旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

お岩木山と津軽の風と温泉と 弘南鉄道・大鰐線を完乗!

2020-02-22 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 冬晴れにステンレスの車両が煌めく。これきっと東急で走っていた車両だね。
今日は東日本で唯一吞み残している弘南鉄道・大鰐線で津軽の奥座敷をめざす。

弘前の中心街・土手町、シャッターが降りた店もちらほらあるけど趣ある旧い商店街。
大鰐温泉までガタゴト走る電車の始発・中央弘前駅はこの町にある。

年季がはいった駅舎、木造のベンチにダルマストーブ、哀愁漂う中央弘前駅。
発車は毎時30分って決まっているから、時間になると三々五々乗客が集まってくる。

良く見ると釣り輪がりんごの形になっている。葉っぱに見立てた緑のリボンがついてね。

千年駅を過ぎると電車は岩木山を背負って走る。雪を抱いた姿が神々しいのだ。

りんご畑をゴトゴトと、ステンレスの2両編成は35分をかけて大鰐に到着する。
跨線橋で繋がっているのにJRは大鰐温泉駅、弘南鉄道は大鰐駅。これいかに。

駅前広場にはスキーを抱えたピンクのワニ、大鰐温泉スキー場が近いからね。
これまたピンクの日除けの「駅前おもてなし足湯」は浸かる人もいない。

白鳥遊ぶ平川を月見橋で渡ると静かな温泉街に入っていく。
情緒たっぷりの共同浴場「若松会館」に、お昼を済ませたお婆ちゃんが集まり始める。

吞み人はと云えば、時間にたっぷりと余裕があるので、鰐comeの「鰐の湯」へ。
共同浴場のような情緒はないけれど、山を眺めながら大きな湯舟に浸かって至福。

さて、火照ったからだはキリンラガーで冷ます。つまみは "野菜炒め" にソースをかけて。
駅前の「山崎食堂」は "大鰐温泉もやしラーメン" の元祖として有名なのだ。
優しい醤油味、堅めのチャーシュー、昔ながらのラーメンに油揚げと炒めたもやし。
スープが絡む極細縮れ麺ともやしを啜って、ツルツル、シャキシャキと美味しい。

さて中央弘前行きは毎時04分発、時間に合わせてホームに戻る。
往路は気付かなかったけど、ステンレスの2両編成は "萌え" ているんだね。
雪の岩木山を眺め、湯に浸かり、旨ラーメンを啜って、冬の津軽の旅を終えるのだ。

弘南鉄道・大鰐線 中央弘前~大鰐 13.9km 完乗

帰ってこいよ / 松村和子 1980