沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(7つのハードル)概要版

2016-06-06 10:10:53 | ごみ処理計画

この記事は、平成28年度に2村がクリアしなければならない7つのハードルに関する記事の概要版です。

インフラ長寿命化基本計画

(注)平成28年度は平成25年度に決定しているインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっています。そして、市町村が策定するごみ処理施設に関する「行動計画」には更新計画が含まれており、各市町村における課題や中長期的なコストの見通し等を記載しなければならいことになっています。

(注)平成26年3月に2村がごみ処理計画を改正した時点では、他の市町村との広域処理については検討課題から除外していたため、2村がクリアしなければならないハードルは上の画像の右側の4つだけでした。しかし、溶融炉を廃止しないで休止しているために、平成27年度の時点ではもう1つハードル(地方財政法第8条)が追加されて5つになっていました。 

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(注)2村の村長は平成28年3月に施政方針を変更して浦添市との広域処理の推進を決定しています。このため、平成28年度においては廃棄物処理法第6条第3項と地方財政法第2条第1項という2つのハードルが追加されて、合計で7つになっています。

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(注)平成26年度と平成27年度の2村は民間の発想で事務処理を行っていたので、最初の4つのハードルについては無視していました。そのために、法令違反(溶融炉の休止)についても是正をしないでいました。しかし、今年度中に広域処理を前提としたインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定しなければなりません。このことは、平成28年度においては2村が公共の発想で事務処理を行わなければならないことを意味しています。

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(注)仮に2村が平成28年度も民間の発想で事務処理を行った場合は、適正な「行動計画」を策定することができなくなります。しかし、これまで一貫して公共の発想で事務処理を行ってきた浦添市は適正な「行動計画」を策定することになります。したがって、広域処理を白紙撤回して単独更新を前提とした「行動計画」を策定することになります。

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(注)浦添市は法令を遵守して事務処理を行ってきています。また、国の施策や県の計画に適合する事務処理を行ってきています。したがって、平成28年度におけるハードルは、広域処理を前提とした「行動計画」の策定だけになります。しかし、「行動計画」の策定には最低でも3ヶ月程度の期間が必要になります。また、2村が既存施設に対する施策を決定してから中長期的なコストの見通しを立てるまでには6ヶ月程度の期間が必要になります。そうなると、2村は遅くとも6月までには既存施設に対する施策を決定しなければならないことになります。

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(注)1市2村が今年度中に適正な「行動計画」を策定するために、2村が法令違反を是正して国の施策や県の計画に適合する施策を決定することは当たり前のことですが、広域処理を前提にした場合は、廃棄物処理法第6条第3項と地方財政法第2条第1項というハードルをクリアしなければなりません。ただし、2村が休止している溶融炉は国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉なので、単純に再稼動をすることはできない状況になっています。

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(注)最初の5つのハードルをクリアするための具体的な施策は、2村の村長が広域処理の推進を決定した段階で自動的に決定していることになります。したがって、2村にとって重要なハードルは最後の2つのハードルになります。

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(注)浦添市から見た場合は、広域組合を設立する前に2村の焼却炉の長寿命化を実施することは必須条件になります。そして、2村としては焼却炉の長寿命化を実施する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止することが唯一の選択肢になります。なお、2村の焼却炉は流動床炉であるため一般的なストーカ炉に比べると塩分濃度の高い焼却灰(飛灰=ばいじん)が排出されます。このために、外部委託により代替措置を講じることは、浦添市の財政に累を及ぼすような施策になるので、選択肢から除外しなければなりません。

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(注)2村が7つのハードルをクリアできなかった場合は、広域処理を白紙撤回して自主財源により単独更新を行うことになるので、平成29年度から40億円以上の自主財源(基金)の積み立てが必要になります。

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(注)2村は県内(本島)では突出して住民1人当たりのごみ処理費が高い自治体ですが、広域処理が白紙撤回になると、これから10年間はごみ処理費に匹敵する自主財源(基金)の積み立てを行っていくことになります。しかも、自主財源により焼却炉の老朽化対策を行っていかなければならないので、住民の負担は更に増加することになります。

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一般廃棄物処理実態調査結果(平成28年3月25日)

(注)2村は溶融炉を休止したことで4,000万円(住民1人当り1,600円)以上の経費を削減していますが、広域処理が白紙撤回になると毎年4億円以上の自主財源(基金)の積み立てが必要になります。そして、自主財源により焼却炉の老朽化対策を行っていくことになります。そうなると、2村の住民は平成29年度から県内(本島)の平均的なごみ処理費(住民1人当り約8,200円)の3倍近いごみ処理費の負担を強いられることになります。

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(注)2村が平成28年度から公共の発想で事務処理を行った場合はこのようなスケジュールになります。したがって、①今年度中に適正な「行動計画」を策定することができたとしても、②平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止して、③平成30年度に国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施しなければ、「行動計画」に即して事務処理を行うことができなかったことになるので、その場合も広域処理は白紙撤回ということになります。

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(注)2村が平成28年度も平成27年度までと同じように民間の発想で事務処理を行っている場合は、ほぼ間違いなく既存施設に対する施策の決定を先送りすることになります。しかし、その場合は今年度中に適正な「行動計画」を策定することができなくなるので、浦添市としては単独更新を前提とした「行動計画」を策定しなければならない状況になってしまいます。

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(注)市町村のごみ処理計画に対する国の施策は、都道府県を通じて周知されることになっていますが、2村は平成21年度から国の施策をことごとく無視してきています。そして、平成26年度からは法令違反も無視して溶融炉の休止を続けています。しかも、平成28年度で供用開始から14年目を迎える焼却炉の長寿命化計画もまだ策定していません。しかし、平成28年度は「行動計画」の策定期限になっています。

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【結論】

(1)インフラ長寿命化基本計画に基づいて、1市2村は今年度中に広域処理を前提とした適正な「行動計画」を策定しなければならない。

(2)浦添市のために2村は12月までに「行動計画」を策定するための中長期的なコストの見通しを立てなければならない。

(3)平成27年度まで国の施策や県の計画を無視してきた2村が中長期的なコストの見通しを立てるためには6ヶ月程度の期間が必要になる。

(4)2村は供用開始から14年目になっても焼却炉の長寿命化計画を策定していない。

(5)7月3日に中城村の村長の任期が満了する。

以上により、2村が中城村の村長の任期が満了する前(6月まで)に法令違反を是正して既存施設に対する施策(長寿命化計画を含む)を決定しなかった場合は、平成28年度も民間の発想で事務処理を行っていることになるので、浦添市との広域処理は白紙撤回になると考えます。

広域処理の成功を祈ります。