東京新聞
2013年8月29日 朝刊
東日本大震災の犠牲者を追悼する国立施設の建設候補地に福島県が含まれていないことが、本紙の調べで分かった。被災三県のうち岩手、宮城では調査事業が進む一方、東京電力福島第一原発事故が起きた福島県は高濃度汚染水漏れなど事故収束が進んでおらず、震災犠牲者を慰霊する取り組みにも影響が出ている。 (中根政人)
復興庁と国土交通省は、犠牲者を慰霊する式典の会場として利用できる広場や記念碑などの建設を計画。岩手、宮城両県の要望に基づき、二〇一三年度予算で各県に整備するための調査費約五千万円を計上した。
岩手県では、震災の津波に耐えた「奇跡の一本松」が保存された陸前高田市の景勝地・高田松原の一帯を防災公園とする整備計画を県が主体となって進めており、その中に国が追悼施設を併設する方針。宮城県でも石巻市沿岸部に県などが計画中の震災祈念公園内に整備を予定している。
一方、福島県は国の一三年度事業の対象から外れた。その理由について、復興庁などは「原発事故の避難者への対応が最優先」と説明する。ただ、岩手、宮城両県も「被災者の生活再建に全力を注ぐ段階」として、必ずしも早期整備を求めていない。福島県が対象から外れたのは政府も原発事故の対応を見通せないためとみられる。
事業は一四年度以降も続くが、福島県にも計画を広げるかどうかについて、復興庁は「県側から整備を求める具体的要望は今のところ来ていない」と方針を明らかにしていない。
警察庁によると、震災の死者・行方不明者数(今月九日現在)は一万八千五百三十九人。このうち岩手県が五千八百十八人、宮城県が一万八百三十六人、福島県が千八百十四人で、三県で全体の99・6%を占める。
2013年8月29日 朝刊
東日本大震災の犠牲者を追悼する国立施設の建設候補地に福島県が含まれていないことが、本紙の調べで分かった。被災三県のうち岩手、宮城では調査事業が進む一方、東京電力福島第一原発事故が起きた福島県は高濃度汚染水漏れなど事故収束が進んでおらず、震災犠牲者を慰霊する取り組みにも影響が出ている。 (中根政人)
復興庁と国土交通省は、犠牲者を慰霊する式典の会場として利用できる広場や記念碑などの建設を計画。岩手、宮城両県の要望に基づき、二〇一三年度予算で各県に整備するための調査費約五千万円を計上した。
岩手県では、震災の津波に耐えた「奇跡の一本松」が保存された陸前高田市の景勝地・高田松原の一帯を防災公園とする整備計画を県が主体となって進めており、その中に国が追悼施設を併設する方針。宮城県でも石巻市沿岸部に県などが計画中の震災祈念公園内に整備を予定している。
一方、福島県は国の一三年度事業の対象から外れた。その理由について、復興庁などは「原発事故の避難者への対応が最優先」と説明する。ただ、岩手、宮城両県も「被災者の生活再建に全力を注ぐ段階」として、必ずしも早期整備を求めていない。福島県が対象から外れたのは政府も原発事故の対応を見通せないためとみられる。
事業は一四年度以降も続くが、福島県にも計画を広げるかどうかについて、復興庁は「県側から整備を求める具体的要望は今のところ来ていない」と方針を明らかにしていない。
警察庁によると、震災の死者・行方不明者数(今月九日現在)は一万八千五百三十九人。このうち岩手県が五千八百十八人、宮城県が一万八百三十六人、福島県が千八百十四人で、三県で全体の99・6%を占める。