殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

DSコンパクト

2009年09月07日 19時05分52秒 | みりこんぐらし
先日、久しぶりに数人の友人と集まった。

男女混合、気の置けない仲間たちである。


家族ぐるみで温泉旅行の計画があるが、日取りがなかなか決まらない。

女性特有の都合があるからだ。

「月初めは…」

「中旬は…」

と“現役”の女たちはグズグズ言う。

「あ~!めんどくさい!女は気の毒ねぇ!」

去年子宮を取ったヤスコと、アガッた私は勝ち誇ったように言う。


「え~?それじゃおまえら、もう無いんか!」

男性陣は心底驚いた様子で口々に言う。

男はたいてい年下の奥さんをもらうので

まだ別世界の話なのだ。


   「そうじゃ。避妊の必要もないが、使い物にもなりゃせんで!」

「うへ~!ショック!みんなもうそんな年か~!」 

みんなじゃない、この子たちだけだ…と現役の女たちは反論する。

フン…開き直るヤスコと私。

無くなっていかに気楽かを力説する。


「あ、みりこん、ほっぺにソースがついてるよ」

隣りに座っていたカズヤが、おしぼりで拭いてくれる。

カズヤはいつも優しい。


彼は晩婚だったので、子供がまだ小さい。

慣れた手つきで拭いてくれるが

育ち盛りの子供と私を一緒にしてもらっては困る。

すっぴんの小学生と、色々塗りたくった私の土台は異なる。


「わはは!化粧が取れた!」

と、一部ベージュに変色したおしぼりを見て笑うカズヤ。

    「おのれ…よくも仮面をはいだな!」


話題は、孫が生まれておじいちゃんになったメンバーのことから

老眼鏡を買うのはどの店がいいかに移っていた。

    「孫も老眼鏡もあきらめるけど、ボケるのは嫌よね~!」    

などと笑いながら、おもむろにバッグからコンパクトを取り出す。

    「せっかく塗った仮面を…」

ダメージ確認のため、パカッと開けてのぞき込む私…。
 

「おまえ、何…それ…」

「DSじゃん!」

     「…うぅ…そうとも言う…」

「ギャハハハ!」


仕方なく、パタパタと粉をはたく真似をする。

どうも間違えたらしい。

出かける前に、ひそかな趣味…桃太郎電鉄をやっていた。

今使っているファンデーションの入れ物とDSは、白くてよく似ている。

重さは全然違うのに、まったく気がつかなかった。


「頭、大丈夫か…?」

といたわられる。

メイク直しをあきらめ、笑われるに任せる私であった。
コメント (10)
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