋では店員さんたちがコスプレとまでは行きませんがハロウィーンっぽい小道具を身につけて頑張っていました。で「トリック・オア・トリート」と小学生以下が言うとお菓子をプレゼント、という企画の張り紙も。頬笑ましいなあ、と私はにんまり。
うちの子は、張り紙に気がつかないのか、あるいは自分は中学生だから関係ないやと思っているのか、知らん顔をして何を買うか選んでいたら店員さんが「どうぞ、『トリック・オア・トリート』と言ってください」と、クッキーを一つ包んだものを持って出てきてくれました。ところがうちの子、恥ずかしいのか中学生だから、という理由からか、なかなか言いません。店員さんも出したものを引っ込められず困っています。そこで私が子供の後ろに回って裏声で「トリック・オア・トリート」。
はい、これで丸く収まりました。
【ただいま読書中】
『陰陽師(3)六号』岡野玲子 作、夢枕獏 原作、スコラ、1995年、777円(税別)
『陰陽師(4)匂陣』岡野玲子 作、夢枕獏 原作、スコラ、1995年、777円(税別)
「人が化かされる」場合、普通は「人が被害者」となります。ところが第3巻では、たしかに人は被害者ではあるのですが、化かす側が一方的に加害者かと言ったらそれがどうも難しい。博雅君は悩んでしまいます。ただ、悩みながらも彼はあくまでまっすぐです。
博雅と安倍晴明との会話はとても気持ちよいのですが、たとえばこんな感じで進みます。
「そうではないかと思った。用意しよう。博雅、おぬしも来るか?」
「手伝うことはあるか?」
「ない」
「ならここにいよう」
「うん、それがよい」
このリズム感がたまりません。
かと思うと……
「いきなりどうした、博雅」
「いや……おまえはやさしいのだ、うん……」
「急にそんなことを言われるとリアクションに困るな」
「困るか。いい気味だな」
「ふん……しかし、おまえ、ひどいなりだな」
「そうだな」
「暗くなって助かったな」
「まったくだ」
なんというか、博雅はいつも晴明に話をはぐらかされてしまっているのですが。ただ博雅の素朴さと純朴さは晴明だけではなくて、妖物さえも困らせるのですから、並みではありません。安倍晴明が「よい漢だな」としみじみ言うわけです。
そしてその笛もすごい。第2巻までは琵琶狂いだったはずが、なんの心境の変化か第3巻からは笛狂いです。その漫画ならではの描写がまた素敵です。笛の音がびょうびょうと紙面からこちらに吹き付けてくる圧力が感じられるような。
第4巻では、過去の応天門の変が登場します。関係者の怨霊が起こす事件を、安倍晴明が源博雅と
ともにどのように解決していくか、ですが、これは応天門の変についてある程度知らないと話についていくのが辛いかもしれません。しかし平安の都には、どろどろとしたものが本当にたくさん渦巻いていたのですね。
晴明と比丘尼の悲恋(?)物語も、迫力があります。不老不死の人は、すなわちすでに「人にあらざる人」です。その存在に対して“理解”を示す安倍晴明の心中にはどんな嵐が吹いていたのか、と、彼の冷静な表情を見ながら私は想像します。きっと私には“理解”不能なものなのでしょうけれど。
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うちの子は、張り紙に気がつかないのか、あるいは自分は中学生だから関係ないやと思っているのか、知らん顔をして何を買うか選んでいたら店員さんが「どうぞ、『トリック・オア・トリート』と言ってください」と、クッキーを一つ包んだものを持って出てきてくれました。ところがうちの子、恥ずかしいのか中学生だから、という理由からか、なかなか言いません。店員さんも出したものを引っ込められず困っています。そこで私が子供の後ろに回って裏声で「トリック・オア・トリート」。
はい、これで丸く収まりました。
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『陰陽師(3)六号』岡野玲子 作、夢枕獏 原作、スコラ、1995年、777円(税別)
『陰陽師(4)匂陣』岡野玲子 作、夢枕獏 原作、スコラ、1995年、777円(税別)
「人が化かされる」場合、普通は「人が被害者」となります。ところが第3巻では、たしかに人は被害者ではあるのですが、化かす側が一方的に加害者かと言ったらそれがどうも難しい。博雅君は悩んでしまいます。ただ、悩みながらも彼はあくまでまっすぐです。
博雅と安倍晴明との会話はとても気持ちよいのですが、たとえばこんな感じで進みます。
「そうではないかと思った。用意しよう。博雅、おぬしも来るか?」
「手伝うことはあるか?」
「ない」
「ならここにいよう」
「うん、それがよい」
このリズム感がたまりません。
かと思うと……
「いきなりどうした、博雅」
「いや……おまえはやさしいのだ、うん……」
「急にそんなことを言われるとリアクションに困るな」
「困るか。いい気味だな」
「ふん……しかし、おまえ、ひどいなりだな」
「そうだな」
「暗くなって助かったな」
「まったくだ」
なんというか、博雅はいつも晴明に話をはぐらかされてしまっているのですが。ただ博雅の素朴さと純朴さは晴明だけではなくて、妖物さえも困らせるのですから、並みではありません。安倍晴明が「よい漢だな」としみじみ言うわけです。
そしてその笛もすごい。第2巻までは琵琶狂いだったはずが、なんの心境の変化か第3巻からは笛狂いです。その漫画ならではの描写がまた素敵です。笛の音がびょうびょうと紙面からこちらに吹き付けてくる圧力が感じられるような。
第4巻では、過去の応天門の変が登場します。関係者の怨霊が起こす事件を、安倍晴明が源博雅と
ともにどのように解決していくか、ですが、これは応天門の変についてある程度知らないと話についていくのが辛いかもしれません。しかし平安の都には、どろどろとしたものが本当にたくさん渦巻いていたのですね。
晴明と比丘尼の悲恋(?)物語も、迫力があります。不老不死の人は、すなわちすでに「人にあらざる人」です。その存在に対して“理解”を示す安倍晴明の心中にはどんな嵐が吹いていたのか、と、彼の冷静な表情を見ながら私は想像します。きっと私には“理解”不能なものなのでしょうけれど。
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