インフラ長寿命化基本計画は平成25年11月に決定していますが、平成28年度が「行動計画」の策定期限になっています。
そこで、今日は、平成28年度において1市2村がクリアしなければならないハードルについて書きます。
まずは、下の画像をご覧下さい。
これは、中城村と北中城村の2村が平成26年3月に改正したごみ処理計画に基づいて作成した資料です。
この段階では、2村は他の市町村との広域処理は検討課題から除外していました。しかし、国のインフラ長寿命化基本計画は決定していたので、平成28年度までに「行動計画」を策定することも決定していました。
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このブログの管理者は、2村の村長は溶融炉を廃止するつもりでごみ処理計画を改正したと考えていますが、結果的に溶融炉は休止している状態になっています。
なぜ、そのような状態になっているのか?
それは、2村の職員が溶融炉を廃止するための財産処分の承認手続を保留(先送り)しているからです。その本当の理由は分かりませんが、2村がそのような状態になっているのは、2村の職員が民間の発想で事務処理を行っているからだと、このブログの管理者は考えています。
いずれにしても、溶融炉を休止していることによって、2村は法制度上、地方財政法第8条の規定に違反して事務処理を行っていることになります。このために、本来であれば2村のハードルは4つだったことになりますが、1つ増えて5つになってしまっています。
ただし、このハードルは、2村があくまでも広域処理を検討課題から除外していることを前提にしたハードルになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
平成28年3月に、2村の村長はそれまでの施政方針を変更して、浦添市との広域処理を推進することを決定しています。この画像は、その前提で作成した資料です。
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2村の村長や職員がどこまで理解しているかは分かりませんが、2村の村長が浦添市との広域処理の推進を決定したことで、平成28年度からはハードルが2つ増えていることになります。
廃棄物処理法第6条第3項の規定は、2村が広域処理を推進しない場合は適用されません。そして、地方財政法第2条第1項の規定も適用されません。しかし、2村が広域処理を推進する場合は適用されます。
したがって、2村がこの7つのハードルをクリアしないと、浦添市も今年度中に広域処理を前提とした「行動計画」を策定することができなくなってしまいます。
次に、下の画像をご覧下さい。
2村は平成26年度から民間の発想で事務処理を行ってきています。その証拠に地方財政法第8条の規定を無視して溶融炉を休止しています。しかも、溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行っているので、廃棄物処理法の基本方針や廃棄物処理施設整備計画、そして沖縄県の廃棄物処理計画も無視して事務処理を行っています。
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浦添市の職員が2村の職員の発想をどこまで理解しているかは分かりませんが、沖縄県民や日本国民から見た場合は、少なくとも2村の職員が公共の発想で事務処理を行わなければ1市2村が広域処理を推進することはできないことくらいはすぐに分かります。
なぜなら、地方公共団体が法令に違反して事務処理を行っている場合は、地方自治法の規定(第2条第17項)により、その行為が無効になるからです。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、平成28年度においても2村の職員が民間の発想で事務処理を行った場合を想定して作成した資料です。
2村の職員が平成28年度も平成27年度までの発想で事務処理を行った場合は、7つ目のハードルになるインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定も無視する可能性がありますが、このブログの管理者は浦添市の職員が無視することはないと考えています。
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現実にこのような状況になった場合は、浦添市は2村との広域処理を前提とした「行動計画」を策定することはできなくなります。
それでも、浦添市は2村との広域処理を白紙撤回せずに「行動計画」を策定することはできるのか?
