ガラッとサッシの引戸を開けると、お姐さん一瞬だけど怪訝な顔をしたような。
宝塚ソリオの地階、決して賑やかな一角ではないから、一見さんは珍しいのだろう。
赤いちょうちんに誘われた立ち呑みは、手作りの塩麹・醤油麹を使ったアテがウリなのだそうだ。
まずは “プレモル生” をサーバーから注いで貰いつつ、
セルフシステムのアテは、冷蔵庫から “いちじく生ハムクリームチーズ” を取り出す。
案外充実している日本酒のラインナップ、当然に西日本の酒で攻めないといけない。
三輪山の麓、大神神社(おおみわじんじゃ)門前の “みむろ杉” がグラスから升に溢れる。
お姉さんの名前だろうか “あっちゃんの味噌漬” を齧りながら、コクあり酸味ありの辛口露葉風が美味しい。
木製のレンゲで “塩こうじつみれ汁” を啜る。旨いそれに温まる。
合わせる “香住鶴” は日本海に面した兵庫県香美町の酒、コクとキレを感じる辛口は山廃仕込みの生原酒だ。
“三田牛すじどて煮” を温めてもらったら七味を振る。ますます日本酒がすすむ。
日本海をさらに西に進めて境港の千代むすび酒造の酒は、境港だけに “こなき純米”、スっとキレる超辛口だ。
初めての街で飛び込んだ立ち呑み、大好きな辛口純米を西へ西へと呑み継いで、ご機嫌な宝塚の夜なのだ。
<40年前に街で流れたJ-POP>
天国にいちばん近い島 / 原田知世 1984