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だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

古田足日先生を偲んで ①

2014年06月28日 | クリエーター・モード
まずぱ「夢」の話から・・・

久しぶりにやってきたYちゃん。
我が家に着くなり「おしいれのぼうけん」を読み始めます。
ワタクシメもこの作品は好きですが、
「せっかくの女子会だから違う話をしませんか~」と言おうとした時に、Mちゃん乱入。
Mちゃんは子どもの頃「おしいれのぼうけん」が大好きで、ワタクシメが著者の古田足日先生を存じ上げていると知り、
「ファンレターを書くから先生に送ってください!」と言ったほど。
となれば・・・
夢の中の女子会は「おしいれのぼうけん」で大盛り上がり ヽ(^。^)ノ

ここのところ古田足日先生のことが頭にあるので、こんな夢を見たのでしょう。

「おしいれのぼうけん」をご存じない方のために、ウィキペディアよりコピペ・・・ 
『おしいれのぼうけん』は、ふるたたるひ(古田足日)・たばたせいいち(田畑精一)著による絵本、童話である。
1974年と1980年に童心社より出版され、2012年夏には累計部数が200万部を突破した。

【物語】
「さくら保育園」に通う、あきらとさとし。
二人の男の子は、ある日おもちゃを取り合ってけんかになった事で先生に叱られ反省のため真っ暗な「おしいれ」に入れられてしまう。
「ごめんなさい」と言わないと出してもらえないのだ。
しばらくは口をきかず、謝ることもしなかった二人だが、やがて暗闇の向こうから不気味なねずみばあさんが、無数にうごめくネズミを従えて現れる。
押し入れの空間もいつしか闇の向こうの別の世界に続くトンネルと化していた。
二人はやがて、手をつなぎ「おしいれ」の冒険へと旅立つ


児童文学の大御所に触れ、思うことはいつも同じです。
皆さん「才能」はもちろんお持ちですが、それだけではありません。
「児童文学・文化」にこだわっておられるんです。
子どもの時に出会った絵本(音楽もマンガもテレビも同様)は、生涯を通して心の傍らにいてくれます。
そのことを腹にくくりつけ、創作された方たちなんです!

信念を貫いて創られたモノは時代が変わっても色あせません。

初版から約40年経っても読み続けられている「おしいれのぼうけん」を、
「現代の児童書の基盤」だとワタクシメは思っているし、作者である古田足日先生を心から尊敬しています。


もう一つの「夢」

「おしいれのぼうけん」で盛り上がった女子会の後で、ワタクシメはもう一つ「夢」を見ました。
それは古田先生がシルバーカートを押している姿でした。
古田先生はお若い頃お病気をされたようで、晩年は骨祖損傷でお辛そうでした。
シルバーカートは押していませんが、カバンをたすきがけに掛け、一生懸命歩かれていました。
お会いするたびに体が縮み声もかすれていきました。
「小さなおじいちゃん」という風情で、ロングセラーをいくつも描かれた大作家には見えませんでした。
しかし「小さなおじいちゃん」になれば、なるほど、古田先生の「一生懸命」は強くなる感じでした。

古田先生は何人ものご同輩や後輩を見送られました。
ワタクシメも何人かの方の葬儀に参列しましたが、その都度(ワタクシメからは師)亡くなられた方への想いと、弔辞を読まれる古田先生のご心痛が伝わってきて、ダブルパンチで悲しかったです。

古田先生は、まさに眠るように逝かれたとのことです。
ご葬儀の日は梅雨の晴れ間で、青空が広がっていました。
式に参列できなかったワタクシメは、空を仰いでホッとしていました。
古田先生には苦しまず穏やかに旅立っていかれた・・・本当によかった。

ゆっくりしっかり歩まれる古田先生を偲んでいるから、そんな「夢」を見たのだと思います。


最後の手紙

ここ数年、古田先生にお年賀状を出してもお返事はありませんでした。
お忙しいしお年だから・・・と思っても、ちょっぴりさみしい気持ちでした。
でも、2010年6月、古田先生の新刊が届きました。
これが古田先生からの最後のプレゼント&お手紙となりました。



「星の上のガラスの町」
本に添えられたお手紙によると、1964年~雑誌に連載・・・
1978年に童心社から刊行・・・。
1984年、フォア文庫として、
それに加筆修正した「復刻版」を日本標準から刊行。
同じタイトルの3冊はそれぞれ内容が違うそうです。
「古田足日こだわりの一作!」ですね。

この作品を読み最初は、
ーー古田足日はSFも書くの (?_?)とビックリしました。
しかし「ヒューマニズム」を追い求める古田先生の姿勢は一貫しています。
若き日に書かれたSF「月の上~」は、その後のライフワークとなる「新しい戦争児童文学」につながるものがあります。

【物語】  Amazonより

いまから遠い未来、人類が月にくらすようになった時代、
月の上には、すきとおる巨大なドームにおおわれたガラスの町がありました。
そこには友だちのようなロボットがいたり、工場や農園があったり、背の高い草がはえていたり…
そんなガラスの町で、人びとはどんなできごとにであい、なにを感じ、考えていたのでしょう。
さえざえとさえわたる月光のような、ものがたり6話を収録。


お手紙の最後に、
  八十二歳です。
  体のあちこち、故障しています。
  あせらずいそがずゆっくりした気持ちで、
  もう一、二編、作品を書きたいと思っていますが、どうなりますことやら・・・。


先生はお書きになりたいモノを書ききったのでしょうか?

                           つづく