スーパーヒーロー集合映画『アベンジャーズ』の第2弾はMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の正統続編でもある。シールドを乗っ取っていたヒドラ党の秘密基地をアベンジャーズが強襲するところから映画はスタート。『アベンジャーズ』で見せた“1ショットでアベンジャーズ全員の戦闘を描く”マスターショットがいきなり登場する大盤振る舞いだ。MCUの折り返し地点とも言える本作は次作『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』のイントロダクション、伏線作りのような側面も強いが、まずは楽しもうじゃないか。
今やオールスター映画だ。単独主演作を経てキャップ=クリス・エヴァンス、ソー=クリス・ヘムズワースらにスターのオーラが加わり、座長ダウ兄を中心としたアンサンブルの華やかさが増した。特にソーはハンマー絡みのギャグがテンコ盛りで、ヘムズワースのジョックスな個性は笑いに転嫁して、コメディもイケる事を実証している。
ピンの主演作を持たないメンバーにこそ見せ場を増やすのが監督ジョス・ウェドンの気配りだ。スカジョのエロすぎるスパイぶりは『マッチポイント』の魔性を遥かに凌ぎ、一応“純愛”売りされているハルクとの絡みは手玉に取っているようにしか見えない。お手とかさせてるし!
これまでスカジョとの仲が疑われてきたホークアイ(ジェレミー・レナー)はキャラクターをうんと掘り下げられて、一番おいしい役所と言っていいだろう。スタープレイヤー達に囲まれた中間管理職の悲哀(しかも係長レベル)と、新入社員にハッパをかける姿は僕らに最も距離が近い愛すべきキャラだ(タフガイばかり演ってきたレナーにとっても新境地である)。
注目は新規加入の2人、クイックシルバーとスカーレットウィッチだ。キック・アスから大出世、今やイケマンマッチョのアーロン・テイラー=ジョンソンは直前に『X-MEN:フューチャー&パスト』でもクイックシルバーを使われてしまったのがイタかった。誰よりも早い高速移動表現は向こうの方が遥かに面白かった。
方やエリザベス・オルセンの扱いは格別で、憂いを秘めた超能力少女の翳りはスカジョ一強のヒロインの座を脅かしそうである。
スター軍団を前にするとジェームズ・スペイダーが楽し気に演じるウルトロンも分が悪い。アイアンマンのマイナーチェンジに過ぎないロボット軍団が見開き2ページの大パノラマ画の中でフルボッコにされる壮観さはアメコミ映画の1つの到達点と言えるかもしれない。
マーベルはこの後、“キャップVSアイアンマン”という深刻な『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を経ながらもマンガ映画ならではの陽性の明るさをキープし、快進撃を続けていく事となる。
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』15・米
監督 ジョス・ウェドン
出演 ロバート・ダウニーJr.、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、マーク・ラファロ、ジェレミー・レナー、サミュエル・L・ジャクソン、アーロン・テイラー・ジョンソン、エリザベス・オルセン、ジェームズ・スペイダー、アンディ・サーキス
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