思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

【愛と冒険のマジックショー】9 タイムリミット、いよいよ迫る

2024-12-25 22:19:47 | 11.愛と冒険のマジックショー

 ぞろぞろと女の人たちが入ってきた。全員、人質だった。スクール水着一枚のメライちゃんの姿もあった。あいかわらず後手に縛られていた。
 神妙な顔をしたアキヨさんが隅っこでぐったりしている全裸男児へちらりと目を向けた。後ろ手錠のせいでおちんちんを素早く股の下に隠せなかった。
 人質の最後のひとりの背中を押しながらミヤジマジョーがこの細長い一室に足を踏み入れた。この長身の男が言うには、「あんたら人質はしばらくこの部屋にいてもらう。自由にあちこち動き回れても迷惑だからな」
 さっきまでは倉庫内であれば何ら人質の行動を制約しなかったばかりか、空港のラウンジのようなサービスまで提供していたのに、突然、二十人を超える人質を収容するには窮屈な一室に閉じ込めるというのだから、人質女子たちはうろたえ、少ししてから、ぽつぽつと不満の声をもらした。

 この待遇の変化はつまり、いよいよ黒い宝石が倉庫から逃走する時間が迫っているということの証左にほかならない。
 人質たちに倉庫内をうろつき回られても邪魔だから、とりあえず一室に閉じ込めておくという考えなのだろう。
 あらかたの屋根が取り外されたせいで、倉庫内から夜空が見えた。
 もう少ししたら、あの夏祭り会場を彩るたくさんの提灯で照らされた夜空にヘリコプターがあらわれて、縄橋子を垂らす。
 彼らの無線のやり取りを聞いたかぎりでは、そういうことになっている。

 まだメライちゃんとアキヨさんにしか話していなかったから、それ以外の人質女子は、この長方形の一室に監禁された理由を知らない。
 あちこちに仕掛けられた時限爆弾が爆発するのを待つだけの身となっているとは、夢にも思っていないだろう。迂闊に話せなかった。彼女たちがパニックに陥ったら、それによって、もしかすると助かるかもしれない見込みすら消滅してしまうかもしれないからだ。
 ほとんどの人質女子は、一変して悪くなった自分たちの境遇に不安を抱いた。それはもっともなことであって、僕はこれ以上彼女たちの不安が大きくならないことを祈るばかりだった。
 
 ミヤジマジョーと木原マリさんは、彼らの計画を邪魔だてした僕に対して、憎しみの感情を抱いている。
 ヘリコプターが来るまでまだ少し時間がある。脱出の準備は整ったらしい。
「今のうちに恨みを晴らしておこうか」とミヤジマジョーが木原マリさんに言った。
「いい考えだね。わたしは一足先にやらせてもらったけど」
 木原さんは後ろ手錠のまま正座する全裸の僕へ目を転じた。

 なんでこのタイミングで、と思う。ばか、ばか、と自分で自分をののしる。
 おしっこがしたくてたまらないのだった。かすかに覚えた尿意は次第に大きくなり、ついに限界に達しようとしていた。
 ああ、トイレに行きたい。トイレ、トイレ。
 もじもじと体を揺すっていると、おしっこよりも先に「トイレ」の一語が、僕の口から漏れた。耳ざとい木原さんにうんちかおしっこかと問われ、おしっこと答える。「ここで、しなよ」「無理です」
 手錠をかけられたままではおちんちんの皮を剥くことも支えることもできない。太股から下がおしっこでびしょ濡れになってしまう。
 ミヤジマジョーが床に洗面器を置いて、これにしろと命じた。
 人質女子の多くは、この時点で、自分たちがこの部屋に閉じ込められた理由を察したようだった。「そうか、この男の子を辱めるところをわたしたちに見せるためね」
 怯える僕とは裏腹に、彼女たちの目が生き生きと輝きだした。少し離れた場所にいた女子などは、わざわざ近寄ってくるほどだった。

 自由にトイレに行けた女子と比べて、後ろに手錠をかけられた全裸の僕は、誰かの介助なしには用を足せなかった。アキヨさんに手伝ってもらおうと思ったけど、爆弾を仕掛けられた危険な状況で僕の頭はせわしなく動きっぱなしだったから、ついにそのタイミングを逸し、よりにもよってミヤジマジョーと木原マリさんが人質女子たちを見物衆にして僕を嬲ろうという段になって、尿意の限界を迎えてしまったのだった。
 立ったままの僕の裸の肩を後ろからミヤジマジョーがぎゅっと押さえつけた。両肩を固定されて、もう僕に逃れる手立てはない。丸出しのおちんちんが恥ずかしい。
 僕の前にしゃがんだ木原さんがおちんちんを手に取って、今からおしっこさせることを人質の女子たちに告げた。
 女子たちは、ミヤジマジョーのほとんど命令に近い勧めに従って、いよいよ僕との距離を縮め、一番前のノースリーブのワンピースを着た女子などは鼻の頭がおちんちんに付くほどの近さだった。

 とっとと済ますように命じられても、こんなに大勢の女子に見つめられては出るものも出なくなる。僕を取り囲む女子たちの一番後ろで、メライちゃんが後ろ手に縛られた格好のまま、僕に憐れみの眼差しを向けている。その目は「諦めなよ、ナオスくん。結局こういう運命なんだよ、わたしたち」と語っているようにも見えた。
「この中で男の子のおしっこを見たことがある人」と木原マリさんが問いかけた。
 五人ほど手を挙げた。いずれも兄弟がするのを偶発的に見たとのことで、こんな風にまじまじと見るのはみんな初めてのようだった。

 指で摘ままれたおちんちんを、彼女たちの大半はけっして好んで注視するわけではなかった。ミヤジマジョーに「せっかくの機会だから見ておけ。珍しいだろ?」と誘われると、一見穏やかな物言いの裏に潜む魑魅魍魎に怖じけて、断れなくなったようだった。
 確かに女子たちはおちんちんを見つめていたけど、好奇と嗜虐の気持ちに駆られているように見受けられたのはごく少数で、ほとんどは複雑な表情を浮かべていた。
「早くしなさい。いつまで我慢してんのよ」
 木原マリさんがおちんちんを激しく揺さぶって急かした。
 うう、差し迫った尿意で苦しい。せめてはおちんちんの皮を剥きたかったけど、後ろ手錠のままではそれもできない。木原さんは皮から亀頭を出してくれなかった。それどころか、しっかり皮で包んだ。なんという意地の悪さだろう。
 やだ、この状態でおしっこしたくない。でも木原マリさんは冷酷で、人質女子のひとりに僕の下腹部を押させた。「もっと強く、強く押して」などと指示する。
 もう無理、おしっこが出ちゃう・・・・・・。
 とうとう僕はみんなの前でおしっこを迸らせてしまった。皮被りのままなので、おしっこが四方に飛び散って、洗面器を構えた女子は、洗面器をうんとおちんちんに近づけなければならなかった。
 何しろずっと我慢していたから、半端ではないおしっこの量。放尿の途中、木原マリさんはおちんちんを摘まみながらもう一方の手で皮をすっと剥いた。亀頭が剥き出しになって、息を詰めて見守る人質女子たちは「やだあ」と驚きの声を上げた。
 突然あらわになった亀頭のつるんとした表面に目を奪われたようだ。でもそのおかげで、おしっこはきれいな放物線を描き、洗面器が硬い音を立てた。
 最後まで出し切ったところで、木原マリさんが「このあと、どうするか知ってる?」と女子たちに聞いた。誰も答えない。「男の子がおしっこし終わったあとよ」
 ややあってひとりが「しずくを払う?」と自信なさげに答えた。
「そのとーりッ」
 ミヤジマジョーが僕の頭上でおどけたような声を出した。僕の両肩を押さえつけている手を一瞬、少しだけ緩めた。
 木原マリさんは答えた女子のほうを見て、満足そうに頷き、摘まんでいるおちんちんを上下左右に激しく揺すった。亀頭の切れ目に残っていた数滴のしずくが洗面器に飛び散って、人質女子たちの小さな笑いを誘った。
「ね、男の子はこうやっておしっこの後処理をするのよ。わたしたち女子と比べると、動物みたいでしょ。犬にそっくりと思わない?」
「参ったね、こりゃ。ひどいわ」
 僕の頭上で、ミヤジマジョーが苦笑した。

