第3章「糖がもたらす毒を空腹というクスリでとり除く」の「❸糖尿病を引き起こす原因は、食べ方しだいで解消できる」を要約します。
① 糖尿病はもはや日本人の国民病
糖質過多の最も大きな問題は、「糖尿病になるリスクが高まる」点にある。近年、糖尿病患者の数が増え続けている。厚生労働省が実施した「2016年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病患者の推計は1000万人。さらに、糖尿病予備軍も1000万人と推計されている。糖尿病患者+予備軍=総計2000万人に。日本人の6人に1人に当たる。糖尿病はもはや、日本人の国民病といってもいいかもしれない。
② 糖質の摂り過ぎや運動不足が招く2型糖尿病
【1型糖尿病】通常、血糖値は、膵臓から分泌されるインシュリンによってコントロールされ、血糖値が高くなると膵臓からインシュリンが分泌されている。血液中の糖質の余った分はインシュリンの働きによって、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして、そして脂肪細胞に中性脂肪として貯蔵される。これによって血糖値が下がる。ところが、何らかの原因(原因不明)でベータ細胞が破壊され、インシュリンが分泌されなくなる。これが、1型糖尿病である。
【2型糖尿病】食べ過ぎや運動不足によって血糖値が高い状態が続くと、全身の細胞がインシュリンを受け付けなくなることがある。すると、なかなか血糖値が下がらなくなるため、膵臓はさらにインシュリンを分泌して頑張り過ぎてしまい、遂に疲れ果てて、インシュリンを分泌できな状態になる。近年では、食生活の変化などにより、10~20代でも2型糖尿病が増えている。
③ 糖尿病が引き起こす、様々な合併症
インシュリンの分泌が減ったりインシュリンの働きが悪くなったりすると、血糖値が高い状態が続くため、血管が障害をを受けて、出血したり狭くなったりして多臓器に障害が生じるようになる。 例えば、網膜の毛細血管が出血すれば、網膜症を発症し、失明のリスクが高まる。また、腎臓の血管が障害を受けると、血管のろ過装置が低下し、老廃物の排出がうまくできなくなり、「糖尿病性腎症」を発症する。他にも、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった血管障害や認知症、がんなどの発症リスクを高める。