昨日はショパンコンクール第2位のインゴルフ・ヴンダー氏のピアノリサイタルに行ってきました。ずっと気になりながらもぎりぎりまで迷い、結局A席ドタ参加でしたが、彼の端正で瑞々しい演奏に心動かされた人がたくさんいたからでしょう、多くの人たちが来ていました。
プログラムは以下の通りでした。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K. 333
リスト:超絶技巧練習曲集より 「夕べの調べ」
リスト:死のチャルダーシュ
休憩
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
そしてアンコール!明日リサイタルの方もいらっしゃるので、明後日以降に曲目を書きます。
磨きのかかった真珠のような音色は健在。モーツァルト、なんだか似合っていそうな気がしていましたが、よくあっていました。曲の輪郭を明確にとらえていて立体的な演奏でした。いつかモーツァルトの演奏の入ったCDを出してほしいという思いが。リスト、夕べの調べはモーツァルトと打って変わって迫力あふれたダイナミックな演奏でした。ピアノのすべての機能がフルに生かされていたような気がしました。死のチャルダーシュは、マゼッパからのプログラム変更で、初めて聴いた曲ですが、変化にとんだユニークな曲でした。弱音の細やかな動きがたくさんあり、演奏も非常に難しいと思いましたが、しっかりまとめていました。
休憩後ショパン。彼の演奏は歌心にあふれています。そしてその歌は単旋律だけではなく、内声も歌わせるべきところではしっかり歌わせていて、曲の魅力を引き出していると感じます。伴奏やオブリガードに邪魔されないように旋律を美しく浮だたせ、音と音との出し方のバランスをとろうと、隅々にまで心配っています。しかもそのような繊細な動きを瞬時ともいえるような高速で行っているのだから本当にすごいし大変だと思います。A席とはいえ、表情の見える席に座っていたのですが、一音一音、ベストの音を出すために最大限の力を振り絞ろうと闘っている表情でした。出てくる音とは違い、少なくとも端正ではなかったです。絶え間なく耳と体を瞬間瞬間で研ぎ澄ませていて、本当に、ものすごいエネルギーを出していると感じました。緊張のあまりでしょうか、ちょっと気になったところもあった(空耳かもしれません)のですが、彼の音楽への真摯な取り組みが感じられたよき演奏だったと思います。
アンコール、よかったですよ~リラックスした彼の素顔とやさしきサービス精神があふれたひとときでした。これらの曲の演奏もCDに出してほしいです。
終演後はCDを片手に長蛇の列に並びました。舞台袖から出てきた彼に大きな拍手が。CDにサインをいただいたところで、彼の音楽構成力と歌心に少しでもあやかりたいと思った次第です。
ヴンダー氏、伊熊よしこさんのブログによると、今後はベートーヴェンにじっくりと取り組むそうです。来年も来日するそうなので、チェックを入れているところです。
アンコール曲は明後日書きますのでお楽しみに(^^)