いやだ、ウソー、と叫ぶ女の人たちの声、それとおちんちんやお尻、腰回りに直接感じる外の空気で、パンツを引き下ろされた現実に戻った。
急いでパンツを引っ張り上げた僕におば様は少し驚いたようだった。いつもだったら観念してされるがままになっているのに、今回の僕はいささか違った。まるで逆らうかのように腰を落とすと、パンツのゴムをぎゅっと掴んで素早くこれを引き上げた。
正面にいる女の人たち、中には小さ . . . 本文を読む
家の前に横付けした車のトランクにボストンバッグを二つ押し込んで玄関に戻ると、浮き輪やらビーチボールが空気を抜いたぺしゃんこの状態で詰め込まれたビニール製のトートバッグと縦長のフロートが新たに追加されていた。
「遅いなあ。溜まる一方じゃんよ」
居間を仕切るドアを背中で押して入ってくるなり、Y美が苛立ちを露わにした。持ってきたクーラーボックスをドスンと上がりがまちに置くと、荷物の山を見下ろして、フ . . . 本文を読む
長い面接が終わって、スクール水着を着たメライちゃんと生まれたままの姿である僕は、一礼して面接室を出た。ドアが閉まったのを確かめてから、メライちゃんが「良かったね」と僕を振り向いて言った。もう廊下は暗く、人の気配がなかった。ホッとした顔をするメライちゃんが恨めしく、つい「全然良くない」と語気を荒げてしまった。
「なんでよ。何をそんなにムキになってんのよ」
「だってさ、あんまり酷過ぎるし」
裸足で . . . 本文を読む
町役場の、たくさんの人が行き交う長い廊下をメライちゃんと僕は歩いた。背中のストラップが優美にクロスするタンクトップ、ミニスカートという格好は、僕を女子そのものにしていた。
一人の時よりも、本物の女子であるメライちゃんと連れ立って歩いている時の方が格段に僕を女の子らしく見せているようだった。それは人々の視線からも、はっきり感じられた。僕は今、普通に女の子として受け入れられている。
会議室に着い . . . 本文を読む
居間のフローリングに正座し、ガラス戸へ首を回すと、そこに相変わらず一糸まとわぬ姿の僕が移っていた。
ガラス越しには、雨上がりの草木が生き生きと輝いているように見えた。僕は命じられた仕事、古雑誌の十文字縛りを終えたところだった。おば様のご用済みとなった沢山の雑誌、地域情報誌や流行雑誌などを積んだ束が五つほど、居間と玄関をつなぐドアの近くに並べてある。
「なんで浮かない顔してんのよ。もうすぐ服が着 . . . 本文を読む
いつもの生活、いつもの朝が戻ってきた。
昨晩、みなみ川教のみそぎ生活からようやく解放された僕は、迎えに来てくれたおば様の車に素っ裸のまま乗せられ、この家に戻ってきた。心からの安らぎが得られた訳ではない。安らぎは、僕が母と一緒に暮らす日の来て初めてこの胸に到来することだろう。しかし、とりあえずほっとしたのは事実だった。僕は二階の自分に割り当てられた部屋に入るや、たちまち眠り込んだ。
そして、気 . . . 本文を読む
しっかりしなよ、とメライちゃんの励ます声がして、僕はうんうんと唸るように返答した。鴨居に固定された縄を解かれたところだった。汗びっしょりだね、とS子がうつ伏せに倒れる僕を見て、言った。一糸まとわぬ僕の体を撫で回し、ぬるぬるしてるよ、と素朴な感想を述べたのはエンコだった。
依然として背後、腰骨の上辺りで手首をがっしりと縛り合されていていて、両腕の自由は全く利かなかった。
動くと余計に痛みが増し . . . 本文を読む
縁側の雑巾掛けは、二往復目を終えたところだった。縁側の雑巾掛けは必ず三往復以上という決まりに従い、息をついてからもう一度方向転換をする。みなみ川教の集会所で過ごすみそぎの生活も四日目に入った。僕は相変わらず素っ裸だった。この家に入った時から今に至るまで、布切れ一枚与えられていない。
「こんにちは。よろしくお願いします」
体重を掛けた雑巾を両手で前へ押し進める僕の目に、門から庭に回り込んできた . . . 本文を読む
伸ばし切った両腕、その手は僕の頭よりもやや高い位置に固定されている。足は肩幅よりもやや広く開かされ、両の足首を括った麻縄が街灯の支柱と若木にそれぞれ固く結び付いて、この理不尽な苛めから逃げる自由を完璧に封じる。晴天の残酷な明るさのもと、僕は一片の布切れもまとわぬ素っ裸の身をくねらせ、メライちゃんのきごちない手がおちんちんをいじり回すのに耐えていた。
「いやだ、お願いだからやめて」
性的に反応し . . . 本文を読む
目が覚めると、板敷の床に月の光が射していた。閉め切った板張りの雨戸はだいぶ古びた代物らしく、ところどころに隙間があり、暗い部屋を淡い光で満たすのだった。体を動かすと床が軋んだ。
麻縄は解かれ、両手も両足も自由に動かすことができた。しかし、相変わらず一糸まとわぬ素っ裸のままだった。
ここがみなみ川教の集会所の二階であることに気づくまで、少し時間がかかった。昨日、僕はみなみ川教の儀式を中断させ、 . . . 本文を読む