ホーム先端部にある構内踏切の警報音が響くなか、ピンク色した4両編成が勾配を下ってきた。
「キッズパークたまどうトレイン」と言うらしい。今回はこの賑やかで楽しいラッピング電車で短い旅をする。
高幡山明王院金剛寺は関東三大不動の一つに数えられ、高幡不動尊として親しまれている。
時節柄たくさんの参詣者を迎え、境内には露店が並んで賑やかだ。
京王線や多摩モノレールに乗って高幡不動を過ぎるとき、一瞬キラッと光るモノが目にはいる。
そのキラりの主、お不動様の五重塔の相輪(そうりん)が、ピンと張り詰めた青空に映えている。
お勤めが終わったら延長2キロ所要4分の短い旅に出る。動物園線がここ高幡不動駅から分岐している。
それにしても近代的な駅ビルは地元の方には誇らしいかもしれないけれど、
お不動様を訪れる参詣者には、門前の駅らしくないその姿は、ちょっと拍子抜けかもしれない。
1番ホームに停まっていたのは、7000系のラッピング電車。
ボディーはピンクのチークを塗って、動物園や京王あそびの森のキャラクターが描かれている。
小さなお子さんでなくても、ちょっとハッピーな気分になれそうだ。
車内はというと、ぞう、とら、となかい、ぺりかん、が描かれてる。なん両目に乗るかで喧嘩しないかな。
寒い季節だからかも知れないけれど、休日というのに案外車内は閑散としているね。
33‰の急勾配をS字カーブで繋いで多摩動物公園駅に到着、ここまでわずかに4分の乗車になる。
そういえば車窓右側には多摩モノレールが並走して、オレンジの電車がゆったり走っていた。
短い4両編成が閑散としている原因の一つが、多摩モノレールの開業だろうね。
多摩動物公園への乗客を控えめに言って半分は譲っているだろうし、かつて朝夕を満員にした
中央大学や明星大学の学生はごっそり持っていかれただろうし、厳しいものがありそうだ。
京王あそびの森 HUGHUG、屋外アスレチック HUGTRATOPS、京王れーるランド、
駅前には初めて目にするレジャー施設の案内板がツリーになっている。
鉄道会社が利用者確保のため、多摩動物公園と親和する子ども向け施設をオープンさせたようだ。
せっかく此処まで登ってきたから、600円のチケットを買って園内を巡ってみる。
若い親子連れに混じってだから、ちょっと照れくさいけれど、ご同輩を訪ねてみようと思ったのだ。
斜面を転がるミカンを追って、ボルネオオラウータンが来園者にサービスショットをプレゼント。
森の人のゆったりとした立ち振る舞いは、大衆酒場の隣に居合わせそうなオヤジさんにも思える。
すっかり日も暮れたから、開店時間に合わせて、ガラガラっと酒場の引き戸を開ける。
大手チェーン店がほとんどの小さな駅前で、ほとんど唯一と思われる赤ちょうちんだ。
まずは “生ビール” を、お通しに出てきたのはキャベツ、マヨネーズを添えてね。お店なりを伺えず残念。
店内では大村崑が戯けたり、松山容子が微笑んだり、この辺りの昭和レトロは楽しい。
お酒のことを聞いても、兄さん、よく分からないようなので今宵はホッピーにする。
アテは “焼きなす” と大粒の “かきフライ” を並べる。昼抜きで歩き回ったからお腹は空いている。
ナカをお代わりする頃に “とん平焼き” が焼きあがって、ちょうど良い感じの〆になった。
時計が18時を回るころには、なん組かの地元の若者が連れ立って来て、そこそこ席が埋まってきた。
4人座れるカウンターはまだ呑み人だけだけれど、そろそろお会計かな。
調理場もホールも若い子が頑張っているけれど、大人がひとり呑みするクオリティーではないなぁ。
ちょっぴり物足りなさを感じながら、新宿に戻る快速に飛び乗る、京王多摩動物線の呑み鉄旅だ。
京王多摩動物園線 高幡不動〜多摩動物公園 2.0km 完乗!
<40年前に街で流れたJ-POP>
HOLDING OUT FOR A HERO / 麻倉未稀 1984