コーヒーの香りにはリラックス効果があって
コーヒーは嫌いでも、香りを嫌う人はあまりいないそうです。
私がコーヒーの講習を受けた時の先生も
「毎日のようにコーヒー豆を焙煎するけど、
その匂いで苦情が来たことは一回もないですよ」
というお話に、うなずきながらも
「そう言えば、一回だけコーヒーの香りで人を怒らせたことあったよなぁ」
と、思いだした事があります。
以前、事務員として勤めていた会社で。
リーマンショックの影響を受け、
数人のパートタイマーが会社を辞める方向に
持っていかれました。
私もその一人に入っていて、日に日に少しずつ仕事が取り上げられていきました。
会社に居ながらも、やることがなくなっていって
それでも次の仕事が見つかるまでは辞めるわけにはいかず
何かやることはないかと毎日困っていました。
お昼休憩の15分前、頂き物のコーヒー豆があったのを
思い出し、給湯室でみんなのコーヒーを淹れ始めました。
コーヒーの香りが事務所に流れると、
仕事のしわ寄せで、忙しくて血眼になっていた先輩が怒鳴りこんできました。
「ちょっと、そんなにヒマならこっちの仕事手伝ってよ!」
手伝ってと言っても、手伝わせるには新たな仕事を教える時間が必要で
ポンと渡せるような内容ではない事を、先輩は承知で言いました。
私は、その先輩には本当にお世話になっており、
そういう言い方をされても、先輩に怒りは感じませんでした。
「久しぶりに怒られちったなー」と思いながら
鳴らぬ電話の前に座りました。
自分だけ忙しくてイライラしているところに
私が呑気にコーヒーを淹れ始めたので
さらにイラッときて、言わずにはいられなかったようです。
いくら電話が鳴らないからと言って、席を離れれば
いざ電話が鳴った時、先輩が手を止めて電話に出ることになります。
ただ、仕事がなくて困っている私に対して
「キミ、何してるの?」
という社長の信じられない言葉には
「いや、あんたのせいで私には何もすることがないでしょうが!!」
とキレそうになりました。