 二十一人もの人質女子が見ている前で、木原マリさんとミヤジマジョーはなおも僕を辱め続けた。
 公開放尿の次は電流責めだった。
 電流警棒の先端、電気が流れる丸みを帯びた部分を取り外し、馬蹄形の器具を取り付けると、ミヤジマジョーは、僕の目の前でスイッチを押して見せた。電気が流れて、器具の先端と先端を青白い光がピリピリと繋いだ。
 木原マリさんが僕の後ろ手錠を外したのは、拘束する姿勢を変えるためにすぎない。今度は前で手錠をかけると、手錠に紐を通して、これを僕の頭上、ちょうど金網から出ている棒に繋いだ。
 足首も肩幅ほど開いた状態で排水用の蓋に縄で固定されてしまった。
「いや、やめて、お願い・・・・・・」
 逆Yの字の形に固定された裸身をくねらせて、僕は震える声でお願いした。聞き入れてくれるとはつゆほども思っていないけど、とにかく怖くて怖くて仕方なく、無益でもなんでも、「やめて」と訴えるしかなかった。
 ビリビリと走る青白い閃光を僕の前で何度も見せたミヤジマジョーは、ついに馬蹄形の器具を僕の右の乳首に押し当てた。乳首を真ん中にして器具の先端が左右にある。スイッチを入れる。ふたつの先端のあいだを青白い光が走った。当然、乳首はもろにその光を浴びることになる。
 ヒイイッ、乳首が焼けちゃう・・・・・・。仰け反って悲鳴を上げる。木原マリさんに警棒を当てられているとき以上の激痛だった。
 次は左の乳首だった。僕は開いた状態で固定された足にうんと力を込めて、上半身を前後に揺すった。体が勝手に、激しい痛みをやり過ごそうとして、そう動くのだった。僕の口端から早くも涎が垂れているのを人質女子のひとりが見つけ、あざ笑った。

 電気責めは辛くて、これに比べれば全裸の情けない姿を大勢の女子に見られる羞恥の苦痛などは、まったく問題ではなかった。
 ミヤジマはなんと僕のおちんちんを握り、甲に毛の生えた手で扱き始めた。この部屋は女子ばかりなのに、よりにもよって唯一の男性に性的刺激を与えられ、ついに勃起してしまう。木原マリさんには「男の手で勃起させられる気分はどう?」と冷やかされる。
 じゅうぶんに勃起してしまうと、ミヤジマジョーは馬蹄形の器具をおちんちんに挟んだ。
「お願いです、やめてください」
 体をがくがく震わせながら、頼んでみる。しかしミヤジマジョーの耳に僕の哀訴は届かなかった。あっさりスイッチを入れられる。
「いやあああ」
 おちんちんが熱い。仰け反った体勢で焼かれるような痛みに耐える。
「女の子みたいな声だね」
 人質女子たちが笑い声を上げる。この笑い声や冷やかしはミヤジマジョーや木原マリさんの歓心を買おうとしてのことだと思う。何か拵え物めいた印象があった。彼女たちもまた僕と同じ立場であり、彼女たちの大部分は知らないけど、黒い宝石に置き去りにされて爆弾の爆発を待つだけの身なのだった。
 カチンカチンに硬かったおちんちんは、電流を当てられ、たちまちのうちに萎んだ。
 その、見る見るうちに小さくなる過程は、人質女子たちをたいそう喜ばせただけでなく、まさにこれを鑑賞するためにこの場所に移動させられたのだ、という確信を彼女たちに抱かせた。
「そっか、そんなにおもしろかったか。も一回、見とくか?」
 ミヤジマジョーが問うと、人質女子たちは催眠術にかかったかのように、一斉に「はい」「はい」「はい」「はい」と鳥のように囀った。ミヤジマジョーは、僕の涙に濡れた顔を覗き込みながら、「お前泣くなよ。女の子たちがアンコールだってよ。がんばれ」と言って、僕のおちんちんに手を伸ばした。
 お願い、もう堪忍して、と息も絶え絶えになって訴えたけれど、ミヤジマジョーのおちんちんを扱く手は止まらなかった。一定の物理的刺激によって、まったく僕の意思とは関係なく、おちんちんが硬くなってくる。
「やだ、本物の変態だね。男の人の手で勃起するなんて」
「ほんとだね」
 人質女子の冷笑が聞こえる。
 こんな風に刺激されると、それはどうしたっておちんちんはこうなってしまう。自分たち女子は、男性と違って好きだと思う感情抜きには絶対に性的な快感を得られないと信じ切っているかのような傲慢さも、その冷笑には含まれていた。
「じゃ、いくぞ、よく見ておけよ、女の子たち」
 そう声がけして、ミヤジマジョーは馬蹄形の器具を取り付けた電流警棒のスイッチを入れた。射精寸前の大きさになったおちんちんに青白い光が両側から当たる。
 ギャアア。
 しかも今度は、なかなか止めてくれない。電気を通したまま、ミヤジマは全身汗まみれになって泣き叫ぶ僕をじっと見つめている。
 手錠のかかった両手を頭上で固定され、両足もまた開いたまま少しも動かせない今の体勢では、どんなに体をくねらせても、腰を揺すっても、痛みは少しも退いてくれない。
 ただ激しい痛みに悶えるしかない僕は、ミヤジマジョーにとって、そんなにおもしろい見世物なのだろうか。
 人質女子たちの僕を見る目にさすがに少し同情の色が浮かんできた。
 やっと電気を止めてくれたあとも、僕の手足、腰はピクピクと震え続けた。

 大勢の女の子を前にして、僕は大泣きしていた。もう自尊心もへったくれもなかった。
「もう許して。なんで僕をこんなにいじめるの?」
 しゃくり上げながら問う僕に、
「お前は俺たちの計画を台無しにしてくれた。そのお礼だよ」
 ミヤジマジョーは冷淡な口調で返した。
「おとなの大切な仕事をガキが台無しにすると、どういう罰が与えられるか、きっちり教えてやるよ。簡単に許されると思うんじゃねえぞ」

 続けて、おちんちんの袋の中の陰嚢も責められた。丁寧にひとつずつ、電気を通されてしまった。人質女子によると、僕はついに白目を剥いたようだった。さらに十五分ほど馬蹄形の器具を体のあちこちに当てられた。
 鼻水と涙で顔じゅうを濡らした僕は、ぐったりして、口をパクパクさせるだけだった。悲鳴を上げる気力すら、残っていなかった。
 
 一糸まとわぬ体を何もかも晒した状態で拘束されている僕の体を、人質女子たちは好きなだけ見るのみならず、興味の湧くままどこでも触った。そうした自由が木原マリさんによって高らかに宣言されたのだった。
 せっかくの機会だから存分にいじって、などとミヤジマジョーに勧められると、人質女子たちは、実際はそんなに触りたいと思っていなくても、いかにも男の子の体に興味があるという顔をして、おちんちんやお尻や乳首を撫で回した。そうしなくてはいけない気分にさせられるのだった。なんといっても人質であり、生殺与奪の権を握られている身の悲しさだった。
 とにかく僕は、両腕を縛られているメライちゃんを除く人質女子全員に、体じゅうをいじられた。おちんちんの袋を掴まれては「痛い」と叫んで悲鳴を上げ、おちんちんを扱かれてはこれを硬くさせた。
 乳首を引っ張られては、ヒギィッと悲鳴を上げ、首筋や耳元を撫で回されては、喘いだ。
 射精寸前まで何度も追い詰められた。結局一度も絶頂に達しなかったのは、木原さんが亀頭の膨らみ具合を見て、確実に扱きの手を止めさせたからで、そのタイミングの正鵠さは彼女が相当の目利きであることを示していた。

 目一杯に広げられたお尻の穴を覗き込む者もあった。また別の者は僕の乳首の色や形をしみじみと観察し、摘まんだり押し込んだりした挙げ句、軽く噛んだ。
 顔じゅうを舐められた。脇の下の窪みを執拗にさすられた。
 太股の裏側をぎこちない手で撫でられ、我知らず喜悦の声を上げてしまった。するとこれを皮切りに、人質女子たちは僕の性感帯を熱心に探すようになった。

