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ブラック企業「辞めたいのに辞められない」場合とは?【争点:雇用】

2013-11-25 | 労働ニュース
ブラック企業「辞めたいのに辞められない」場合とは?【争点:雇用】
弁護士ドットコム | 執筆者: 弁護士ドットコム トピックス編集部
投稿日: 2013年11月25日 16時49分 JST | 更新: 2013年11月25日 17時00分 JST

「会社を辞めたいのに辞められない」 ブラック企業の社員に「退職の自由」はないのか

「ブラック企業」といえば、過酷な労働環境で長時間にわたって従業員を働かせる企業というイメージが強いが、「辞めたいのに辞めさせてくれない」企業も、「ブラック」と呼んでいいだろう。働くことに関する様々な相談に応じているNPO法人労働相談センターには、「会社が辞めさせてくれない」という悩みが数多く寄せられている。

同センターのウェブサイトに掲載された事例は、次のようなものだ。

「介護施設。退職届を提出した。上司は了解したのに、施設長が『就業規則には2ヵ月前に提出となっているので受け取れない』と退職届を戻してきた」

「派遣社員。病院事務勤務。職場環境が辛く、心身ともに壊れてしまい、病院に退職を申しいれているが『病院のイメージも悪くなる。面子が立たない』と辞めさせてくれない」

「派遣。ホテル勤務。仮眠もない過酷な勤務のため、睡眠不足で体重も6キロ減り、フラフラな状態で働いている。仕事で車の運転もやる場合であり、限界なので退職を申し入れたが『人を探すまで待って欲しい』と言われた」

このように「辞めたいのに辞めさせてくれない」会社は少なくないようだが、従業員に「退職の自由」はないのだろうか。もし会社が強引に引き止めてきたら、どうしたらいいのか。労働問題にくわしい高木由美子弁護士に聞いた。


●2週間前に退職届を出せば「一身上の都合」でOK

「期間の定めのない雇用契約を結んでいる場合、労働者は基本的に、2週間前に退職届を一方的に出すことで、問題なく退職することができます。会社に引き留める権利はありません。また理由についても特に問われず、たとえば『一身上の都合』でも問題はありません。

ただし、就業規則等に、退職届を出す時期についての規定がある場合は、注意が必要です。たとえば、『3カ月前』と規定されていて、その期間に合理的な理由がある場合には、3カ月前に退職届を出す必要があります」

このように高木弁護士は説明する。では、契約社員など契約期間が決まっている場合はどうだろう。

「最近多い1年契約など、期間の定めのある雇用契約では、原則その期間が終了しなければ退職することができません」


●契約期間中に辞めるときは「やむを得ない事情」が必要

どうやら、無期雇用の場合とは違うようだが、有期雇用の社員が退職したい場合はどうすればいいのか?

「契約期間の終了前に退職するには、体調不良や家庭の事情などの『やむを得ない事情』が必要です。

もし、やむを得ない事情がないのに期間の途中で退職し、それにより会社に損害が発生した場合は、会社はその退職者に損害賠償請求をすることが可能です。十分注意してください。

もっとも、例に挙げられているような過酷な労働環境があったとすれば、期間の定めのある雇用契約の期間終了前であっても、『やむを得ない事情』があるとされる可能性が高いでしょう」

過酷な労働を強いられたうえで「辞めさせてもらえない」というようなケースでは、他にも色々な問題が発生している可能性がありそうだ。就業規則や雇用契約の内容をしっかりと確認したうえで、しかるべき対処を考えたほうがいいだろう。

(弁護士ドットコム トピックス)
http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/25/resignation_n_4335585.html
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派遣法見直し案 弱い保護 さらに弱く

2013-11-25 | 労働ニュース
派遣切りされた労働者らが東京・日比谷公園で年を越した「年越し派遣村」が社会問題となったのは五年前の年末。不安定な立場で働く人が増え続ける中、今でさえ脆弱(ぜいじゃく)な労働者保護のルールを撤廃する動きが加速している。「また人生が翻弄(ほんろう)される」。光の見えない法改正論議に、派遣労働者の嘆きは大きい。 (小林由比)

 「そんなに文句があるなら辞めたらどうですか」。東京都内の同じ会社で十年以上働く派遣社員の女性(54)は数年前、上司からの嫌がらせを相談した派遣会社の担当者の言葉にがくぜんとした。顧客である派遣先の企業の方が大事なのだと思い知らされた。

 二人の子どもが幼いころに離婚。子育てしながら正社員に就くことは難しく、契約を三カ月ごとに更新して働き続けてきた。

 現行制度では、一つの業務に派遣社員を従事させられる上限は三年だ。例外として無期限なのが、二十六の専門業務。女性も、その一つの「事務用機器操作」として働く。それでも「誇りや自信が失われていく働き方」との思いは募る。正社員を目指して英語力を磨き、資格も多く取った。だが給料は今も十歳下の社員の半分。通勤手当や忌引休暇などの権利もない。「派遣が担うのは一時的、臨時的な仕事のはずで、長く雇いたければ正社員にすべきなのに…」

 派遣法改正のたたき台として八月に厚生労働省の有識者研究会が出した報告書の方向性は、女性の願いとは正反対だ。二十六業務を廃止しあらゆる業務で無期限に派遣社員を使えることを提言。一人が同じ職場で働ける期間を最長三年とする。

 これが現実になれば、企業は三年ごとに人を代えて派遣を使い続けることができるようになるが、女性は三年で別の職場に移らなくてはならない。労働契約法の改正で、有期契約社員が五年を超えて反復契約した場合、無期雇用に転換できることになったが、それもかなわなくなる。「正社員へのわずかな望みも完全に絶たれることになる」

    ◇

 派遣で日雇いの仕事をする千葉県の男性(34)の携帯電話に九月、日雇い派遣禁止の「例外」に当てはまるか申告するよう求めるメールが派遣会社から届いた。

 昨年十月に施行された「改正労働者派遣法」では、労働者保護の観点から、日雇い労働の原則禁止が打ち出された。しかし、六十歳以上や学生、年収五百万円以上の世帯の人などは例外となる。男性は派遣会社からのメールや電話で誘導され、同居の両親の収入を確認することもなく「同一生計者の年収が五百万円以上」と申告。証明書類も求められなかった。

 有識者研究会の報告を受け、同省の労働政策審議会では、年内に派遣法の見直し案をまとめるため議論している。日雇い原則廃止のルールについて使用者側委員は撤廃するよう主張。「企業が活躍しやすい国」を目指す政府のもと、使用者側の意向が反映される可能性が強い。

 事前の説明と違う仕事をさせられるなど多くの理不尽な目に遭ってきた男性は冷ややかに言う。「好きな時に好きなだけ使いたいっていうこと。弱い立場の人が増えるだけだ」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112402000112.html
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