終点の引込線もないどん詰りの無人駅、錆びた線路は100mほど延びて車止めに塞がれる。
気動車の低いエンジンは虫の音と調和し、その排気は蜃気楼の様に秋の空を揺らしている。
鄙びた駅舎、つがいで飛ぶ赤とんぼ、お国ことば
車止めのある風景が好きだ。思えば遠くへ来たもんだ的なね。呑み鉄の旅のクライマックスでもある。
2024年の旅は、首都圏の私鉄の焼き直しが多かったから、
たくさんの車止めを写真に収めたけれど、この郷愁とは無縁の風景だった。
臺鐡の菁桐車站も内湾車站も賑わいのある観光地の駅だったからね。
さて来たる年は、カップ酒かウイスキーのポケット瓶を忍ばせて、文庫本片手に
未だ呑み潰していないJR四国、JR九州、地方私鉄を旅できたらなぁと思う。
どんな車止めのある風景に出会えるか、今から楽しみなのだ。
それでは皆さま、酔いお年をお迎えください。
ウイスキーが、お好きでしょ / 南佳孝