 何かもかも露わにした状態で拘束された僕の裸身から性感帯となり得る部位を洗い出し、さらにはこれを開発することに狙いを絞った彼女たちの探索は、しかしどこか学校の授業の中での活動のような、強制された一面も感じられた。
 たしかに彼女たちは積極的に振るまったけれど、それは学校の先生の目を意識したような、演技による積極性だった。ここで学校の先生に相当するのは、ミヤジマジョーと木原マリさんだ。僕の体をいじくり回すことに不熱心だったり消極的だったりすると、彼らを不機嫌にさせる。ひいては僕たち人質の境遇が悪くなる。

 アウウ。お尻の穴に指を入れられて、体を反らせて喘いだ折、人質女子のひとりがミヤジマジョーに別室に連れて行かれるのが目に入った。陶芸部の部員だった。彼女は先ほどから僕の拘束された裸身に触れようとしないばかりか、そっぽを向け続けていた。僕としては嬉しかったけれど、黒い宝石の者には反抗的と受け取られても仕方のない態度だった。
 部屋に戻ってきたとき、彼女は別人のように目を輝かせて、僕の乳首を引っ張り、首筋を羽のような指先で撫で始めた。「フェザータッチ、上手じゃないの」と木原さんが褒めた。

 頭上につないだ縄を、うつ伏せになれるくらいに緩めたのは、僕に後背位の姿勢を取らせるためだった。手錠をかけられた両手は床にあったけど、あいかわらず紐で頭上の棒に繋がれている。両足を開いた状態で縛られていることも変わりはない。排水溝の蓋に結び直されただけだった。
「もうやめてください、許してください」
 べそをかきながら訴えるのだけど、ミヤジマジョーはせせら笑うばかりだった。
「黒い宝石の計画を台無しにされた恨みは、こんなもんじゃ済まないのよ、ナオスくん」
 木原マリさんはそう言うと、和紙に包まれた物を僕に見せた。
「これ、なんだか分かる?」
「わかりません」
 ジャジャーン、と擬音を発して和紙を引く木原マリさん。
 出てきたのは成人男性の性器を模した性具だった。
 中の下のサイズとか言ってるけど、僕には怒張した怪物に見える。
「これでね、今からあなたのお尻を犯すんだよ」
「う、嘘でしょ。やめてください」
「やめないよ」
 満面の笑みを浮かべて木原マリさんは僕の後ろに回った。
「いやだ、やめて・・・・・・」
 全身をくねらせて抵抗してみたけど、疑似おちんちんをお尻の穴に受け入れる姿勢は崩せなかった。ミヤジマジョーが僕のお尻の穴にローションを塗った。
 これまでにも疑似おちんちん、大人の人たちがディルドと呼ぶ性具をお尻の中に挿入されたことはあった。女の人たちはお尻を責められて悶える僕を見て、喜悦の表情を浮かべ、僕に奉仕を強要した。
 でも、その犯される姿を、当事者ではない二十人もの女子に見られるのは初めてだった。しかもその半分近くは僕と同年代で、メライちゃんをはじめ同い年の女子も何人かいるはずだった。
「どうだよ、たくさんの女子に犯される姿を見られるのは、どんな気分だよ」
 ウウ・・・・・・。屈辱に呻く僕の耳元でミヤジマジョーが囁いた。

 たっぷり塗り込まれたローションの効果もあって、疑似おちんちんが淫靡な音を立てて少しずつお尻の中に入ってきた。思わず声を漏らしてしまう。
 床に垂れたローションを人質女子たちが指ですくって、僕の背中や脇腹、首や乳首になすりつけた。
 もともと僕のお尻の穴が広がりやすいことは、先ほどさんざん僕の体を弄んだ人質女子たちのすでに知るところだったけど、あのビッグサイズの疑似おちんちんがこんなにもスムーズに入っていくのは、さすがに意外の感を抱かせたようで、新鮮な驚きの声がいくつも重なった。
「この中で、男の子がお尻を犯されているのを見たことあるって人、いる?」
 木原マリさんが人質女子たちに問いかけ、挙手を促した。背中を反らすようにして背後に目を向ける。誰も手を挙げていなかった。
 ショックを受けて動揺を隠しきれない女子も何人かいたけど、ほとんどは、この初めて見る光景を目に焼き付けようとして身を乗り出していた。その中には後手縛りのメライちゃんの姿もあった。
 木原さんはお尻の中に奥深く入った疑似おちんちんをゆっくり回転させた。
 アウウッウッ・・・・・・。
 抑えているつもりでも、どうしても声は漏れてしまう。
「これね、電動なんだよ。振動させてみよっか」
「いや、や、やめ・・・・・・」
 最後まで言い切らないうちに木原マリさんが疑似おちんちんを振動させた。
 アヒッ、ウウウッ・・・・・・。
 お尻の穴の中でぶるぶると震えている。疑似おちんちんがぶるぶる震えている。異様な刺激に包まれて、頭の中で熱が発生し、真っ白の煙に包まれる。
 後背位の姿勢で汗だくになりながら悶える僕のあさましい姿を人質女子たちは様々な角度から観察したけど、やはり彼女たちの興味を一番ひいたのはお尻の穴に疑似おちんちんが入っているところだった。
 僕の開いた股の中で滞留する時間が最も長く、しげしげと眺めるためには順番を待たなければならなかった。

 女子たちの会話から、僕は疑似おちんちんの食い込んだお尻の穴がヒクヒクと痙攣したように動いているのを知った。
 は、恥ずかしい。
 これも僕の体が勝手に動いていることで、僕自身とはまったく関係のない話なのだけど、女子たちはそうは思ってくれない。この現象を喜悦によるものと受け取って、僕を変態と決めつけて少しも疑わない。
「エー、嘘でしょ? ねえ、この子のおちんちん・・・・・・」
 しまった・・・・・・。
 まだ性感のスイッチが入って一分も経っていないのに、早くもひとりの人質女子に気づかれてしまった。
「ほんとだ、ムクムクと大きくなってる」
「なにこれ」
 女子たちが騒いだ。

 深く挿入された疑似おちんちんが電気の力で振動し続け、ついに脳みその性的快感スイッチをオンにしてしまったようだった。まったく僕の意思とは関係なく、おちんちんが硬くなってきた。
「やだ、この子、いじめられすぎて、本物の変態になっちゃったんじゃないの?」
 嫌悪感を露わにしてひとりの女子が叫んだ。さっそく別のひとりがおちんちんを指でツンツンと突っつき、「カチカチだよ」と驚く。
 それに触発されたのか、次々と女子たちがおちんちんに手を伸ばす。憎々しげに握る者まで出てきた。それでも僕は、お尻の中で疑似おちんちんが振動しているので、これに抗う余裕をもたなかった。
 ひたすら悶え、呻く。口から涎を垂らす。

「あんまり変態とか言わないであげて」
 ひとしきり眺めてから、木原マリさんが僕をかばってくれた。いかにも経験豊富な女性らしく、お尻の穴を責められて勃起するのは珍しくないことだと説明するのだった。
 それにしてもなぜこんな浅ましい姿を間近で見られ、笑われなくてはいけないのだろう。僕は悔しさのあまり涙を流しながら、異様な恥辱に裸身を震わせていた。
 性的な刺激に責められ続けて、どうにも逃れられない。

 あふれ出る精液でぬるぬると濡れた亀頭を絶えず複数の指が触れる。
 人質女子たちは指先に付着した精液をせっせと僕の裸の脇腹や背中に塗りつけて飽きなかった。
 疑似おちんちんがゆっくりと引き抜かれていく。
 抜きながら、回転させているのが分かる。抜きかけたところで、わずかに間を置いて、またずぶずぶと奥へ押し込んでいく。
 アウウウッ・・・・・・。
 僕の喘ぎ声を聞いて人質女子たちが笑う。ジンジンと痺れる頭の中でその笑い声は金属的に響く。
 いつまで、いつまでこの地獄は続くのだろう。

