奈良散策 第1317弾
10月6日明日香村にある飛鳥資料館に行きました。広い庭園があるので、まず、そこにある石像群を見てから、資料館に入りました。
入ったところは広いロビーになっていました。
その奥に第一展示室がありました。入り口には鴟尾が置いてありました。
展示室の中の様子です。
飛鳥時代の武人の像が目に入りました。こんな格好だったのですね。
これは漏刻。水時計です。水時計というと天智天皇の近江大津宮の水時計を思い浮かべますが、これは明日香村にある水落遺跡で見つかったものです。
先日、万葉文化館で見た富本銭も展示されていました。
万葉文化館は飛鳥池を埋め立てて造られたものですが、そのとき池の底から富本銭の製作工房が見つかりました。富本銭は1985年に平城京跡の九条公園の工事のときに和同開珎などと一緒に初めて見つかったのですが、その時には祭礼に用いるもので一般には流通していなかったと考えられていました。その後、藤原京跡や群馬県の藤岡市からも見つかり、そして、1999年に飛鳥池工房遺跡で製作工房が見つかったので、日本最古の流通貨幣だということになったようです。ただ、江戸時代の貨幣カタログである「古今泉貨鑑」などには富本銭が厭勝銭(まじないや玩具の貨幣)として載っているので、その当時からかなりの数が見つかっていたようです。また、偽物あるいは模造品も多く作られ、カタログには載っていました。こういう模造品と古代の貨幣をどうやって見分けたらよいのかと思って、奈文研の「飛鳥池遺跡発掘調査報告(2021)」を見てみました。組成から分かるかなと思ったのですが、飛鳥池で出土した33枚の富本銭の組成は銅とアンチモンが主成分でそのほかにもビスマス、銀、ヒ素、鉛、錫、鉄が含まれていました。さらに、アンチモンの比率が4.0~27.2%まで分布しているということです。つまり、合金としてうまく混じりあっていなかったというわけです。表面には樹枝状結晶が析出しているところもあったそうです。また、鉛の同位体の比率からも調べられていますが、日本産の方鉛鉱のものに近いということが分かっただけとのことです。つまり、組成からでは江戸時代の模造品との区別は難しいようです。
第一展示室の様子です。川原寺の復元模型も置かれていました。
次に、第二展示室にも行ってみました。入り口に二面石の複製が置かれていました。
中には大きな建造物が置かれていました。これは山田寺の東廻廊の復元模型です。山田寺は641年に蘇我倉山田石川麻呂が建造始めたのですが、649年に中大兄皇子に対する謀反の疑いで完成された金堂前で石川麻呂は自害をしてしまいます。それで、工事はストップしてしまいました。その後、天武朝になって完成されたとのことです。東廻廊は発掘により見つかったもので、世界最古の法隆寺よりも古い木造建築物となるそうです。
これは山田寺で見つかった仏頭の複製です。
これは塼仏(せんぶつ)といって、粘土を型に入れた後、取り出して焼成し、表面を金箔や金泥で装飾した仏像です。
最後は飛鳥浄御原宮付近の復元模型です。なかなか立派な展示なのですが、訪問者は少なかったです。なお、飛鳥池工房遺跡の展示は工事のため、当面、閉室になるそうです。
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