「服を脱ぎなさいって言ってるんだよ」
あまりにも唐突で耳を疑っている僕に、Y美はもう一度、浴びせた。ほんとに僕が反省しているのなら、態度で示せというわけだ。定規で自分の手のひらを叩きながら、Y美はじっと僕を見つめている。うなだれて動かない僕は、そこに居るだけで苛立ちを覚えさせる不快な物体なのかもしれなかった。
「早く服を脱いでパンツ一枚になりなさい」
何度か押し問答をした挙句、僕はシャツを脱い . . . 本文を読む
Y美はようやく口を開いた。溜めに溜めていた不満を一気に迸らせたようなすごい剣幕だった。ようするに、Y美の母が善意で僕を住まわせてやっているのに、僕は恩知らずな態度をとっていると言うのだった。
そんな風に言われるのは心外だった。僕が食事を終えて食器を片付けた後すぐに自室へ引き上げるのも、Y美が彼女の母と団欒するのを邪魔したくなかったからだ。でも、Y美にはそれがとても不快に感じられたのだろう。
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僕は中学一年の夏、クラスメイトのY美の家に居候することになった。とてもいやだったけど、父が残した借金のこととかあって、母に我慢してくれと泣きながら言われたから、我慢するしかなかった。
Y美はおとなしい子でクラスで目立つ存在ではなかった。でも、ほんとはとても意地の悪い子で、家庭環境も複雑だった。僕はそういう事情を知っていたから、彼女の家で暮らすのは、気が重かった。
10月になったら、また母と一 . . . 本文を読む