冬晴れにステンレスの車両が煌めく。これきっと東急で走っていた車両だね。
今日は東日本で唯一吞み残している弘南鉄道・大鰐線で津軽の奥座敷をめざす。
弘前の中心街・土手町、シャッターが降りた店もちらほらあるけど趣ある旧い商店街。
大鰐温泉までガタゴト走る電車の始発・中央弘前駅はこの町にある。
年季がはいった駅舎、木造のベンチにダルマストーブ、哀愁漂う中央弘前駅。
発車は毎時30分って決まっているから、時間になると三々五々乗客が集まってくる。
良く見ると釣り輪がりんごの形になっている。葉っぱに見立てた緑のリボンがついてね。
千年駅を過ぎると電車は岩木山を背負って走る。雪を抱いた姿が神々しいのだ。
りんご畑をゴトゴトと、ステンレスの2両編成は35分をかけて大鰐に到着する。
跨線橋で繋がっているのにJRは大鰐温泉駅、弘南鉄道は大鰐駅。これいかに。
駅前広場にはスキーを抱えたピンクのワニ、大鰐温泉スキー場が近いからね。
これまたピンクの日除けの「駅前おもてなし足湯」は浸かる人もいない。
白鳥遊ぶ平川を月見橋で渡ると静かな温泉街に入っていく。
情緒たっぷりの共同浴場「若松会館」に、お昼を済ませたお婆ちゃんが集まり始める。
吞み人はと云えば、時間にたっぷりと余裕があるので、鰐comeの「鰐の湯」へ。
共同浴場のような情緒はないけれど、山を眺めながら大きな湯舟に浸かって至福。
さて、火照ったからだはキリンラガーで冷ます。つまみは "野菜炒め" にソースをかけて。
駅前の「山崎食堂」は "大鰐温泉もやしラーメン" の元祖として有名なのだ。
優しい醤油味、堅めのチャーシュー、昔ながらのラーメンに油揚げと炒めたもやし。
スープが絡む極細縮れ麺ともやしを啜って、ツルツル、シャキシャキと美味しい。
さて中央弘前行きは毎時04分発、時間に合わせてホームに戻る。
往路は気付かなかったけど、ステンレスの2両編成は "萌え" ているんだね。
雪の岩木山を眺め、湯に浸かり、旨ラーメンを啜って、冬の津軽の旅を終えるのだ。
弘南鉄道・大鰐線 中央弘前~大鰐 13.9km 完乗
帰ってこいよ / 松村和子 1980