シェイクスピア喜劇風の愉快な1本だ。1809年、ポーリーヌはヌヴィル大尉から求婚を受けるも、彼はナポレオンに召集されて出征。以来便りの1つもなく、失意のポーリーヌは生きる気力を失ってしまう。見かねた姉エリザベットは大尉になりすまし手紙を書き始める。ヌヴィルは波乱万丈の冒険の後、ついに命を落とした…ところが当の本人が生還したからさぁ大変!
今や知性派映画監督のイメージも強いメラニー・ロランの楽しげなコメディ演技が見ものだ。監督に転身してからというもの『6アンダーグラウンド』など演技への思い切りが良くなった感があり、コメディには一日の長があるジャン・デュジャルダンもたじたじだ。妹ポーリーヌ役ノエミ・エルランも若手女優ならではの活きの良さでキュートな魅力を発揮。『燃ゆる女の肖像』でブレイクした今、こういう役はもうやってくれないだろう。
ランニングタイムはわずか91分でテンポもすこぶる快調。というか快調すぎていがみ合う2人が急接近した理由も良くわからないが、とやかく言うのは野暮だ。名優たちの好演と潔い結末が楽しい、フランスならではの艶笑劇である。
『英雄は嘘がお好き』18・仏
監督 ローラン・ティラール
出演 メラニー・ロラン、ジャン・デュジャルダン、ノエミ・エルラン
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