ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

やかまし村の春・夏・秋・冬

2016-12-24 22:41:13 | 本のレビュー

やかまし村の春・夏・秋・冬」 アストリッド・リンドグレーン作。 岩波少年文庫

「長くつ下のピッピ」で知られるリンドグレーンの本当の代表作だといわれている「やかまし村シリーズ」。といっても、実のところ、このシリーズを読んだことはおろか、名前さえも知らなかった私。
三部作からなる、同シリーズを読んだのも、ここ数か月のことなのだけど、とってもハートフルで面白い本なのだ。

スウエーデンの農村地帯を舞台に、山深い(と思われる)村に住む、たった6人の子供たち。うち、主人公の女の子リーサと二人の兄弟の外、あと三人の子供たちも隣り合った家々に住んでいるというのだから、信じられないほど牧歌的で、理想的な小世界。
こんなに小さな世界で、子供たちがそれぞれ仲が良く、豊かな遊びを繰り広げるなんて、ほとんど神話の領域としか思えないほど。ギリシアのダフニスとクロエの物語をさらに、幼年時代にさかのぼらせたものと思ってしまうほど、リーサたちの世界は楽し気で、現実に存在するとは思えないほど。
それでも、やっぱり何十年も前のスウェーデンの田舎の子供たちの姿も浮かび上がってくるのだから、読者の子供たちの心をとらえて離さないのも、当たり前。

リーサたちも、もちろんケンカもします。しかし、決して傷つけあうことはしないし、現実の苛酷な世界からは隔絶されたユートピアに遊んでいるような幸福感が、物語全編を漂っているのです。 ああ、私も、やかまし村の子供になりたいなあ。 勉強しないですむし、色々面白い遊びを考えて、暮らすのは楽しそう!


P.S このシリーズが出ている岩波書店が、夏の読書フェアとして本の片隅に用意していた応募券。ふと買った本の裏表紙にあるのを、これまたふと見つけて応募してみたところ、ブックカバーが当たりました。 
地図のイラストが描かれたブックカバー…なんでも、「岩波少年文庫サイズ」なのだそう。ふうん。ブックカバーなんて使ったことないのだけれど、キャンバス地に書かれた地図っていいね。 これから、使わせていただきませう。

生まれて初めてのローストチキン

2016-12-24 22:11:28 | ある日の日記
ひょんなことから、母の友人Iさんの紹介で、パンを教えていらっしゃるKさんのお宅で、クリスマスのごちそうを作ることに!
「クリスマスのごちそう」とは――そう、あのローストチキンであります。 七面鳥を使うのが、外国での本式というのだけれど、そこはそれ、日本。
鶏一羽をまるまる使うのですが、これがスゴ~イ迫力。
    
こんな風に、特別にお肉屋さんで買ってきた鶏(内臓を抜く処理をしてあります)の体に、もち米、ぎんなん、人参、セロリ、玉ねぎなどを入れていくの。
最初は、首のない鶏の体を見て、いかにも「もと生きていた生物」という感じが生々しくして、かわいそうな感じさえしたもの。けれど、作業してゆくうちに「命を全うしていく、命を頂くとはこういうこと」と料理する意味がわかりました。
    中身のフィリングをつめたチキンの上から、タラ~リとオリーブオイルをかけてゆきま~す。 私たち母娘の外、Kさん、Iさんそれぞれが、自分の鶏を料理して、オ~ブンに入れていくのですが、これがなかなかの一仕事。
鳥を一羽、丸々焼くというのは、かなり時間がかかるのであります。 で、待ち時間に、Kさんがクリスマスのためにいくつも焼いていたシュトーレンの最後、という「貴重」なお菓子と紅茶でティータイム
 このあと、丁寧に入れて下さった珈琲とフライパンで焼いた焼きリンゴ(砂糖とバターがとっても、香ばしいのだ)の美味しいもてなしも続き、器もよく見るとコペンハーゲンとかジノリの高級さ……上等な食器と美味しいお茶(プラス菓子)というのは、とても幸せな時間を運んできてくれるものなのでした。

 そして、無事焼きあがった「ローストチキン」! 外国の映画とかではよく見たけれど、こんな「大物」を自分で料理する日が来るなんて想像もしてませんでした。ああ、いい日だなあ~。
     
 夜、自宅に持ち帰ったロスとチキンをキッチンのテーブルの上に盛ったところ。白熱灯の下では、変に赤みがかっていて綺麗に写真にとれなかったのですが…。
そして、この料理の素晴らしい所は、Kさん宅から車で持ち帰る時にも、車の中いっぱいに「とんでもなく、おいしそう」な香ばしい匂いが漂っていたこと。この香りは、キッチンの中にもずーっと漂っていて、クリスマス気分をいやが上にも高めてくれました。

2016年12月24日――生まれて、初めてローストチキンを焼いた日。これ、日記につけておこう。