旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

冠雪の富士と竜宮城と生・釜揚げしらす丼と 小田急江ノ島線を完乗!

2024-11-24 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

精悍なマスクの新鋭5000形が堂々の10連をくねらせて、相模大野駅の1番ホームに入ってきた。
放射冷却で冷えた朝は真っ青な空が広がっている。湘南海岸からはたぶん雪を被った富士が見れそうだ。

江ノ島線の起点は相模大野、ここで本線と分岐して、湘南の中核都市・藤沢そして片瀬江ノ島を結ぶ。
station SQUARE の吹き抜けには、すでに巨大なX'masツリーが登場して、華やいだ雰囲気だ。

相模野台地大地を貫く江ノ島線は、気持ちが良いほど直線が続く。
最後尾車両で後方を眺めていると、遥か遠くに後続列車の前照灯がチカチカと煌めいている。
その正体は 特急えのしま91号、さしもの快速急行もとうとう大和駅で捕まった。
フェルメール・ブルーの
MSE60000形は、ホーンの音色も軽やかに、先行列車を抜き去って行く。

一転追う立場になった5000形だが、大和駅を出発する頃には、すでにロマンスカーの背中は見えない。
快速を飛ばした快速急行は、やがて大きく減速するや、左に急カーブを切って東海道本線をオーバークロスする。

藤沢駅はスイッチバック構造になっていて、行手は車止めで遮られている。
したがって駅名表示板には、向かって左側に上下線の次駅が、並んで示されているのだ。

片瀬江ノ島までのラストランナーは、クリーム色にブルーをひいた8000形の6両編成。
1983年から走り始めた形式だから、ボクの世代にはしっくりくる小田急電車なのだ。

これに乗ってしまえば潮の香りまではあと15分。クリーム色の6両編成は居合わせた乗客を竜宮城へと誘う。

午前の眩しい陽を受けて江の島大橋を渡る。
濃紺の相模湾にセイルが滑り、白いクルーザーが遊ぶ。
そして童謡そのまま、雲の上に望む富士が、うっすらと雪化粧して神々しい。

賑わう参道を抜けて、鮮やかな朱の鳥居が見えてきた。宗像三女神といって三姉妹の女神様を祀る江島神社だ。
長い階段を登って先ずは辺津宮、田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)を祀る。
八角のお堂・奉安殿には妙音弁財天が安置されている。琵琶を抱えた真っ白な裸体が眩しい。

続く中津宮は朱色の社殿、市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)をお祀りする。

島のピークまで登り詰めると、青空に白い江の島シーキャンドルが映える。
この辺りには茶屋が並んでいるから、混んでくる前に今日の一杯と行きたい。

イカの塩辛をアテに生ビール。ここは “The Premium Malts”、富士を眺めながらの一杯だ。

そしてお待ちかねの “生・釜揚げしらす丼” が着丼、江ノ島まで運んだ目的がこれだ。
生姜を醤油に溶いて、丁寧に慎重に  “生しらす” の上に垂らす。喉が鳴るね。
先ずは “生” をビールのアテにいただく。微妙な苦味がいい。
ビールを終えたら、今度は生姜醤油を大胆に “釜揚げしらす” にかける。
レンゲで運ぶと、海の香りとほんのり甘みが口の中に広がる。美味しい。

満腹を抱えて最後に奥津宮、多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)を参る。
社殿の隣には新しく “龍宮” が建てらた。弁財天である天女と結ばれた龍神が災いから村々を守る伝説に依る。

お昼を迎えて片瀬江ノ島駅は、外国人旅行客や若いカップルで賑わっている。
混雑を見込んで朝活を決めた呑み人は、すでに一杯を楽しんで、江ノ島線の旅を終えるのだ。

小田急電鉄 江ノ島線 相模大野〜片瀬江ノ島 27.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ミス・ブランニュー・デイ / サザンオールスターズ 1984