浦添市も2村と同じように民間の発想で事務処理を行っている場合はできます。しかし、公共の発想で事務処理を行っている浦添市の職員が2村の職員のために平成28年度から民間の発想で事務処理を行うことはあり得ないことだと考えます。なぜなら、浦添市の職員や住民には、そこまでするメリットがないからです。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村ではなく、浦添市がクリアしなければならない平成28年度のハードルを整理した資料です。
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浦添市の場合は、単独更新を前提にすれば平成28年度におけるハードルはないことになります。しかし、2村との広域処理を推進することを前提に事務処理を行っているので、インフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」は広域処理を前提とした計画を策定しなければならないことになります。
ただし、市町村が「行動計画」を策定するためには少なくとも3ヶ月は必要になります。そして、その前に、中長期的なコストの見通しを立てておかなければなりません。したがって、2村は12月までに中長期的なコストの見通しを立てなければならないことになります。
しかし、2村はこれまで民間の発想で事務処理を行ってきているので、中長期的なコストの見通しを立てるためには6ヶ月以上はかかると考えています。なぜなら、2村は平成26年度から溶融炉を休止したまま何の措置も講じずに国の施策や県の計画を無視して焼却灰の民間委託処分を行っているからです。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村が7つのハードルをクリアして、平成28年度に1市2村が適正な「行動計画」を策定することを想定して作成した資料です。
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2村が既存施設の運用に関する法令違反を是正して、国の施策や県の計画に適合する施策を行うことは当たり前のことですが、他の市町村(浦添市)との広域処理を推進する場合は、浦添市のごみ処理計画との調和を確保しなければなりません。また、浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことはできないことになります。
そして、今年度中に適正な「行動計画」を策定するためには、6月までに既存施設に対する施策を決定して、12月までに中長期的なコストの見通しを立てなければならないことになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村が平成28年度においてクリアしなければならない7つのハードルについて、1つずつ具体的な施策を整理した資料です。
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2村にとって、1番目から5番目までのハードルをクリアすることは難しいことではありません。なぜなら、他の市町村(浦添市)との広域処理を推進することを決定した地方公共団体としては当たり前の事務処理になるからです。しかし、6番目と7番目のハードルをクリアすることはかなり難しい事務処理になります。なぜなら、2村には他の市町村よりも公共の発想が足りないからです。
6番目のハードルについては、 2村の溶融炉が国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例がないことを考えると、浦添市との広域処理を前提にした場合は、絶対に再稼動を回避しなければならないことになります。
しかし、2村がこの6番目のハードルをクリアしなければ、今年度中に7番目のハードルをクリアすることはできないことになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村が7つのハードルをクリアした場合を想定して作成した資料です。
このブログの読者の皆さんは、このことについては十分に理解していただいていると思いますが、浦添市から見た場合は、①広域組合を設立する前に2村の焼却炉の長寿命化を実施することは必須条件であり、2村にとっては、②焼却炉の長寿命化を実施する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止することが唯一の選択肢になります。
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もしかすると、これ以外に選択肢があるかも知れませんが、その選択肢がどのようなものであっても、地方財政法第2条第1項の規定により、浦添市の財政に累を及ぼすような選択肢であってはならないことになります。そして、廃棄物処理法第6条第3項の規定により、その選択肢は浦添市のごみ処理計画との調和を確保していなければならないことになります。
いずれにして、上の画像にあるように2村が、①広域組合を設立する前に焼却炉の長寿命化を実施して、②焼却炉の長寿命化を実施する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止すれば、7つのハードルをクリアすることができます。
とは言え、このブログの管理者は沖縄県民ではありますが、1市2村の住民ではありません。したがって、1市2村の自治事務に対して直接的に関与することはできません。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村の事務処理がタイムオーバーになった場合を想定して作成した資料です。
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2村の村長が平成28年3月に施政方針を変更して浦添市との広域処理を推進することを決定してから、ほぼ3ヶ月が過ぎています。そして、7月3日には中城村の村長の任期が満了します。
仮に、それまでに2村が既存施設に対する施策を決定しなかった場合は、4ヶ月近く経っても適正な施策を決定することができなかったことになります。
平成28年度がインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限であることを前提にすれば、2村としてはそのような事務処理は絶対にできないことになります。なぜなら、広域処理のパートナーである浦添市の財政に累を及ぼすような事務処理を行っていることになるからです。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、1市2村の広域処理が白紙撤回になった場合を想定して作成した資料です。
