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髙橋望氏 ゴルドベルク変奏曲

2021-01-18 | ピアノ、音楽

 髙橋望氏によるゴルドベルク変奏曲の演奏会に行ってきた。私はバッハの曲が大好きなのだが、このゴルドベルク変奏曲に対しては敷居の高さを感じていた。なにしろこの曲は長い。しかも変奏曲なので集中が途切れた瞬間何番目の変奏か分からなくなり曲そのものも味わえなくなりそうな気がする。つまり、極度の集中を長時間強いる曲のような気がしていたのだった。この曲は不眠症に悩んでいた伯爵が気分よく夜を過ごせるようにしたいとバッハに依頼して作られたという。確かにこの曲、入眠にはよさそうだけど、ちゃんと味わうには気合がかなりいりそうに思えていた。

 ところが先日髙橋氏の平均律第1巻のCDをお聴きしてなにかが変わった。この方によるバッハの演奏なら難解そうなあの曲でも聴きとおせるかもしれないと。しかもライフワークにされているとなればお聴きしないわけにはいかないと思い足を運んだ。(CDが出ていることも知っていたのだが、まずは生演奏を聴いてからにしたいと思った)

 最初のアリア、透明感あふれる演奏にたちまち別世界へ。その後は万華鏡のように個性的で盛りだくさんの変奏曲が繰り広げられた。その変奏曲を聴く際にもっとも役に立ったのがプログラム内の「各変奏の極秘的考察」のページだった。第1変奏:出発、第2変奏:穏やかで律動的、第3変奏:同度のカノン、左手は通奏低音(以下省略)と、髙橋氏による各変奏を特徴づけている性格が表となっており、曲が進むたびにそのページを見ながら各曲の表情を味わうことが出来た。カノンの変奏は規則的に登場し、曲が進むにつれて度数も増えているところもびっくり。3つあるト短調の変奏曲、どの曲も嘆きが伝わってきて聴き入ったのだが、それぞれの違いも感じられた。後日ゆっくり、カノンの部分、ト短調の部分など気になるところだけを取り出して聴き比べてみるのもありかなと思った。舞曲もメヌエット、パスピエ、ポロネーズと盛りだくさん、そして手を交差する曲も盛りだくさん。プログラムの解説によるとバッハはこの曲を2段鍵盤を有する楽器のために作曲したとのこと、しかし1段しかないピアノの鍵盤では本当に原曲のままでは演奏できない部分もあるため手の交差をうまく行ったりなど職人芸的な技術が必要になるとのこと。そんな弾くのが大変なところも瑞々しく流れるように演奏されていた。こんなにゴルドベルク変奏曲って楽しい音楽だったとは!プログラムに百科事典的音楽と記載されていたが本当にそうだと思った。華やかなクオドリベッㇳの後は再びアリアへ。すっかり心は浄化された。

 アンコールはパルティータ第4番のサラバンド。これがまた大好きな曲、しかも美しき演奏でたまらなかった。心優しく幸せな余韻。。。

 ゴルドベルク変奏曲、これからは謎を解明したい思いに。継続的に聴き味わい続けたいと思った。


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