 引き抜かれている途中、急に下腹部から便意を知らせる信号が発せられた。
 猶予のない、緊急事態を告げる強い信号だった。とてもトイレに間に合わない。仮に僕の裸身が拘束されていなくてもトイレに到達するまで我慢するのは絶対に無理だった。
「う、うんちが出ちゃう。見ないで・・・・・・」
 切羽詰まって泣き叫ぶ。
 女子の悲鳴が聞こえた。それは歓喜の声のようでもあった。
 二十人もの女子たちの前で、とうとう僕はうんちをぶちまけてしまった。
 なんでもっと早く言わないの、と木原マリさんに軽蔑の口調で叱られる。早く知らせたところで、どうせ結果は同じだろうに。
「お尻の穴からうんちが出てくるところ、初めて見たよ」
「ほんとだね。すごかったね」
 嗚咽する僕の後ろでは、人質女子たちが興奮気味に語っていた。
 さっそく、うんちの後始末が始まった。縛られて動けない僕に代わって、人質女子たちは僕のお尻を水洗いしてくれたり、床に飛び散ったうんちを拭き取ってくれたりした。

 やっと手錠を外してくれた。広げた形で固定されていた両足も自由にしてくれた。でもそれは僕を許すという意味ではなく、詫びを入れさせるためだった。
 僕は人質女子たちの前で素っ裸のまま土下座させられた。
「このたびは女子の皆さんの前でうんちを漏らしてしまい、申し訳ございませんでした」
 声を震わせて謝罪する。
「お礼は? お前のきたないウンチを片付けてくれたのは彼女たちだよ」
 木原マリさんに命じられ、僕はふたたびおでこを、うんちが飛び散って、でも今はきれいに清掃された床になすりつけた。
「きれいにしてくださって、ありがとうございました。僕の汚れたお尻も洗ってくださって、ありがとうございました……」
 言い終わると、僕はその場で泣き崩れてしまった。

 もう何も感じない、放心状態だった。自分を粗大ゴミに出された学習机かと思う。素っ裸のまま、床にお尻をつけて壁にもたれている。後ろに回された手には冷たい手錠がかかっていた。
 黒い宝石は屋根を構成する板の一部を外した。そのおかげで、倉庫内の囲いに閉じ込められていても、夜空を見上げることができる。
 妙に白っぽくて、星の見えない夜空だった。倉庫の周囲を囲む機動隊がこの仮設の倉庫にたくさんの照明を照らしているからだろう。

 外からメガホンを通した話し声が間欠的に聞こえる。雑音混じりで何を話しているのか、ほとんど聞き取れない。
 あいかわらず素っ裸なのは僕ひとりだけだけど、両手の自由が利かないという点では、人質女子たちもまた僕と同じだった。すでにスクール水着のまま縄で後ろ手に縛られているメライちゃんを除いて、全員後ろ手に手錠をかけられたのだ。
 いよいよ黒い宝石一味は倉庫を脱出する。ミヤジマジョーと木原マリさんは、ひとしきり僕の肉体を痛めつけ、性的に嬲って、辱めると、ぐったりした僕だけでなく、人質全員の両腕を拘束し、この長細い囲いの中に閉じ込めた。
「もうきみたち人質に構ってる時間はない」
 そう告げて、外から鍵をかけて、自分たちの用を済ませに行ってしまった。

 大勢の人質女子が驚き、慌てふためいたのは、当然だった。なにしろ彼女たちは、ミヤジマジョーと木原マリさんが僕に加える私的な制裁に参加するためにこの囲いの中に移動させられたのだと思い込んでいたのだから。
 たしかに僕の羞恥を煽り、わずかに残る自尊心を破砕するにあたって、人質女子の果たした役割は大きかった。彼女たちは、ミヤジマジョーの歓心を得ようとして、熱心に僕の裸身のあちこちを愛撫したり、おちんちんやお尻の穴をいじくり回したりした。
 むりやり高められた性的な官能に僕が喘いでは、憎しみすらこもった侮蔑の言葉を投げつけた。お尻の中の疑似おちんちんを抜かれた際に粗相してしまった折には、ことさらに黄色い声を上げてこれを非難した。
 彼女たちはまさにミヤジマジョーの意に適った働きをしたのである。
 ところが案に相違して、私的な制裁が終わってもなお彼女たちはこの囲いから出ることを許されなかった。
 それどころか、手錠までかけられてしまった。
「これって、いったい、どういうこと?」
 納得できない何人もの人質女子が後ろ手錠のままドアや壁に体当たりした。しかしドアも壁も、仮設とは思えぬほど頑丈で、彼女たちの度重なるタックルを無情にはね返した。

 相撲取りかと見まがう体型の女子がドアに向かって突進した。
 彼女の丸太のような二本の足がちょこちょこ動き、もつれ、ついにドアの手前で前のめりになって倒れてしまった。
 このアクシデントを、そのすぐ後ろを走っていた女子はチャンスと捉えたようだった。躊躇なく相撲取りの背中を踏みつけると、そこから分厚い脂肪による弾力を得た。軽やかに跳躍して、イカロスを思わせる勇姿がドアに向かう。
 その瞬間、ドアが開いた。
 ドアの外に立っていたのはメライちゃんだった。黒い宝石の者に引き立てられて戻ってきたところだった。いきなり肉弾を受けて後ろ向きに倒れるメライちゃん。
「ご、ごめんなさい」
 跳躍した女子は後ろ手錠のまま慌ててメライちゃんの体から離れた。メライちゃんは、うんうんと呻いてなかなか起き上がらなかった。依然として後ろ手に縛られているせいでもあるけど、それだけではなかった。
 床に不穏な色の染みが広がった。
 体当たりされた衝撃でメライちゃんは失禁してしまったのである。
「ずいぶんと大量に出したな。ずっと我慢してただけあるね」
 黒い宝石の男はそう言ってフンと鼻で笑った。眉毛を真っ赤に染めて、化粧途中の道化師のように見える男だった。
 男は黒い宝石の一員としてするべきことを淡々とこなした。皆の前でお漏らししてしまい、ショックでろくに口も利けないメライちゃんを足で押して囲いの中に入れると、外に出てドアを閉め、きっちり施錠した。

 過酷な電気責めや疑似おちんちんの挿入など、僕が一糸まとわぬ身をさんざん弄ばれているあいだ、メライちゃんは黒い宝石に呼ばれて、多目的トイレに連れて行かれた唯一の人質だった。黒い宝石の、とりわけ若い一群がメライちゃんを選んだようだった。
 女子たちは皆ふつうに服を着ているのに、ひとりだけスクール水着という、発育中の体のラインを露わにした格好が彼らの劣情を誘ったのかもしれない。
 ともあれ、男たちに選ばれたのはメライちゃんにとって不運だった。自ら放出してしまったおしっこの水溜まりの中で、メライちゃんは横向きに倒れている。もちろん彼女はそこから出ようとしたけれど、ほかの人質女子、チアダンスチームの面々に足でがっちり押さえつけられて、動けなかった。彼女たちはメライちゃんに嫉妬し、嫌がらせをするのだった。
「なんでよりによって、あんたみたいなチビ女が」
 憎々しげに吐き捨てると、足でメライちゃんの体をひっくり返し、うつ伏せにした。彼女たちもまた後ろ手錠をかけられているから、手の代わりに足を使うのだった。メライちゃんの泣き濡れた顔がおしっこの中に漬けられる。
「男たちにどんな気持ちいいことしてもらったんだよ、おい」
 いじめっ子気質のチアダンス女子がメライちゃんのお尻を蹴り上げた。
 おしっこまみれにされても、蹴られても、メライちゃんはことさらに助けや許しを求めず、黙ってじっと耐えた。時折小さな呻き声が漏れた。

 ひとりだけ多目的トイレに連れ込まれたことでほかの人質女子から妬まれるとは、メライちゃんにとって二重の災難だった。ほかの女子に代われるものなら代わってもらいたかっただろう。
 ギラギラした男たちにメライちゃんがどんなことをされたのかは、わからない。わからないけど、おおよその想像はつく。メライちゃんの虚ろな目がそれを物語っている。

 メライちゃんのスクール水着は、ところどころ穴があいていた。
 部分的にあちこち切り取られ、露出した肌を水玉模様のように見せている。
 まるでコンパスで描いたような円の形をした大小の穴は、背中やお腹、胸の下、あたりに散らばり、もはや水着姿というよりは、半裸といっていい格好だった。臀部にも左右に中くらいの大きさの円を置いて、そこから見せるお尻の肉をいかにも柔らかそうに強調する。
 多目的トイレでメライちゃんがどんな目に遭わされたか、チアダンス女子たちは、当人の口から直接聞き出そうとした。
 いくつも穴をあけられた水着は、男の人だけでなく同性の性欲をも刺激するのかもしれないが、それにしても自分の身に起きた災難をまだ現実のこととして受け入れたくない段階にあるメライちゃんにとって、そうした質問はあまりにも残酷だった。デリカシーを欠くにも程がある。
 しかも許しがたいことに、彼女たちはメライちゃんの横顔をおしっこで濡れた床に押しつけながら、返答を迫るのだった。
「早く言えよ、男たちに何してもらったんだよ」
 お尻を踵で踏まれても、なお無言を貫くメライちゃん。
 ひどい、ひどすぎる。
 水着を切り取られたせいで、お尻面積の八割近くがどっとこぼれている。そのお尻の柔肉がほんのりと赤く染まった。

