曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

頼むからナウシカのコミック版を読んでくれ

2013-09-06 23:57:30 | 
宮崎駿が引退しました。でも、あんまり寂しさとかがないんですよね。

僕はラピュタからハウルまで全部劇場で見ましたが、ポニョは行きませんでした。「風立ちぬ」も行く予定がありません。僕が一番好きなのは「カリオストロの城」で、2番目が「紅の豚」、3番目は「ラピュタ」かな。

古いのばっかりですね…。トトロ以降の文部科学省特選国民的アニメ作家になってからの作品は、イマイチ好きじゃないかも。ワクワクするような冒険活劇が好きなんですけど、新しいのはそういうのないじゃん。

映画はまあ、そんな感じですが、忘れてはいけないのが漫画家としての宮崎駿。そちらのほうが僕は好きかもしれない。特にナウシカのコミック版。映画のナウシカしか知らない人には是非読んでもらいたい。読めばコミックのほうが絶対にいいと思うはず。

コミックは全部で7巻ですが、映画は2巻の途中までの話です。映画は王道楽土を建設するという取ってつけたような理由でクシャナとトルメキア軍が攻めてきて、そのせいで王蟲が怒って環境が破壊されそうになるのをナウシカが止めるという話でした。

コミックはまるで別の話です。トルメキア王国とドルク諸侯国連合という2大国の戦争がメインです。戦争に参加したりしなかったりしながら腐海の秘密を探るナウシカと、戦場を駆けめぐり、父王や兄達と権力を争いつつ国を立て直そうとするクシャナの物語です。

特に違うのはクシャナのキャラクター。映画では高慢で手足が機械化されている不愉快な女でしたが、コミックでは兵士たちに圧倒的に支持されている名将。手足は生身です。母親思いの優しい娘でもあり、ナウシカのよき理解者でもある。もう別人です。というか、人間より蟲のほうに気が行ってしまうナウシカより、クシャナの方が好感が持てます。版によって違うようですが、オリジナル3巻の表紙は宮崎駿描き下ろしのクシャナでした。ナウシカ以外で表紙を飾ったのはクシャナだけです。作者公認のもう一人の主人公と言っていいでしょう。



ネタバレするのでこれ以上は書きませんが、とにかく未読の人は読んでください。もっと早く読んでおくべきだったと後悔するでしょう。

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モデルグラフィックス誌に連載したイラストエッセイをまとめた「雑想ノート」も一生ものの愛蔵本です。宮崎駿が愛するヘンテコ兵器(実在・空想が混在)のウンチクと、それらメカを操る人(あるいは豚や犬)の面白エピソード集です。だったんですが、だんだんストーリー漫画になってきて、今日やってた「紅の豚」の原案になった「飛空艇時代」を生みました(雑想ノートには未収録)。中でも僕は「特設空母・安松丸物語」が好きで、映画化してくれないかなあと前から思ってます。



貨物船を改造した特設空母に型落ちの艦上攻撃機を積んでアフリカ沖まで行き、イギリスの輸送船を襲撃してドイツ・アフリカ軍団のロンメルに恩を売ろうという作戦。ポンコツ空母にポンコツ攻撃機で危なっかしいんですが、なんだかその出鱈目さが功を奏して意外な展開に…。一コマですが「後日談」もついてて、次の展開を期待させるところが、まだ話を伸ばせそうで続編もアリかなと思うんですが、どうですかね。

文科省特選の映画はもうそんなに見たくないから、新しい長編アニメが見れないのは別にいい。でも趣味丸出しの漫画はまだ描いてくれそう。だから引退が決まってもあまり寂しさを感じなかったのかもしれません。

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