長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『僕とアールと彼女のさよなら』

2021-05-10 | 映画レビュー(ほ)

 いわゆる”難病モノ”だが、アルフォンソ・ゴメス・レホン監督による本作は風変わりでユーモラス、少しも湿っぽくならない。主人公グレッグは学校中のあらゆるグループと程よく付き合いながらその誰にも心を許さない、ちょっと斜に構えた高校生。彼は親友のアールと共に名作映画のパロディ自主映画を撮っており、そのタイトルは40本を超えていた。ある日、グレッグは母親の言いつけで近所に住む同級生レイチェルを見舞いに訪れる。彼女の病状は白血病で…。

 本作は2015年のサンダンス映画祭でグランプリと観客賞を受賞。レイチェル役オリヴィア・クックにとっては出世作となった。自身の死と向き合うレイチェルには甘っちょろさがなく、クックが最新作『サウンド・オブ・メタル』に至るまで作品選択眼にこだわりを持ち続けてきたことが伺える。その他、相変わらず息をするように素晴らしい演技を見せる名優ニック・オファーマンや、風変わりな教師役で好投の続くジョン・バーンサルなど脇を固める大人たちも好演だ。

 本気の人間関係を避け続けてきたグレッグはレイチェルによってその生き方を見直し、やがて2人の間には忘れがたい友情が芽生えていく。2人の関係をロマンスに限定にしなかった節度も素晴らしく、普遍的な友情物語となった。


『僕とアール彼女のさよなら』15・米
監督 アルフォンソ・ゴメス・レホン
出演 トーマス・マン、オリヴィア・クック、R・J・サイラー、ニック・オファーマン、コニー・ブリットン、ジョン・バーンサル
 


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