「やめてあげて」
 気づくと僕は叫んで、チアダンス女子に向かって突進していた。
 メライちゃんを踏みつける女子の大柄な体に、僕は後ろ手錠のまま裸身をまるごとぶつける。
 この囲いの中にいる者は、縄で後手縛りのメライちゃんを除いて、全員後ろ手に手錠をかけられている。だから、チアダンス女子が僕を返り討ちしようとしても、それほど大したことはできないだろうと思っていた。
 ところが、彼女たちのダンスで鍛えた足の動きは僕の予想を上回るものだった。
 あっけなく足を払われ、僕はおしっこでびしょびしょの床に転がされた。

 メライちゃんと僕は、自分たちの体を使って、床に奇妙な大陸の地図を描いたおしっこをきれいに拭き取るように命じられた。
 露出度の格段に上がった、扇情的なスクール水着に床のおしっこを吸わせようとして、メライちゃんは後手に縛られた不自由な体をしきりにくねらせた。健気にお尻を上げて腰を揺すったり、腹這いになって背中を反らせたりする。
 ここに監禁されてから、メライちゃんは一度もトイレに行ってなかったという。早々に縄で縛られてしまい、他人の手助けがなければ用を足せなかったから、ずっとおしっこを我慢していたとしても不思議ではない。
 多目的トイレに連れ込まれたメライちゃんは、若い男衆の相手をさせられた。
 ひとつひとつ男性器を丁寧に咥えさせられたらしい。「トイレを使わせて、お願い、漏れちゃう」と、もじもじと腰を揺さぶりながら訴えても、嗜虐心に駆られた男たちはこれを認めなかった。便器はすぐ目の前にあるというのに。

 結局、膀胱いっぱいに溜まったおしっこを排出する機会のないまま、メライちゃんは多目的トイレを出た。ドアをあけたところで、いきなり女体が飛んできて、これにまともにぶつかってしまった。
 衝撃で筋肉が緩み、こらえにこらえていたおしっこがどっと漏れてしまったというわけだから、男たちにしてみれば、おしっこを我慢させた甲斐があったと言うべきだろう。まことに予想外の大満足の結果だった。
 同時にこれは人質女子たちにとっても、いじめる格好の口実を与えてくれるものだった。欲望の捌け口として白羽の矢が立ったメライちゃんへのやっかみがあったものだから、願ったり叶ったりのハプニングだった。
 とにかく我慢に我慢を重ねた末のおしっこ。その量たるや半端ではなく、あちこちに穴のあいた水着では、とても全部を吸い取れるものではない。それに水着は、すでにびっしょりと濡れていた。

 僕は、メライちゃんと違って完全に裸だから、拭き取る物は自分の体しかなかった。
 素肌におしっこをなすりつけ、自らの体温でこれを乾かすという、気の遠くなるような方法でしか、おしっこに濡れた床の清掃はできない。
 しかもチアダンス女子や陶芸部女子などと同じく、僕もまた後ろ手に手錠をかけられているので、体を動かすにも難儀した。腹這いになっておしっこをなすりつけては、横向きになって乾くのを待つ。
 陶芸部の女子がメライちゃんの背中やお尻を蹴っていた。いじめっ子集団であるチアダンス女子に触発されたようだ。彼女たち自身、手錠をかけられるなど、人質としての待遇が急激に悪化したことによるストレスもあって、抵抗しないメライちゃんへのいたぶりは、ひどく陰湿で、過激になった。

 陶芸部のひとりは裸足だった。後ろ手錠をかけられた状態で靴を脱ぎ、器用にするすると靴下も抜き取ったのは、足の指でメライちゃんの股間をまさぐるためだった。
 苦しそうに呻いて、横向きのまま体を海老のように丸めるメライちゃん。水着越しとはいえ、足の指先で性器をいたぶられるメライちゃん。
 ずっとメライちゃんを恋慕してきた僕にとって、それは絶対にだめな、あってはならない光景だった。
「やめてあげて。そんなひどい真似をしないで」
 一糸まとわぬ体をくまなく使っておしっこの拭き取りに専念していた僕は、とうとうたまらなくなって、後ろ手錠の不自由な体を起こした。メライちゃんを責める裸足の陶芸部員に突進する。すると、
 ヒィィィィッ、痛いッ・・・・・・。
 横から出てきたチアダンス女子にまたもや転ばされた。しかも今度は足払いではなく、おちんちんの袋を一蹴りされたのだった。直撃ではなくスニーカーの先端がかすった程度だけど、それでもキーンと脳天に響いてくる痛さだ。
 無様に倒れて悶える僕は彼女たちの失笑を買った。複数の足によって仰向けにされ、裸身を押さえつけられる。
 裸足の陶芸部員が足の指でおちんちんをいじりまくる。
 おちんちんもおしっこまみれだけど、彼女の足の指もおしっこに濡れていた。おちんちんの裏側を足の指先で撫でる。
 ウウ・・・・・・、やめて。

 不覚にも、たちどころにスイッチが入ってしまった。次第に硬度を増し、大きくなるおちんちんをチアダンス女子、陶芸部の女子、年上の人質女子たちが目を丸くして見ている。この状況で性的に興奮してしまう男子の生理にたいし、言いようのない軽蔑と嫌悪の念を募らせているようだった。
「バッカじゃないの? 勃起してる場合じゃないだろうがッ」
 裸足の陶芸部員が嫌悪感も露わに怒鳴り、硬くなったおちんちんを足の指先で鋭く何度も突っついた。
「ビギィィ、やめて・・・・・・」
 無防備に、仰向けに倒れている僕は、彼女たちがこれ以上攻撃しないよう、祈りながら、小さな声で哀訴した。

 チアダンス女子、陶芸部女子が依然として僕の体を足で押さえつけているから、体の向きを変えることすらできない。おしっこまみれの僕の裸身はテカテカに光って見えるようだった。
「妙にエッチな感じだね」
「もっともっといじめたくなるよね」
 人質女子のおもしろがる声が聞こえる。
 と、いきなりおちんちんの袋に鈍い痛みが走った。
「や、やめて。離して、足を離して、お願いだから・・・・・・」
 踵でおちんちんの袋を踏まれた。
 裸足の陶芸部員は、今はまだ加減して踵を浮かせているけど、踵の下には動きを封じられた陰嚢があった。
 もし彼女が踵に力を込めたら、床と踵のあいだで陰嚢は潰されてしまう。

「わたしはやめないよ。あんた、ムカつくんだよ。ひとりだけ素っ裸のくせに、賢そうな振りしてんのが気に入らないの。わたしたちの前でおしっこ出したり、勃起したり、お尻の穴に変な物突っ込まれて喘いだり、挙げ句の果てはうんちまで漏らしたくせに」
 少しずつ踵をおろしながら、裸足の陶芸部員が言った。
「ウウッ、痛い、痛いよお、離して・・・・・・」
 上向きの状態でおちんちんが踏まれているのだった。裸足の陶芸部員は亀頭近くの部分を足の指で巧みに挟み、足の裏全体でおちんちんを踏みつけている。
 おちんちんからもジンジンと痺れるような痛みが伝わってくるけど、最大の痛みの信号は、なんといっても陰嚢から来た。
 そう、踵の下で完全にロックされているのだ。彼女がちょっと踵に力を入れるだけで、玉は圧迫され、潰されてしまうかもしれない。
 痛みと恐怖で泣き言しか発せられない。「痛い、痛いよお・・・・・・」
「ねえ、あんたの金玉なんか、いっそのこと、つぶしちゃったほうがよくない?」
「許して、許してください・・・・・・」
 アウウウ・・・・・・。
 裸足の陶芸部員は踵をさらに下げて、袋の中で逃げ場を失った玉に体重をかけていく。仰向けの僕は、彼女の頭の向こうに広がる夜空に助けを求めた。
 裸足の陶芸部員の口が動いている。何か言っているのが聞こえる。でも水の中で聞いているみたいで、何を言っているのか、さっぱり聞き取れない。

