旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

布多天神社と鬼太郎と天狗舞と 京王相模原線を完乗!

2024-12-22 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

大きなカーブで横浜線と相模線を跨いだ9000系が、ステンレスを茜に染めて橋本駅に進入する。
LEDはすでに折り返しの本八幡の行先表示になっている。今回は相模原線を旅している。

調布駅からは真っ直ぐ北へ延びる参道があって、正面に布多天神社の鳥居が見える。
布多天神社は少名毘古那神(スクナヒコナノカミ)を祀り、延喜式に名を連ねる古社である。
菅原道真公を配祀しているから、臥して動かない御神牛が本殿を見つめていた。

天神通り商店街の中ほどには「鬼太郎茶屋」って店があって、親子連れやカップルで賑わっている。
なんでも調布は氏が長年創作活動を続けてきた街らしい。命日には「ゲゲゲ忌」なるイベントが催される。

参道にはうっかり見過ごしてしまうほど、キャラクターたちが街並みに溶け込んで居る。
原作と比べると、ずいぶん現代風に柔和な表情になっている、っと感じるのはボクだけだろうか。

相模原線の起点調布駅は、連続立体交差事業の完成により地下化された。
駅舎がない跡地は、バスが頻繁に発着するロータリーがなければ、ここが駅であるとは思えない。

相模原線のホームは地下2階の1番ホーム、おとなり2番ホームの京王線と連絡をとっての発車となる。
地下区間ならではの軽やかなホーンを鳴らして、ちょうど堂々10両編成の区間急行が滑り降りてきた。

調布を発った区間急行は、すぐさま90度の大カーブを描いて南へ転針する。
右手に東京オーヴァルを見て多摩川鉄橋を渡ると。二度目の90度の大カーブを切って再び西へ転針するのだ。

4つ目の若葉台には電車区が併設されていて、様々な表情の電車たちを見ることができる。
電車区から現れた赤いスカートを穿いた5000系は、クロスシートに転換して座席指定列車になる新鋭だ。

若葉台辺りから多摩丘陵に差し掛かり、鉄路には急勾配とトンネルが現れる。
そもそも相模原線の歴史は、この先広がる多摩ニュータウンに急速に増えた人口の都心へのアクセス確保にある。
その中心駅は多摩センター、発車案内板の傍で、駅長の格好をしたハローキティーが「出発進行」のポーズ。

先に小田急多摩線の呑み旅でご紹介したとおり、多摩センターはハローキティにあえる街。
女の子を持つ親御さんにはご存知、サンリオピューロランドがこの街にはあるからだ。

さてこの街にはもう一つ重要なキャラクターが居る。それが縞野さん宅の「しまじろう」だ。
サンリオピューロランドに通じるハローキティストリートに折れると、聳えているのがベネッセ東京ビル。
ビル前の広場には、まるで睦まじい兄妹のようなモニュメント、まぁ虎と猫だから親和性がある。

急勾配を駆け上がってくるのは10-300形、グリーンのイチョウのマークは都営線の車両だ。
終点橋本までのラストランは4区間、ひとつ手前の多摩境から先は神奈川県になる。

さて今宵の一杯はどこで?いや実は乗車前に天神通り商店街の「布多天神社」で蕎麦前を楽しんでいる。

“天狗舞” は霊峰白山をいただく石川の酒、旨味あり酸味ありの “旨醇” 濃い味の料理に合う。
アテは海苔入りの “だし巻き玉子” に “富山の板わさ” を択ぶ。昆布巻きにした蒲鉾ですね。
濃厚な出汁の一品と、さっぱりとワサビ醤油でいただく一品とで、ゆるりと蕎麦前のひとときを単横します。

蕎麦はと云うと “新そば” の食べ比べ、白い陶器は栃木県矢板産、角の陶器は石狩沼田産、どちらも名産地。
いずれも香り高く、指で摘んで食すと確かに味わいも違うなぁ。
でもそれ以上表現する知見も語彙も十分でない呑み人、まぁ美味かったと云うことでご容赦を。

さてっ9年ぶりの京王電鉄の呑み旅を始めたこの頃です。路線の数だけお付き合いくださいね。

京王相模原線 調布~橋本 22.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
Masquerade / 安全地帯 1984