奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

午後の散歩 「トンボの日」

2021-06-03 20:27:37 | 奈良散策
奈良散策 第106弾


5月30日朝の散歩のときに撮った写真です。毎日のように散歩に出ているとマンネリ化してしまうので、この日は「トンボの日」と称して、トンボをメインに写してみました。すると、思わぬ収穫がありました。





マンション近くに小さな湿地があるので、散歩に出かけると、いつもここを覗くことにしています。この日は「トンボの日」なので、ここでハラビロトンボを撮影しました。





この湿地にはコフキトンボもいます。でも、不思議なことにイトトンボ類やヤンマ類はまったくいません。







養魚池に行くと、見慣れぬトンボが止まっていました。尻尾の先の方が膨れているので、ウチワヤンマみたいです。ここの養魚池にはこんな鉄の棒が何本か立っているのですが、そこに止まっていました。





ほかの棒にはコフキトンボが止まっていました。ウチワヤンマが飛び立つとすぐにその場所にコフキトンボが止まります。それを戻ってきたウチワヤンマが追い払って自分が止まります。こんなことを繰り返していました。



同じ池にギンヤンマも飛んでいたので、頑張って撮ってみたのですが、これが精いっぱい。



ところで、ウチワヤンマが止まっていた池にこんな網があって、それにヤゴの脱皮殻がついていました。





拡大するとこんな格好の脱皮殻です。この脱皮殻はどのトンボのものなのか調べてみました。「日本産トンボ幼虫・成虫検索図説」にはヤゴの検索表も載っています。イトトンボのヤゴはだいぶ恰好が違うので、これは不均翅亜目だと考えられ、その後を追いかけてみると、以下のようになります。

不均翅亜目
①a 触角は4節で、第3節が大きい;前肢と中肢の跗節は2節 サナエトンボ科
 ②a 後肢の跗節は2節;触角の第3節は棒状
  ③腹部は縦長;背刺は第2~9節にあり、9節のものは痕跡的;側刺は第3~9節にあり、7節のものは特大 ウチワヤンマ
 ②b 後肢の跗節は3節
  ・・・
①b 触角は6~7節でひも状;前肢と中肢の跗節は3節 サナエトンボ科以外





2番目の写真は頭部を拡大したものですが、触角は4節で第3節が長くなっていることが分かります。このことから①aのサナエトンボ科が考えられます。②aとbの後翅の跗節はこの写真からは分からないので、触角第3節が棒状という項目を採用します。③の側刺は体側にある刺で、確かに第7節の刺が大きくなっています。



背刺は横からの写真でよく分かります。この写真からは第3節から第8節までには明確に刺があり、第9節にはわずかにあることが分かります。ということで、ここまでの項目とよく合っていて、しかも、ウチワヤンマは確かにいるので、これはウチワヤンマの脱皮殻だと推測できます。脱皮殻がついていた網を見ると、大型の脱皮殻が3個見えるので、ウチワヤンマは3匹脱皮したようです。左下に小さな脱皮殻が見えますが、これはたぶん、コフキトンボではないかと思われます。



コフキトンボの脱皮殻は上のコフキトンボの下についている脱皮殻が横から見えるので、都合がよいです。

トンボ科
①腹部に背刺がある
②腹部の背刺は第8節より後の節にもある
③腹部の背刺は第9節より後の節にもある
④腹部の背刺は第9節にはあるが、第10節にはない
⑤背刺は第3~9節にある
⑥第6~9節の背刺は稜状 コフキトンボ

「日本産トンボ幼虫・成虫検索図説」に載っているトンボ科の検索表では①~⑥まで進むとコフキトンボになります。要は、背刺が分かれば種まで分かるということのようです。コフキトンボの場合は⑥の「第6~9節の背刺が稜状」というのが特徴です。稜状というのは上が平らになった形状を意味しています。この写真では確かにそうなっているので、コフキトンボの脱皮殻で間違いないでしょう。因みに、シオカラトンボの場合は背刺がなく、小さな側刺があるだけです。今度、脱皮殻があったら、横から撮ることにしたいと思います。トンボについては、まだ、続きがあるのですが、長くなったので、次回に回します。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