 床に漏らしたおしっこを口できれいに吸い取ることを条件に、陰嚢は裸足の陶芸部員の踵から解放された。
 後ろ手錠のままうつ伏せになって、床に溜まったメライちゃんのおしっこに口をつけ、吸う。
 過去に何度もおしっこを飲まされているから、それほど抵抗はなかった。これを嫌がったのは、むしろ僕よりメライちゃんのほうだった。
 全裸後ろ手錠の惨めな格好で床に這いつくばるようにしておしっこを吸い取らされる僕を気の毒がってというよりは、単純に自分のおしっこを吸われるのが、年頃の女子であるメライちゃんには我慢ならなかったのだろう。
「やめて、ナオスくん、そんな汚いことしないで」
 半べそのメライちゃんが恥じらいの籠もった声で言った。正座の姿勢がいつのまにか崩れて、割り座になっている。
「うるさい。お前は黙って見てろ」
 裸足の陶芸部員に怒鳴られて、メライちゃんは一瞬、きりりと引き締まった目を向けた。これがいけなかった。反抗的と受け取られ、背中を蹴られてしまったのである。
 縛られて手を前に出せないメライちゃんは、おしっこに濡れた床にガツンとおでこをぶつけた。
「大丈夫? メライちゃん」
 僕はおしっこの吸い取りを中断して顔を上げた。すかさず今度は僕のほうへ、裸足の陶芸部員が後ろ手に手錠をかけられた体を揺すって迫ってきた。
「誰が休んでいいって言ったんだよ。とっととこの女の漏らした小便を吸い取って、きれいにしろよ」
 ヒ、ヒギィ・・・・・・。
 裸足の陶芸部員が僕のお尻をぐりぐりと踏みつける。さっき踵で圧迫されたおちんちんの袋がまたもや床に押しつけられ、僕はただ力なく呻いた。唇からおしっこの滴が垂れた。
 
 恥ずかしい思いを滅却し、無心で床に口をつけて、メライちゃんの放った聖水をなんとか吸い取ったのに、裸足の陶芸部員はまだ満足しなかった。
「わたしは床の清掃をしろって命じたの。おしっこを吸い取っただけでは足りないでしょ。ちゃんと床を舐めて、きれいにしなよ」
 仕方なく後ろ手錠のまま再び腹這いの姿勢になると、舌を使って床をぺろぺろ舐め始めた。さっきまでおしっこがこぼれていただけに、おしっこの味がした。
「ねえ、あんたたちふたり、似てるよね」
 陶芸部員でもチアダンス女子でもない人質女子、肩にかかるほど長い髪の、ドット柄のブラウスに膝小僧まで届かないフレアスカートをまとった女の人がメライちゃんと僕を見比べて、言った。
「そうだよね。同じ髪型だし、背丈も同じくらいだし。なんか双子みたいね」
 彼女の隣の、茶色のニットワンピースを着た女の人もうなずいた。彼女の髪はドット柄ブラウスを着た女の人よりもさらに長かった。裸になってストレートの黒髪を前に垂らしたら、乳首がすっぽり隠れてしまうくらいの長さだ。
 ほかの人質と同じく彼女たちもまた後ろ手錠をかけられていたけど、手を後ろで組んでいるだけのように見える自然さがあった。
「ねえ、あなた、もしかしてマジックショーに出てた?」
 しゃがんだドット柄ブラウスの女の人に話しかけられ、僕は「はい」と答えた。答えて、すぐに顔を床に戻し、床舐めを再開する。フレアスカートの中が丸見えだった。白いレースの、透け透けパンツ。僕はしかしそれに気づかなかった振りをする。そうしないと、きっとさらにいじめられてしまうから。
「そっか。やっぱりきみだったのか」
 ドット柄のブラウス嬢が感動したかのように床を踏み鳴らした。後ろ手錠をかけられていなかったら手を叩いたところだったかもしれない。
「そんなの、みんな知ってるよ」
「もしかして気づいてなかったの? 信じらんない」
 チアダンス女子たちが彼女の迂闊を笑った。
 ドット柄ブラウスの女の人とニットワンピースの女の人は、マジックショーの種明かしを聞いて、感心しきりだった。ふたりともマジシャン鷺丸君の世界に魅了され、たしかに魔法を見たと思い込んでいたのだった。
「そういえばどこかで見たスクール水着だし、おちんちんだと思ってたのよ」
「まさか、あの回転扉で、ふたりが入れ替わってたとはね」
 魔法と思っていたものが魔法ではなかったと知って、ちょっぴり残念そうな顔をするふたりだった。
 
 大きな穴のあいた天井からぶんぶん唸る機械音が聞こえてきた。それはたちまち音量を増して、人質たちの会話に支障をきたすほどになった。
 ヘリコプターだった。空中で静止した機体が見えた。放たれる縄橋子。いよいよ黒い宝石はこの倉庫を脱出する。
 先陣を切ったのはミヤジマジョーだ。するすると蛇のように縄橋子を登っていく。それを追うかのようなスーツ姿の背中が見えた。桃李さんだった。夢中で手足を動かしているけど、ミヤジマジョーと比べると、たどたどしさは否めない。
 三番手は木原マリさんだった。白いブラウスの胸元を豊かになびかせて、揺れる梯子の段に慎重に足をかけていく。
 まことに木原マリさんの登り方は、ゆっくりだった。ヒップを色っぽく揺すって、一段一段踏みしめるようにして登る。途中、何度も大きく股を開いたり、ことさらに太股を下腹部に密着するほど上げたりする。
 いきおい後続で渋滞が発生し、木原マリさんから一本の黒い帯が垂れる。
 黒い帯。そう見えるのは、間隔を詰めざるを得なくなった男たちの黒で統一したシャツとズボンのせいだ。
 黒い宝石にそれほどの時間的な余裕があるはずもなかった。迅速に行動して、とっととヘリコプターに乗り込みたいだろうに、この木原マリさんの明らかに故意と思われる、悠長な振る舞いにたいして、後続から格別の非難が出ているようにも思われないのは謎だった。それどころか、木原さんのセクシーな動きを歓迎しているようだった。
 縄梯子にいる男たちは全員顔を上げ、木原マリさんの紫のロングスカートの中を一心に覗き込んで、頭だけマネキンのように動かさない。
 先に登ったミヤジマジョーはとっくにヘリコプターに乗り込んでいた。木原マリさんはまだやっと頭が倉庫の天井を抜けたところだ。男たちの熱い視線を真下から浴びて、恍惚として腰を揺すっている。
 もしかして、と僕は思った。
 その「もしかして」が正しいことを証明してくれたのは、眉毛を赤く染めた男だった。道化師が化粧を中断して楽屋から出てきたような顔をした男、メライちゃんのスクール水着に大小の丸い穴をあけたその男が突然、この囲いの中に入ってきて、言った。
「見せつけてやがるんだよ。木原姉さんはパンツ穿いてねえから」

 一回ではヘリコプターに全員が乗れないから、二回に分けて遁走するらしい。眉毛を赤く染めた男を含む六人は二回目に回されたようだ。
「納得いかねえ。なんで桃李の馬鹿が一回目で、おれっちが二回目なんだよ」
 眉毛を赤く染めた男の吐く息にアルコールの香りがした。飲み屋でくだを巻くサラリーマンみたいだった。
 彼の話によると、ミヤジマジョーの命令で木原マリさんはパンツを脱いで縄橋子を登る羽目になったという。
 自分の情婦の体を露出させ、仲間に鑑賞させては性的な恍惚に達するという、一種独特な性的嗜好の持ち主であるミヤジマジョー。そのミヤジマも、なぜか僕にたいしてはいっさい木原さんの体を見させなかった。
 現金一千万円を盗み出す現場を取り押さえた時、木原さんはスカートをめくって、僕のおちんちんを瞬時にして硬くさせたけど、あれはフェイクの股間だった。
 とうとう僕は木原さんの裸身、性器を拝む機会を得られなかったのだなと思う。肉体の露出に慣れているのであれば、僕にも見せてくれればよかったのに。彼女には素っ裸の身を一方的にさんざん嬲られただけに、その悔しさがひとしお身に沁みる。
 縄橋子にしがみつく男たちをあんなに夢中にさせるとは、さぞかし木原マリさんのスカートの中身、パンツを脱いだ下半身は、官能的な喜びを与えてくれるものなのだろう。

