先日久しぶりにピアノ関係の記事を更新したのですが、それから間をほとんどおかずにハイドン作曲ピアノソナタHob.XVI/32の第1、第3楽章を富山に引っ越してから習っている先生のピアノ教室の発表会で弾いてきました。ピアノ教室での門下生の発表会で弾くというのは私にとっては久しぶりの体験でした。
その前日は北陸新幹線の開通。一番電車の出発からテレビの前で盛り上がっていました。天気も良く遊びに行くのにもぴったり、なかなか好天に恵まれない富山では貴重な晴れの週末、ふらふらと遊びに行きたくなる思いに今回は蓋をして某練習室に練習に行きました。なんとなく弾けていなくて気持ち悪い所をひとつひとつ観ていき弾けるようになるまで練習しました。モグラたたき、直前まで必要だったようです。おかげさまで弾けるようになった所が数か所。曲の解釈についても気になる所が出てきてはいたのですが、直前に変えるのは避けたいもの、そのままで進めることにしました。夜には楽譜を見直しイメトレを試みたのですが途中で睡魔に襲われました。
そして当日。家を出発する時間まで粘って練習しました。この調子で弾いたら結構決まるのでは、という演奏が家での最後の演奏。会場には早めに着きました。衣装を着替えて私の前の部の子供たちの演奏を聴いていたのですが驚くほど上手で衝撃を受けました。私が子供の頃に習っていたときはこんなに弾けていませんでした、みんな本当に努力家、先生の指導力の大きさを感じました。大人の方たちも数名出られたのですが、この日に向けて選んだ曲を丁寧に練習されてきたのが伝わる素敵な演奏ばかりでした。
しかし私もこの曲についてはかなり練習して行けると思えるところまで弾けるようになったはず、だから自分を信じて落ち着いて弾けば少なくとも納得できる演奏に近づけるだろう、と舞台袖で思いながら順番を待ちました。そしてついに私の番。自分の演奏を、音楽をと思いながらピアノの方向へ向かいました。急がずに、落ち着いて、急がずに、落ち着いて。
弾き始め、いい感じだわ、この調子で行こう、ただ今回は弾き直しができないし、鍵盤もいつもと違うけれど。その「弾き直しができず、鍵盤がいつもと違う」という事実に飲み込まれないように、指よしっかり動いてくれ、と思いながら。それはいいのですが、自分の体がピアノをこんなに弾いているという事実にある意味驚嘆、そして弾いているうちに次から次へと湧き出てくる音楽への想いにおぼれそうになりました。第1楽章終了。第3楽章始まり、プレスト、急速に。プレストだけど拍は大切に、ぎりぎりまで弾けなかったフレーズやオクターブでつっかからないようにと思いながら始めたのですが、今回のプレストは突撃方向へとまっしぐらに^^;指が回るものの地に足がついた感覚がなく、拍も途中から感覚が消えそうに。。素早い動きでも安定した指の動き、地に足がついた自分でコントロールしているという感覚がほしかったのですが、頭と指とが分離したような感覚、演奏者が私ではないような感覚になってしまい、音を外してしまいました。練習の時には難なく弾けていたところで。凄く好きな所でした。想いにおぼれたのだろうか、指がいうことを聞いてくれていたのは今まで脳がしっかりしてくれていたからなのだと改めて感じた次第。音は外しても流れはどうしても保ち続けなければと思い、最後まで弾き切りましたが、個人的には残念な気持ちに。想いに体がついていけていなかったという感覚で終わったひとときでした。
その後はアンサンブル、再び子供たちの演奏、そしてまたアンサンブル。多彩な演出と素晴らしい演奏を楽しみました。子供たちも緊張していたと思うのですが、難しいところは慌てずに、時にはゆっくりと弾いていました。指を鍵盤にはめて音を出そうという執念が感じられて感心しました。とにかくしっかりと音にしているところが素晴らしくて。。。アンサンブルは数名から大人数まで、歌、合奏、ハンドベルとバラエティに富んでいました。楽しそうな生徒さんたちの姿が印象的、ピアノだけではなく自ら音楽を奏でることへの達成感や楽しさが感じられそうなひとときでした。
今回の発表会で自分の想いや周りの雰囲気に飲まれないようになりたい、どんなときでもこのように表現したい演奏したいと思った方向に体が動くようになりたいと痛感。そのためには、脳と体とが分離してしまいそうな感覚になりそうになったときにそうならないように、脳と体の動きとをがっちり結び付けられ、自由に動くようにできるように。どんなときでも一体化できるように。
帰宅後、練習曲を少し弾いてみました。う~ん、がたがたしているなあ、右手。安定しやすい音型とそうでない音型とがありました、安定しにくいタイプの音型が出現した時にどのように安定させるかがポイントだなと。リズム変奏やスタッカートで慣らすとともに、手首や指の角度や高さ、動かし方も調節したほうがよさそうだと感じながら。音楽の流れと、鍵盤をなんとしてもつかんで音を出すということとを、しっかり両立させることができることが今後の課題だと痛感。
本番での演奏音源改めて聴いてみました。反応のよいピアノのおかげで感情は出ていたような気がするのですが、ガタが来たのがやっぱり残念。。。
うまくいったと思える本番、私の場合は全てゆっくり目に弾いた時でした。参考になる方はほとんどいないかもしれませんが、私はどちらかといえばこれからの本番ではゆっくり目に弾こうと思えた次第。せっかちになりやすい場では、それで丁度良いのかもしれません。
ハイドンのHob.XVI/32、まだ弾いていない第2楽章を含め弾き続けようと思っています。様式感もとらえながらきちんと取り組みたいです。レパートリーも増やしたいので、他の曲とも両立させながら。