旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

天空の花畑 "千畳敷カール" で涼 飯田線を完乗!

2018-08-25 | 呑み鉄放浪記

 天竜川に寄り添って飯田線を北上中。幾つか秘境駅も通りながら。
全長196km、東にも西にも逃げられない。呑み潰しにはかなりハードなローカル線だ。 

起点の豊橋、路面電車も走っているんだね。豊橋鉄道はまた別の機会に。 

ワンマン運転の2両編成で、細かく刻んで、まずは豊川をめざす。 

キツネも踊る豊川駅前広場。豊川稲荷の最寄り駅だからね。 

 

 豊川稲荷って神社ではないんですね。圓福山妙嚴寺、曹洞宗の寺院です。
お祀りするのは見目麗しき霊神、吒枳尼眞天(だきにしんてん)。
この霊神が白い狐に跨って真言を唱えていることから「稲荷」と通称されたそうだ。

圧巻なのは霊狐塚。祈願成就の御礼に信者が奉納したお狐様が、大小800体ほど祀られる。 

 

 参道の「曽我の軒」はもともと鰻屋、"鰻まぶしいなり寿司" が絶品。
ふっくらやわらか絶妙に焼き上げた鰻と、軽めに味つけた油揚げとよく合うのだ。 

第2走者は天竜峡行きの2両編成。首都圏では見かけなくなった一世代前の湘南電車。 

JR東海のローカル列車はクロスシート、テーブルは無いものの窓枠は幅広だ。
よって、沿線は設楽町の "蓬莱泉・生酒" のスクリューキャップを切る。
軽やかな味わいなので、チーズとわさび風味の柿ピーを抓みながら、天竜川を眺める。 

暮れかる天竜峡駅に終着。県境の秘境駅など停車しながら、いつの間にか信州なのだ。 

乗り継ぎの岡谷行きをやり過ごして天竜峡を散策してみる。
通学の便か、この時間帯の飯田方面は30分に1本走っているからね。 

 

天龍川の清流によって侵蝕された景勝地・天竜峡、健脚なら30分ほどで散策路を巡れる。
展望台から見下ろす吊り橋、吊り橋からの芙蓉峒、龍角峯が見どころだろうか。 

第3走者は岡谷行きの3両編成。このまま乗車すると今日中に呑み潰せる。
でも折角なので沿線の中心都市・飯田に投宿、酒場で地酒を愉しむことにしよう。 

 

「いざかや縁」のカウンターで、常連さんに交じる。
"明鏡止水・垂氷" は厳寒期に醸す旨みとキレを兼ねそろえた槽しぼりの純米酒。
肴は名産の "長芋の千切り"、山葵と海苔で美味しい。
 

 

信州と云えば "馬刺し"、まっ旅先だから、ネギやらニンニクやらふんだんに絡めるのだ。
"喜久水" は南信州唯一の蔵元、飯田の地酒だ。きりりと冷えた生貯蔵酒が美味い。 

第4走者は05:45発 "快速みすず"、長野まで走る3両編成。
スカイブルーとエメラルドグリーンのラインは信州のイメージにぴったりだ。が......
このJR東日本の車両はオールロングシート、ローカル線にあって旅情より機能は寂しい。 

駒ヶ根06:44着、ここで長めの途中下車。始発バスで駒ケ岳ロープウェイをめざす。 

麓のわらび平駅から7.5分、パノラマを眺めながら2,612mの千畳敷駅まで駆けのぼる。
ちょうど霧が晴れて宝剣岳(2,931m)が、その凛々しい姿を見せてくれた。 

  
  

荒々しい岩峰の直下に、氷河によって削り出された "千畳敷カール" は、天空の花畑。
ヨツバシオガマ、コバイケイソウ、ハクサンイチゲ、ミヤマアキノリンソウ、ミヤマリンドウと。
んっと、覚えきれないけど、ひとつひとつが可憐で美しい。 

 駒ヶ根から乗車した第5走者は上諏訪行きの2両編成。これもJR東海の車両。 
辰野11:44着。ここで飯田線の旅は終わる。この分岐はどちらへ行っても中央本線だ。
列車はこのまま中央本線に乗り入れる。釜口水門まで天竜川の旅に付き合うそうだ。 

"ほたるの町" 辰野も中心街は寂しいことになっている。
冷房もない神田食堂、金足農業の吉田くんの力投、職人さんが焼酎の水割りを呷る。 
それでは遠慮なく、辰野の地酒 "夜明け前" を燗でいただく。肴は瓜の浅漬けだ。
程よいところでこの地方の名物ソースカツ丼を味わって、ボクの飯田線の旅が終わる。

飯田線 豊橋~辰野 195.7km 完乗 

 

Mr・サマータイム / サーカス 1978
 



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