「女の体がそんなに見たいのかよ。ちっとも見せてもらってないようだな。かわいそうによ。自分だけいつもオールヌードなのにな」
 眉毛を染めた男、紅眉毛は僕の落胆を見透かしたかのように言い、ギラギラした目をメライちゃんに向けた。
「じゃ、おれっちが見せてやるよ」
 黒いズボンの尻ポケットから鋏を取り出すと、メライちゃんに襲いかかった。
「いや、やめてえ」
 後手に縛られているメライちゃんはあっけなく押し倒された。馬乗りになった紅眉毛がチャキチャキと鋏を鳴らして、メライちゃんの穴のあいたスクール水着をさらに切り刻む。
 チアダンス女子や裸足の陶芸部員にメライちゃんがいたぶられた際には、僕は体を張ってこれを止めようとした。気づいたら体が勝手に行動を起こしていた。
 ところが、今、僕の体は彫像のように動かない。
 紅眉毛がメライちゃんの水着を引っ張り、鋏を入れて大胆に切り取っていくのを、ただ呆然と見ている。
 カミソリのように切れる、特殊な鋏のようだった。コンパスで描いたような円の形をした穴は、この特殊な鋏と紅眉毛の巧みなわざで作られたものだった。後手に縛られたメライちゃんをひっくり返してうつ伏せにすると、大胆に背中の丸い穴に鋏の刃を入れ、生地を切り抜く。
「いやあ、やめて」と、メライちゃんは泣き叫んで足をバタバタさせるのだけど、紅眉毛はまったく意に介さず、メライちゃんの体からスクール水着の生地を剥ぎ取っていく。男にはもう円の形に切り取ろうという意図はなかった。ただがむしゃらに切り裂いていくだけであり、格別難しいわざではないように見受けられた。
 人質女子の多くがこれを小気味よい思いで見つめている。僕はしかし彼女たちを非難できなかった。なによりも僕自身がこの光景を目の当たりにして、不覚にも性的に興奮してしまったからだ。
 後ろ手錠のせいで股間を隠しづらいのは本当に忌々しかった。大きくなってしまったおちんちんに最初に気づいたのは、アキヨさんだった。アキヨさんは僕をけがわらしい物でも見たようにキッと目を細めた。目配せによって気づきの輪は広がり、たちまちのうちに僕の勃起は、後ろ手に手錠をかけられた人質女子全員の知るところとなってしまった。
「実はおれっち、女の子の全裸って興味ねえんだ。少しだけ生地が残ってるほうがそそられるんだよね。おまえも、チンチン硬くするくれえだから。おれっちの求めるエロスがわかるんだろ」
 紅眉毛はメライちゃんの体から立ち上がると、僕の隠そうとしても隠せない、ぷるんと鎌首をもたげたおちんちんへ、細くした目を向けた。
「自分だけマッパで、女子の裸を少しも拝ませてもらえねえおまえは、ほんとに気の毒だな。同じ男として心から同情するよ。だからせめて、この女の子のエッチな姿を見て、自分を慰めろ。といって後ろ手錠のままじゃ、オナニーもできないな」
 紅眉毛はこんなことをしゃべりながら僕に近づき、肩をポンと叩く振りをして、おちんちんをつるりと撫でた。
 女の子の着ているスクール水着を鋏で切り取っていくという視覚的な刺激によってすっかり興奮してしまったおちんちんがぷるんと跳ねる。
 紅眉毛は大笑いして囲いの外を出た。無論、施錠も忘れなかった。

 床に倒れたまま、すすり泣くメライちゃん。
 スクール水着は無残に切り取られて、わずかに胸と腰を覆うばかりになっていた。まさしくビキニ姿。しかもトップは肩紐まで切り取られて、胸にかろうじて巻き付いているという状態だ。パンツに相当する部分は鋭角三角形に生地が残っているだけだった。

 黒い宝石の第一陣を乗せたヘリコプターは去った。どこかで第一陣を降ろしたあと、今度は第二陣、残りの六名を乗せるために、ふたたびこの倉庫に戻ってくる。
 問題は第二陣が去ったあと、黒い宝石はひとり残らず退散したあとだ。倉庫のあちこちに仕掛けた爆弾が爆発する。僕たち人質はもちろん、倉庫を取り囲む機動隊、報道関係者、そのほか倉庫の周辺にいる人全員が巻き添えになる。

 なぜ黒い宝石はこんなに多数の死傷者を出すテロを実行するのか。そもそも彼らの最初の計画は、門松徳三郎氏の暗殺だった。
 商工会連合の会長である門松氏は、電撃特急の開発を妨害する裏の顔があった。知事に圧力をかけて開発に反対させていたのだ。知事は工事に難癖をつけて中断させ、地盤沈下の可能性を理由に再開を許可しなかった。とんだ言いがかりだった。
 門松会長が知事に電撃特急の開発を進めさせなかった本当の理由は、謎に包まれている。地球外知的生命体の政府筋からの圧力という説もある。
 黒い宝石としては、電撃特急の開通は待ったなしで進めなければならない事案だった。入念に準備を進めた彼らの暗殺計画は頓挫した。そこで、あらかじめ準備にしていた第二のプランに移行した。しかし入念だった第一のプランと比べて、こちらはびっくりするほど粗雑だった。とにかく死傷者を多く出す爆破事件を引き起こして、その責任を門松徳三郎になすりつけようというのである。
 ガラクタ置き場のガラクタの中に全裸のまま忍び込んで、こうした情報を盗み聞きした僕は、「嘘でしょ」と思わず声に出すところだった。爆弾を爆発させ、死傷者を多く出しても、「こうなったのも電撃特急の開発を妨害するあんたのせいよ」と、知らん顔するという腹であった。
 まあ、門松会長はこの夏祭り実行委員会の委員長も務めているから、会場の安全管理について責任を負う立場であるのは確かだけど。
 そうなったら、世間の轟轟たる非難を浴びるのは火を見るよりも明らかで、厚顔の門松会長もさすがに責任を感じて現在の権力を手放すだろう。
 
 第二陣がヘリコプターに乗って倉庫を離れる前に、爆弾を止めなくてはならない。
 いつも全裸で性的な激しいいじめを受けてきた僕は、死ねるのなら死んでもいいかな、などとしょっちゅう思ったりするほど、常日頃から厭世的な気分に支配されがちだった。ところが、いざ可能性としての死が間近に迫ってくると、俄然、「このまま死んでたまるか」と、生への執着が湧いてきた。
 倉庫の中の狭い囲いの中で、人質女子たちと一緒に生を終えるのは、無残にすぎる。メライちゃんと抱き合ってであればまだしも、後ろ手錠をかけられた状態で、ひとりだけ素っ裸のまま死ぬのは、絶対にごめんだった。
 倉庫に仕掛けられた爆弾のことは、僕はまだメライちゃんとアキヨさんにしか話していなかった。皆にはまだ知らせないようにくれぐれも頼んだ。パニックになられたら、僕のひそかに考える爆弾を止める作戦が失敗してしまうかもしれない。とにかく適切なタイミングで伝えなくてはならない。

 空港のラウンジで出発までの時間を寛いで過ごす貴婦人のような気持ちで、ドリンクバーやサラダバー、デザート、ウインナーなどを楽しんでいた人質女子たちは、突然囲いの中に閉じ込められ、さらに後ろ手錠をかけられた。
 この待遇の急激な悪化。さぞかし不安になったことと思われるが、それでも彼女たちは過度に神経質にならなかった。
 ヘリコプターが倉庫の上空にあらわれ、垂らされた縄橋子を伝って黒い宝石が順々に乗り込むのを目の当たりにしたとき、彼女たちは待遇の悪化した理由、後ろ手錠をかけられ、そのうえ狭い一室に閉じ込められた理由がわかったような気持ちになった。
「これって、ひとえに黒い宝石の逃亡を邪魔させないためなのね」
 実際、そう考えるほうが彼女たちの膨らみやすい悪い想像を抑えられた。

