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映画冒頭、4人の中年男たちの楽しげな写真が映し出されていく。彼らは長年の親友同士だったのだろう。ところがその内の1人が急逝。遺されたハリー、ガス、アーチーの3人は葬儀の帰り道、途方に暮れてしまう。
人生、先が見えてきたミドルエイジクライシスの3人が、ヤケになって狼藉を繰り返す。ジョン・カサヴェテス監督の第5作『ハズバンズ』は今でこそ多くの亜流コメディを生んだ原点だが、2023年の今見直すとよりトラジックで暴力的だ。3人は葬儀後、二日二晩遊び歩いて、勢い任せになんとアメリカからロンドンへと渡る。社会的にそこそこ成功した彼らにコントロールできるのは、金にモノを言わせた性欲だけ。カサヴェテスは彼らのロンドン軟派旅行を執拗に撮り続け、男たちの無様な悪あがきに同世代の筆者は何ともバツが悪くなる。ベン・ギャザラ、ピーター・フォークにはまだ愛嬌があるものの、自らも出演するカサヴェテスには何やら狂気めいた雰囲気があり、彼が男の弱さを率先して引き受けていたことがわかる。“アメリカンインディーズの父”カサヴェテスの代表作の1本だ。
『ハズバンズ』70・米
監督 ジョン・カサヴェテス
出演 ベン・ギャザラ、ピーター・フォーク、ジョン・カサヴェテス
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