なんとか岸に這い上がることができた僕は、四つんばいの格好で荒々しく呼吸していた。上下に揺れる肩から、頭から、水滴が滴り落ちる。自分が一糸もまとっていない丸裸なのに、この先の急流で釣糸を垂らしている人たちからすぐに身を隠そうとしなかったのは、とにかくも5メートルの高みより滝壷に落ちて、さらに下流へ流されながら一命を取り留めたことに対する驚きと興奮で頭がいっぱいだったからだ。
まったくよく無事だっ . . . 本文を読む
庭には草木が茂っていて隠れる場所に不自由はしなかったものの、一箇所にしばらくとどまっていると蚊や蚋に刺されるので、適当に場所を移動しなければならなかった。頭の先から爪先まで何もまとっていない素っ裸で青空の下をうろうろしている。動物になった気分だった。最初は素足に土や小石、芝生が痛かったり、くすぐったかったりしたが、何日も全裸で生活させられているうちに足の裏も丈夫になった。
家屋に横付けされた物 . . . 本文を読む