光が丘から都営大江戸線で都心に横たわる6の字をなぞってみる。
これを呑み潰すと都営線も完乗になる。と云うことで、この週末も東京夕暮れ散歩。
槌音響く国立競技場駅。TOKYO2020にむけて、工事が急ピッチで進行する。
麻布十番に途中下車したら「総本家 更科堀井」に向かう。
寛政元年(1789年)創業の老舗は、激戦区の麻布十番にあって人気の蕎麦処だ。
店が季節の酒に択んだ広島の "天寶一 華風車" は、穏やかな香りと優しい旨味の純米吟醸。
ご自慢の "玉子焼き" を肴に一杯愉しんだら、"太打ち" をズズッと啜る。
そばの実を殻ごと引いた粉で打つ "田舎風そば" が、香りとともに美味しい。
麻布十番の次は赤羽橋。
この界隈から見上げる東京タワーは美しいと思う。紅い穂先が青空を突く。
大江戸線が旧築地市場直下を通って隅田川を潜る。月島へ渡ると勝どきに停まる。
勝鬨橋の名は、日露戦争における旅順陥落祝勝記念として設置された「勝鬨の渡し」に因む。
門前仲町、清澄白河を抜けると、8両編成は両国に滑り込む。
令和で最初の大相撲夏場所は、アメリカ大統領が杯を授与するとか、しないとか。
牛込神楽坂を降りる。神楽坂通りから白銀公園方面に路地を入ると粋な立ち呑みがある。
黒塀に淡い提灯ともる小料理屋、その古民家の土間がウェイティングバー的なスペースだ。
引き戸を開けると4畳半程の広さの土間、正面は暖簾が掛かる調理場。
左右の壁面には磨き上げたカウンターが張り出している。10人も立てば満員かな。
黒い土壁にチョークで書かれた品書から "油揚げのネギ南蛮味噌焼き"、それと生ビール。
お代は先払い。肴の用意ができると、暖簾の小窓から声が掛かる。どれも300円也。
酒は奈良の "篠峯 山田錦純米"、爽やかな口あたりの無濾過生酒だ。
カウンターの小皿には "豆腐の味噌漬け" と "鯖へしこ"。これで2~3合いけそうだね。
後からの客人に席を譲ったら牛込神楽坂へ。おとなの街を堪能したら、残る駅は5つ。
8両編成は、都心におおきなループを描いて、都庁前の降車専用2番ホームに滑り込む。
麻布十番、神楽坂と粋に呑んだ大江戸線、意外にも乗車1時間20分の長旅なのだ。
東京都交通局・大江戸線 光が丘~都庁前 40.7km 完乗
センチメンタルシティー / 草刈正雄