長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

インセクタ派

2018年05月16日 11時17分03秒 | 近況
 昨日今日の暑さはなんとしたことか。私の半世紀ほどの記憶の蓄積によれば、今朝は7月になったんだなぁ…と思える体感である。
 移りゆく季節の中で、春を愉しませてくれた株1号の旭山桜は、青い子房を太らせ、このままいけば初めてサクランボが実るのではないか…と嬉しさに胸をどきどきさせて眺めていたのだが、その嬉しい予感もつかの間、おいしくなる予感を感じた次の日に、卒然として枝から消えた。

 姿は見ぬが、野鳥もやはり私と同じ気持ちだったのだろうと思う。

 それから我がささやかなる株2号3号4号の檸檬たちが爽やかな白い花をつけ、ジャスミンのような馥郁たる匂いをともなって、私の傷心を慰めてくれたのだった。

 さて、花に嵐の先週の荒天で、檸檬の花も子房を残してざんばらの姿、よく伸びてきた緑の葉のうちの一枚に、一昨日、黒と白のまだらの鳥の糞様の…幼虫を見つけた。
 ぉぉ! 何とうれしや、こんなささやかな植物たちをも、アゲハチョウは見逃していなかったのである。
 
 そして、また何ということでしょう!! 昨日糞だった我が宿の幼虫は、一晩を過ぎて、美しい緑色に変容していた。
 脱皮したのか、擬態したのか…すごいですねぇ、大自然の驚異たるや、日々我々を飽かすことがない。

 五月待つ花橘の香をかげば…古歌を想い出しながら、花が散ってもまだ馨しき匂いを放つ緑の枝に水をやりながら、檸檬の葉に育つ蝶は、何色の翅を拡げるのだろうと、考えていた。

 そんなわけで、ネコ派でも犬派でもなく、わたくしは虫愛でる…インセクタ派なのであります。
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