昨年12月28日放送のTBS『報道番組』で、備前市日生諸島の鹿久居島に住むシカの群れが、深夜、頭島大橋を渡って頭島へ渡る様子が紹介された。毎晩、鹿久居島側の橋の近くにシカが集まる場所があり、どのように橋を渡るのか、8台のカメラでシカの姿を追ったという。
見事な角の雄シカを先頭に、10頭ほどの群れが、ひづめの音も高らかに疾走する様は圧巻で、その映像を見た住民は「まるで競馬みたい」と言った。夜中に大橋を渡って頭島へ向かう目的はミカン畑で、実や葉っぱを食べて腹を満たすと、明け方にはまた鹿久居島へ戻っていく。
現在、わずか数件のミカン栽培農家が居住しているが、シカの被害を防ぐため、毎晩、畑のみならず家屋までも金網柵で防御しているという。主婦が「夜になるとオリの中に入ります」と笑っていたが、シカが我が物顔に闊歩して、人間がオリの中に入るというのは、おかしな光景である。
鹿久居島は江戸時代にシカの狩猟地だった島で、現在200頭ほどのシカが生息しているという。日生諸島では最大の島だが、人口は7世帯14人。人より鹿が多いという、まさしく名の通り、鹿が久しく居る島である。一方、毎晩、シカが闊歩する頭島は、面積は鹿久居島より小さいが、人口は174世帯427人。民宿が10数軒あり、ミカンの栽培とカキ養殖が盛んな島である。10年前に鹿久居島と頭島の間に頭島大橋が開通したが、その橋を最大限に利用しているのは住民ではなくシカで、そのシカによって住民の生活が脅かされることになろうとは、何とも皮肉な話である。
私も頭島と鹿久居島へみかん狩りに行ったことがあるが、どちらも広いミカン山の周囲を高いフェンスで囲んであったのが不思議だった。だが、今、この話を聞けばなるほどと納得できる。高齢化で猟師が少なくなりシカを駆除できないという事態が続き、シカとの知恵比べに疲れはてミカン栽培を廃業した農家もあるという。鹿久居島の人口減少の大きな原因がシカの存在というのは笑えない話である。
1月4日のブログに、鹿久居島と本土を結ぶ新しい橋の工事を年月を追って撮った写真を載せたが、この橋が完成すると、今度は島と本土を往来するシカが増えるのではないかとの新たな心配や困惑が生じる。今でも夜間に鹿久居島から本土へシカが泳いで渡ってくるそうで、車との衝突事故はよく聞く話である。備前市の本土側は、元々鳥獣被害が多いそうだが、市役所の担当者もシカが橋を渡る事実は知らなかったという。そこで、昨年10月に全国初の「シカ・イノシシ課」を設置。これからシカやイノシシの駆除に本格的に取り組むという。
わが家の道路向かいの山にもシカがたくさんいるそうで、夜になると暗闇に光る目が不気味だという。マンションの4階部分と同じくらいの高さの平地に畑を作っている人は、シカ対策にネットを張り巡らせているが、すぐに破られてしまうと嘆いていた。また、家々の庭先の植木や花も食い荒らすそうだが、シカにも好みがあるらしく、まったく見向きもしない樹木があるという。
昔はシカも可愛がられ、「安芸の宮島」や「奈良公園」でエサのせんべいをやって興じたものである。が、昨今はお邪魔虫となって、「小鹿のバンビ」などという可愛らしい呼称もそぐわなくなってきた。シカも受難の時代に入ったといえよう。
タジタジ。頭突きはするし、バックの中まで首を突っ込んで
餌を奪われ「もう嫌い!」と叫んでいました(笑)
なんでも「程々」にしておかないとね・・。
最近はシカも嫌われ者になってかわいそうですね。
どうしてこれほど繁殖したのか。北海道のエゾシカも最近は食肉や皮細工にされているとか。
人間社会も変わりましたが、動物の社会も時代の変革とやらでしょうか、可愛いとはいえなくなりました。
奈良の春日大社、中学校の修学旅行で行って以来です。美しい社ですね。初詣、ご利益がありますね。
ジビエ料理。ハンター育成。果はシャープシュ―ティングでごっそり!
とは言え人間生活を脅かすまでのさばられては、大問題。
全国的シカの食害、何方か良いお知恵拝借といきませんかね。
平和な島に架かる立派な橋以上に切実な島民の皆さんの願いでは。
昔も鳥獣被害はこれほど多かったでしょうか。
昔は獣は山に、人は里にという自然のルールが守られていたように思うのですが、里に下りてきて悪さをするようになったのも人間の自然破壊のせいでしょうか。
県内でもイノシシやシカ料理を提供する店が増えているそうです。かわいそうな気もしますね。