草加市立病院2022年度決算の概要を二部にまとめました。1回目は全体の収支状況と診療科の状況についてです。
■純利益11億円の黒字決算
草加市立病院の財政状況は、国・県から多額のコロナ対応補助金などが支給されたことで、本業の医業収支が改善しないもとでの黒字決算が続いています。2022年度も、医業収益111億円に対する医業費用は125億円で、医業収支は13億円超の赤字(前年とほぼ変わらず)です。しかし、それを上回る新型コロナ関連補助金(※)約19億円などが支給された結果、最終決算は約11億円もの純利益(黒字)となりました。
※埼玉県新型コロナウイルス感染症医療提供体制支援事業費補助金
- 事業収益145億6024万円(前年度比+0.8%)
- 事業費用134億2668万円(前年度比+5.1%)
【表1】草加市立病院のコロナ補助金と純損益の推移
※金額は単位未満切捨て。コロナ補助金は埼玉県新型コロナウイルス感染症医療提供体制支援事業費補助金。2020年度に交付された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は除く。
■保有資金も31億円に改善
2022年度末における市立病院の資金残高も、年度当初より6億円以上積み上がり31億円に達しています。
新型コロナが拡大する以前、草加市立病院が保有する資金残高は一年間でおおむね約3から6億円程度減少していました。赤字が続くなかで2019年度末には資金残高が1億円を割る水準まで減ってしまいました。草加市立病院として確保しておきたい現金規模は、一か月の支払い額の2倍である約20億円が必要な水準としており、自転車操業も限界にありました。
■1日入院平均診療収益は増加
2022年度の入院延べ患者数は8万9541人で、前年度より5746人減少しました。
一方、患者1人当たりの1日入院平均診療収益は、7万4692円で、前年度より6136円増加しました。市立病院によると、化学療法に係る薬剤の使用量が増加したことや、2022年度は院内感染防止のためすべての入院患者さんに入院前の新型コロナ検査を実施したことなどが増加の理由としています。
【参考】入院・外来で増減が大きかった診療科
入院
- 皮膚科:常勤医が増えたことで前年度比86.0%増の811人。
- 血液内科:近隣病院休止の影響等により前年度比43.1%増の3808人。
- 脳神経外科:前年度比31.7%減の3217人。近隣病院でコロナ感染の救急患者の受け入れ制限が緩和されたことや受け入れ態勢の整備が進んだことから、これまで市立病院で引き受けていた患者が減少したこと。コロナ禍で病床確保が困難だった際に、一時的に受入れを草加市民に限定せざるを得なかったことなどが要因。
外来(いずれもコロナ感染の患者数増加などが影響)
- 内科:前年度比29.3%増の8753人。
- 小児科:前年度比19.4%増の1万6863人。
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