ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

そして誰もいなくなった

2016-12-08 20:42:08 | テレビ番組

NHKのプレミアム放送でアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を放映しているので見る(今週の日曜日が最終回のよう)。

クリスティーは、小学校高学年から中学時代によく読んでいたし、今でもファン。だから、この番組も楽しみに見た訳。

シャーロックホームズものもそうだったけれど、英国のTVは素晴らしく映像が美しい。整然とした静けさやどこか冷たさの感じられる、孤島の別荘内の雰囲気がゾクゾクするほど染み出てきて、まるでひんやりとした手で頬を撫でられるようなスリルが。

内容は、あまりにも有名で今さら紹介するのも野暮だから、できるだけ端折って言うことにする。つまり、十人の男女に「オーエン」と名乗る人物から招待状が送られ、互いに見ず知らずの彼らは、孤島に集まることになる。だが、夕食の席上、隠されたレコードから流れてきた言葉は、場を凍らせるに足るものだった。
つまり、集められてきた人々は、過去に殺人の罪を犯しながら、法に問われることなく何食わぬ顔で生きてきた者という共通点があるのだった。

殺人の内容を読み上げられ、慌てふためく人々―そして、なんと彼ら自身、オーエンなる人物にあったことはないのだった。「UN NONE」―-どこにもいない者、つまりオーエンという名前の謎がわかった後、彼らは一人、また一人と何ものかの手で殺されてゆく。
人が一人殺されるたびに、食堂のテーブルの上に置かれた翡翠のインディアン人形も一つずつ消えていく―――この薄気味悪いストーリーと真綿で首を絞められるような恐怖。
ミステリーの名作は、数あれど、この「誰もいなくなった」ほど卓越したものはそうないに違いない。

私も、クリスティーの原作は、何度も読んでいて、内容も文章のディテールもくっきり頭に残っているのだが、ヒロインというべきヴェラ・クレイソーンの面影がひときわ印象に残っている。 家庭教師先で教えていた少年を、その叔父にあたる青年への愛のために、「殺した」彼女。泳げない少年シリルを、そっと言葉巧みに沖へ向かうよう促し、「絶対、助からないように」ゆっくり泳いで救いに向かったのだから。
ヴェラの心情や回想のシーンの描写が、鮮やかだった。

    
しかし、このTV版では、何といっても元傭兵にして、悪漢のロンバートが出色。演じている俳優が素晴らしくハンサムなのもうれしいいし、彼がいるために、このひんやりとして動きに乏しい世界が生き生きと躍動して見えるのだ。(このロンバート役の俳優は、ぜひチェックしてみねば!)

最終回のどんでん返しが楽しみ――オーエンとは一体誰だったのか?

P.S
「ミステリの女王」としてあまりにも有名で、「聖書の次に売れたベストセラー作家」との異名も持つ不動の地位にあるクリスティー。長年、愛読してきた私は彼女の伝記やその謎の失踪事件をあつかった本も持っているほどなのだが、意外にも「クリスティーは、好きじゃない」という人も多いらしい。
昔、ミステリー好きの人たちと話した時も、「クリスティー? たくさん本があるけど皆同じようじゃない」とか「人物が類型的だし、作品で描かれる世界も決まりきまっているでしょ」の言葉が聞かれたもの。
うむ。確かに言えてる。
しかし、それでもクリスティーの作品に描かれた、郷愁を誘う古き良き英国の世界を愛してやまないのです。

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作品展

2016-12-08 18:22:33 | カリグラフィー+写本装飾
神戸で、カリグラフィーの作品展があり、私も受講生なので、作品を出展。
会場は、異人館通りへ向かう、坂道の一角にあるギャラリーで、抜群のロケーション! ああ、この坂へ来たのも、何年ぶりか……お洒落な建物やレストランがあちこちあり、すっかり気分が上がること間違いなし。
私が、いつも食事をする「にしむら珈琲店」も、ここはツタの絡んだ煉瓦の洋館で、とっても雰囲気があるのであります。

「GALLRY 北野坂」というところで、作品展はあるのだけれど、当番のため、会場に入ったとたん、「わあ」と思ってしまいました。皆さんの作品が、レベル高い!
う~ん、凄いなア…。 教室を主宰している清水裕子先生の、レターカッティング作品は、西洋では、墓石の墓碑銘を彫るのに使われるなど、技術と伝承がずっと伝えられていたものですが、彫られた文字のすばらしさもさることながら、薔薇色がかった大理石や黒い石など、使われる素材の石の美しさもほれぼれしてしまうほど。

私の写本装飾作品は…もう少し上達したいですね。 世界的カリグラファーであるヘルマン・ツアップの作品集が閲覧できるコーナーも、特別に設けられていて、端麗な字を味わうこともできるのです。
出展作品の説明にも、使われる紙が、「木炭紙」、「ファブリアーノ・ローマ」「出雲わら画仙紙」と説明書きがされ、紙の質感をとくと見るのも勉強に。

当番が終わった2時半ごろ、一緒に来た母が一足先に向かった神戸大丸に行き、無事合流。ああ、月に一回こちらに来ているといっても、目的地までをまっすぐ往復するだけなので、このデパートを歩くのも、何年ぶりか。 いろんなデパートがありますが、神戸大丸は、「旧居留地38番地」とか、往来に面した野外カフェなどがあり、もっとも好きな所です。

母も、「やっぱり都会はいいわねえ」とうれしそう。もっとのんびりしたかったのだけど、ノエルが心配で、夕飯のお弁当や父用の野菜を買って、早めの帰宅とあいなったのであります。
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ノエルのコーナー

2016-12-08 18:07:33 | アート・文化
離れの本棚の一角には、「犬文庫」の外に、「ノエルのコーナー」もあります。
      
    こんな感じ。
頂いた、ノエルのフォトブックに、ゴールデンレトリバー尽くしのメモ帳とそのケース(一番、手前のやつ)、犬の肉球で留められるようになっている写真フレーム立てには、前のノエルの写真が…。
箱に入った子犬の写真は、ノエルの小さかった頃のもの。
本の表紙の原画も、小さな額に入っています。  思いっきり、自己満足の演出ですが、結構楽しいのであります。


おまけとして、クリスマス用に以前買った、ゴールデンの子犬のナプキンも。        
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庭の山茶花

2016-12-08 18:00:14 | ガーデニング

家の前の日本庭の風景も、すっかり冬のよそおい。 なんだか、森閑としてるなあ。
         

しかし、山茶花の花が、今咲いてます。 

良き風情かな。 椿の花とは違う、品の良さがあります。 お手洗いのところにも、飾りませう。
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