とっておきの切り札が利かない。Y美は一段と目を吊り上げて、「なんだって?」と聞き返した。
「もううんざりなんだよ、あんたの言いなりになるのは。マジックショーも、なんだったら中止にしてもいい。中止にしろよ。おれは全然ヘーキだから」
チッ、と舌打ちするY美。僕は知っている。Y美の母親、おば様には確かにマジックショーを中止にさせる力がある。しかしおば様は絶対に中止にしない。テレビの放映権という利益が . . . 本文を読む
翌日、いよいよ明日は本番ということで、この日の練習には、特別にY美も参加した。単純に練習の成果を確認したいからだそうで、僕を射精させないための監視は、昨日までと同じくルコに任せたままだった。当初はY美の命令でいやいやアトリエに足を運んでいたルコも、最近では僕の性感を高めるだけ高めて射精を懸命にこらえる姿を見るのが楽しいのか、やる気満々で僕の一挙手一投足を見守り、折々おちんちんやお尻を揉んだり、耳 . . . 本文を読む
母は遺伝子工学の専門家で、大学院時代からその分野で名の知られた気鋭だった。欧米の世界的な企業の誘いを断り、国内企業である帝国バイオに就職すると、二十八歳の若さで主席研究員になった。最年少だったという。年上の男性研究員を片っ端から唸らせ、彼らのそこそこに高く硬かった天狗鼻はことごとくへし折られた。もちろんそんなことは母の知るところではない。他者を凌いで満たす類の承認欲など初めから問題にしない母は、 . . . 本文を読む
銀色の砂をペッと吐き出す。唾液に濡れて光る砂粒に目を細める。もう朝だった。直射日光はどんな目覚まし時計よりも強力だと思う。眩しいからと寝返りを打っても、今度は背中を熱せられて、もっと寝ていたいこちらの望みとは関係なく、覚醒してしまう。
上半身を起こすと、砂が一斉にさらさらと滑り落ちて、僕の裸身を露わにする。
もう二週間ほど衣類をまとっていない。あの、信じがたい体験をした二泊三日の海水浴旅行で . . . 本文を読む