 スクール水着を切り刻まれ、胸と股間をわずかに覆うだけのビキニ姿になってしまったメライちゃんは、まだ床に突っ伏して、肩をわなわな震わせている。僕はすっかり口数の少なくなった人質女子たちの間を縫って、アキヨさんのところへ向かった。
 アキヨさんはほかのチアダンス女子とおしゃべりをしていた。後ろ手錠をかけられた全裸の僕が近づいてきたのを認めても、おしゃべりをやめない。僕は彼女たちの会話が終わるまで、おちんちん丸出しのまま待たなければならなかった。
 もじもじしながら羞恥に耐える。おしゃべりのあいだ、僕と同じ後ろ手錠の彼女たちは結構な頻度で僕のおちんちんへ目をやった。不安を和らげ、紛らすには、おしゃべりのほかにも、おちんちんに侮蔑の視線を注ぐ必要があったのかもしれない。
 やっとアキヨさんたちのおしゃべりが終わった。僕はアキヨさんを隅っこに誘い出すと、あるお願いをした。
「え、メライさんの後手縛りの縄をほどきたいの?」
 アキヨさんは、目を大きく見開いて僕の顔をまじまじと見つめた。
「そうなの。メライちゃん以外はみんな手錠でしょ。とても外せないよね。けど、縄だったら、みんなで力を合わせれば、ほどけると思うの」
「なるほどね。とにかく誰かひとりでも両手が自由になれば、爆弾をとめられるかもしれないもんね」
 爆弾?
 近くにいた人質女子が不安と驚きに満ちた顔をこちらに向けた。
 まずい。僕はアキヨさんに目配せした。
 アキヨさんはすぐに察して、「あ、うそうそ、今の冗談。もし爆弾が仕掛けられていたとしてもって話よ」と、殊更に明るい声を出して、取りつくろった。

 アキヨさんの巧みな働きかけによって、人質女子たちはメライちゃんの縄ほどきに取りかかった。全員後ろ手錠をかけられているので、力を合わせなければならない。
 胸と腰回りだけにかろうじてスクール水着の残るメライちゃんを中腰にさせると、人質女子のなかで最も年齢が高い思われるお姉さんがメライちゃんと背中合わせになった。
 お姉さんは手錠をかけられたまま指先を動かして、メライちゃんの両腕を縛る縄の結び目に指をかけた。二人を至近で囲むほかの人質女子がその様子を見ながら、「もう少し右」「ちょっと上」などと指示を飛ばした。
 きつく縛られた縄の結び目を緩めるのは、なかなか難しく、指が痛くなるようだった。人質女子たちは指先を動かす役と指示役を次々と交代した。

 交代した人質女子がするすると体を回しながら僕のところへ来て、背中を向けた。
 ひ、なに、いきなりッ。
 背中を僕の正面に密着させてくる。思わず腰を引いてしまった。なんと後ろ手錠のまま、おちんちんをまさぐり始めた。
 いつのまにか僕の左右後ろに人質女子がいて、着衣の体を密着させるものだから、この理不尽なおちんちん責めから逃れられない。引いた腰も押し戻されてしまった。裸の背中に豊かな胸の膨らみを感じる。
 ミヤジマジョーにいじめられていたとき、人質女子たちは全員、彼の圧のかかった勧めに従って僕のおちんちんをいじった。前を向いた状態で。
 でも、今回の後ろ手錠でのまさぐりは、それとは全然違う感触だった。
 なぜか、もっともっと強い性的刺激で、どんなに我慢しても、つい切ない声を洩らしてしまう。
 まさぐるといっても、背中を向けて後ろ手錠のかかった手でするのだから、当人にはもちろんおちんちんは見えていなくて、手指の動きはぎこちない。
 僕の左右、後ろに詰め寄った人質女子が「もっと下」「もう少し右に寄せて」「そこは金玉袋だよ。もう少し左」などと誘導し、ついに指をおちんちんに絡めさせるのだった。
 うう、いや・・・・・・、やめて・・・・・・。
 指先に精液が付着して、透明な糸を引く。

 こんな淫靡な責めをしている場合ではないのに、爆弾爆発の時間が迫っていることを知らない彼女たちは、おちんちんを硬くする遊びに興じてやまない。
 また別のひとりがくるくると回転して、後ろ手錠の手でおちんちんをまさぐりに来た。ついに最大限の硬さ、射精寸前まで追い込まれたおちんちんは反り返って下腹部にくっつくほどになった。それなのに背中を向けた彼女は、まさぐるのをやめない。

 第二陣のヘリコプターの接近するエンジン音が聞こえてきた。
 だんだん大きくなる。天井の大きな穴に機体の一部が見えたとき、ようやくメライちゃんを緊縛する縄がほどけて、彼女の足元に落ちた。
 それと同時に、おちんちんをまさぐっていた手が止まり、四方の女子が僕から離れた。
「メライちゃん、こっちに来て」
 僕はメライちゃんを呼んだ。自由になった両腕を自分の体に巻き付けて、ビキニと変わらなくなった水着姿を恥ずかしがるメライちゃんは、僕を見るなり小さな悲鳴を上げた。
「やだ、ナオスくん、なんでおちんちんが、おちんちんが・・・・・・」
 いまいましい後ろ手錠のせいで、素っ裸の僕はおちんちんを隠せない。人質女性のぎこちない後ろ手で性感を高められたおちんちんが頭をもたげているのを、メライちゃんにばっちり見られてしまった。
「こ、これはいたずらされて・・・・・・」
 慌てて言い訳するのだけど、メライちゃんは首をいやいやするように横に振った。
 もっぱら自分の裸に近い格好を見て勃起したと思い込んでいる。
「こんなときに何を興奮してんのよ、バカッ」
 バシッ、とメライちゃんに頬を平手打ちされてしまった。
 痛い。メライちゃんの両手を自由にしてもらったのは、僕にビンタを浴びせるためではないのに。
 激昂したメライちゃんよりも大きな声を出して、なんとか僕はメライちゃんに大事なことを思い出させるのに成功した。
 そう、爆弾爆発の時間が間近に迫っているということだ。

 倉庫の上空で静止したヘリコプターから縄梯子が垂らされた。第二陣が飛び去ったら、彼らはまちがいなく爆弾を爆発させる。第二陣がヘリコプターに乗り込む前に爆弾を止めなくてはならない。
「そ、それで、どうすればいいのよ」
 事態の深刻さについて認識を新たにしたメライちゃんが上目遣いに問う。
「手伝ってほしいことがあるの。ちょっと言いにくいけど・・・・・・」
「何を手伝うのよ。ナオスくん、助かる方法、考えてるんでしょ」
「考えてるよ」と僕は答えた。「でも、そのためにはどうしてもメライちゃんの手が必要なんだよ」
「手?」
「そう、手」
 僕はきっぱりと言った。

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4 コメント

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Unknown (Gio)
2024-12-26 13:12:40
更新お疲れ様です。
これまでの話でも経験してきた責め苦を怒濤のように受けてますが、直接電撃玉責めはナオス君もヤバそう。
これまでのお話でも時々睾丸に痛みがある様子で、壊死してるのではと心配でしたが、お母さんの施設があれば大丈夫ですかね。
一緒におしっこを拭かされたり、メライちゃんを守ろうとして玉を潰されそうになる場面が最高です。個人的にメライちゃんと一緒に責められるシチュが一番好きです。
マジックショーも九話目となり、終盤がいよいよ迫ってきた印象ですが、次話も楽しみに待ってます。
返信する
Unknown (naosu)
2024-12-27 01:49:40
Gioさま
いつも早々にありがとうございます。
いよいよ大詰めに入ります。
年内になんとか完結したいと思って、睡眠時間削ってます(笑)。
お楽しみいただければ、とても嬉しいです。
返信する
Unknown (naosu)
2024-12-27 12:25:59
> naosu さんへ
> Gioさま... への返信

遂に大詰めとのことで、
CFNMシーンと物語の結末どちらも楽しみにしています。
ヒトマロやおば様とY美の思惑などこれまでの伏線や謎が明かされるのか、ローブを着られず裸で解放され、まだ恥ずかしい目にあいそうなナオス君が最後にどうなるのか、楽しみに待ってます。
返信する
Unknown (M.B.O)
2024-12-29 00:37:20
 大勢の女の人の前で全裸でおしっことうんちをする姿を見られるってなかなか恥ずかしいシチュエーションですね!
返信する

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