2村のごみ処理施設(青葉苑)は平成15年度に供用を開始しています。今年で14年目になりますが、長寿命化を実施しない場合は老朽化が進行するので、通常であれば10年以内(平成38年度まで)に更新することになります。
したがって、2村はそれまでに必要となる財源(自主財源)を確保しておかなければならないことになります。
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2つ目の画像にあるように、2村は県内(本島)ではごみ処理費が突出して高い自治体ですが、広域処理が白紙撤回になった場合は、2村は来年度から10年間、毎年4億円以上の自主財源(基金)の積み立てを行っていくことになります。
しかし、この自主財源(基金)の積み立てに対する予算は2村の年間のごみ処理費に匹敵する予算になります。また、10年間は自主財源により焼却炉の老朽化対策を行っていくことになるので、溶融炉を休止した意味がほどんとなくなってしまいます。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、今年の3月に環境省が発表した平成26年度における全国の市町村のごみ処理費を踏まえて作成した資料です。
2村は溶融炉を休止したことで、4,000万円(人口1人当り1,600円)以上の経費を削減しています。しかし、広域処理が白紙撤回になると平成26年度から平成28年度の3年間しか経費を削減することができなかったことになります。
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2つ目の画像は、平成28年度において広域処理が白紙撤回になった場合を想定して作成した資料ですが、溶融炉を休止することで短期的なコストを削減することはできても、中長期的なコストを削減することはできないことになります。
市町村が国の施策や県の計画、市町村に適用される法令の規定等を無視して民間の発想で事務処理を行っていると、こういうことになります。そして、2村がこのまま民間の発想で事務処理を行っていると、2村の住民は平成29年度から県内(本島)の平均的なごみ処理費(人口1人当り約8,200円)の3倍近い負担を強いられることになります。 しかも、ごみ処理施設を更新するまでは、自主財源により焼却炉の老朽化対策を行っていくことになるので、住民の負担は更に増加することになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、1市2村が所有している既存施設と1市2村が共同で整備する広域施設との関係を整理した資料です。
広域処理を推進するための協議会や広域組合の設立、そして広域施設の整備に関するスケジュールは平成27度の段階でほぼ決定しています。しかし、1市2村は今年度中に既存施設に対する施策を決定してインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定しなければなりません。
なお、平成31年度に1市2村が広域組合を設立すると、1市2村が所有している既存施設は広域組合の既存施設になります。
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インフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」は、1市2村が所有している既存施設に対する計画になりますが、この計画には既存施設の更新計画が含まれています。したがって、今年度中に「行動計画」を策定しなければ、来年度から広域施設を整備するための「地域計画」の策定に着手することができないことになります。
仮にそうなった場合は、浦添市は単独更新を前提にして「行動計画」を策定しなければならない状況になってしまいます。もちろん、その場合は2村も単独更新を前提として「行動計画」を策定しなければならない状況になってしまいます。
しかし、2村が6月までに既存施設に対する施策を決定しなかった場合は、12月までに広域処理を前提にした「行動計画」を策定するための予算の見通しを立てることができなくなるので、1市2村による広域処理は協議会を設立する前に白紙撤回ということになってしまいます。
最後に、下の画像をご覧下さい。
2村の職員が平成27年度までと同じように民間の発想で事務処理を行っている場合は、今年度中に広域処理を推進するための7つのハードルをクリアすることはできません。
下の画像の一番下にあるインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」については、平成26年3月に2村の村長がごみ処理計画を改正したときから平成28年度が策定期限であることが決定していました。
しかし、2村の村長は平成26年度から法令(地方財政法第8条)に違反して溶融炉の休止(所有財産の不適正な運用)を続けています。そして、平成28年度で供用開始から14年目になる焼却炉の長寿命化計画も策定していません。
沖縄県内(本島)において、供用開始から14年目になってもごみ処理施設の長寿命化計画を策定していない市町村は2村だけです。
したがって、平成28年度においても2村の職員が民間の発想で事務処理を行っている場合は、ほぼ間違いなくこのような結果になります。
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問題は浦添市がどの時点で広域処理の白紙撤回(単独更新)を決断するかということになりますが、このブログの管理者は中城村の村長の任期が満了したとき(7月3日)になると考えています。
なぜなら、中城村の村長は平成26年度から2年以上法令違反(地方財政法第8条違反)を是正しないまま任期を満了することになるからです。
【参考資料】
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国は市町村のごみ処理計画に対して技術的援助と財政的援助を行っていますが、これらの援助は基本的に都道府県を経由して行っています。
上の画像は、平成21年度から平成28年度までの国の技術的援助に関する具体的な「施策」を整理した資料です。
国はこれらの「施策」を都道府県に通知して都道府県が市町村に周知しています。しかし、2村はインフラ長寿命化基本計画に関する「施策」以外はことごとく無視しています。そして、平成26年度からは正々堂々と法令(地方財政法第8条)に違反して事務処理を行っています。
したがって、2村が平成28年度にインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定しなかった場合は、2村は完全に民間の発想で事務処理を行っていることが証明されることになります。
広域処理の成功を祈ります。