沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その1)※平成27年度まで

2016-06-16 17:51:19 | ごみ処理計画

平成28年度から沖縄県の第四期廃棄物処理計画がスタートしました。

第四期沖縄県廃棄物処理計画(平成28年度~平成32年度)

そこで、今日は中北組合に対する沖縄県の責務について考えてみます。

まずは、下の画像をご覧下さい。

これは、廃棄物処理法における都道府県の責務に関する規定を整理した資料です。

このように、沖縄県には、①県内の市町村に対して市町村が適正なごみ処理を行うように技術的援助を与える責務と、②県が策定した廃棄物処理計画の達成を図るために必要な措置を講じる責務があります。また、県の廃棄物処理計画については、③国にも達成を図るために必要な措置を講じる責務があります。したがって、国が県の廃棄物処理計画を無視して事務処理を行っている市町村に対して財政的援助を与えた場合は、国が廃棄物処理法第5条の6の規定に違反することになります。

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下の画像は、上の画像を図解にした資料です。

都道府県によって廃棄物処理計画の中味は多少異なりますが、都道府県が策定する廃棄物処理計画は廃棄物処理法第5条の5の規定に基づいて廃棄物処理法の基本方針に即して策定しなければならないことになっています。

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【廃棄物処理法第5条の5】

都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画(以下「廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。

下の画像は、中北組合に対して沖縄県が不適正な技術的援助を行っている場合を想定して作成した資料です。

中北組合は平成26年度から不適正な事務処理を行っており、平成27年度も事務処理の適正化を行っていません。しかし、沖縄県は中北組合に対して何らかの技術的援助を行っているはずです。したがって、県が組合に対して不適正な技術的援助を与えている可能性は否定できません。

沖縄県も日本の廃棄物処理法が適用される都道府県なので、沖縄県において実際にこのような技術的援助が行われているはずはないと考えますが、仮に、沖縄県においてこのような技術的援助が行われているとすれば、中北組合が不適正な事務処理を行っている理由がすんなりと理解できます。

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下の画像は、沖縄県が廃棄物処理法第4条第2項の規定に基づいて中北組合に対して与えるべき適正な技術的援助を整理した資料です。

中北組合が平成26年3月にごみ処理計画を改正するときに、沖縄県が適正な技術的援助を与えていれば、平成26年度から不適正な事務処理を行うことはなかったはずですが、実際は平成27年度まで不適正な事務処理を行っています。

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下の画像は、沖縄県の技術的援助と中北組合の対応を整理した資料です。

普通であれば、県の廃棄物処理計画を無視して不適正な事務処理を行っている中北組合に対して一番左の事務処理が行われていることになりますが、その場合は県の是正の勧告によってすでに中北組合の事務処理は適正化されているはずです。したがって、適正化されていない理由は、中北組合が県の是正の勧告を拒否しているか右の2つの事務処理のどちらかということになります。

仮に県の事務処理が右の2つのどちらかだった場合、県は故意又は重大な過失によって不適正な事務処理を行っていたことになるますが、このブログの管理者は真ん中の可能性は極めて少ないと考えています。なぜなら、他の市町村は適正な事務処理を行っているからです。しかし、一番右の事務処理が行われているとすると、沖縄県においては各市町村が県から見放された状態で事務処理を行っていることになります。ただし、そうなると県が廃棄物処理法の規定に違反して事務処理を行っていることになってしまいます。 

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下の画像は、平成27年度までの中北組合の事務処理と沖縄県の事務処理を整理した資料です。

このように、中北組合の不適正な事務処理は平成27年度まで適正化されていません。そして、県の廃棄物処理計画を全く無視して事務処理を行ってきたことになります。そして、沖縄県は中北組合に対して適正な技術的援助を行わずに、県の廃棄物処理計画を達成するために必要な措置も講じていなかったことになります。

沖縄県の廃棄物処理計画は中北組合のごみ処理計画と一体となって取り組む計画になっていますが、中北組合は供用開始から13年目になってもごみ処理施設の長寿命化計画を策定していません。そして、平成26年度から最終処分場の延命化を図ることなどは全く考えずに溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を続けています。

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下の画像は、上の画像にある県の廃棄物処理計画の概要に対する中北組合の考え方を整理した資料です。 

中北組合は違うというかも知れません。しかし、県から見た場合はこのように考えていることになります。

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下の画像は、中北組合の法令違反(地方財政法第8条違反)に対する沖縄県の考え方を整理した資料です。 

画像の左にあるように、沖縄県が溶融炉を休止している中北組合の事務処理を法令に適合する適正な事務処理と考えている場合は、県が市町村に対してごみ処理施設の長寿命化を要請する法的根拠を失うことになります。そして、国の長寿命化の要請には従わないことになり、県内の市町村に対して県の廃棄物処理計画との連携・協力は求めないことになってしまいます。したがって、県は県が策定した廃棄物処理計画を自ら否定することになってしまいます。

中北組合は平成27年度においても法令違反を是正しないままでいました。このことは、沖縄県が中北組合に対して適正な技術的援助を行っていなかった証拠でもあります。なぜなら、県が適正な事務処理を行っていれば、法令違反に対する是正の勧告を行っていたはずであり、中北組合は溶融炉を再稼動するか廃止していたはずだからです。

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下の画像は、中北組合の事務処理に対する沖縄県の考え方を整理した資料です。

沖縄県も中北組合と同じように民間の発想で事務処理を行っている場合は、中北組合は県が許可を与えている民間の廃棄物処理業者ということになるので、左側の事務処理を行う可能性があります。

しかし、市町村のごみ処理は市町村の自治事務なので、沖縄県といえども、県が勝手にルールを変更することはできません。 

このブログの管理者は、沖縄県の「テーゲー文化」は嫌いではありません。むしろ、好きな方です。しかし、沖縄県の地方公共団体が公私を混同して「テーゲーな事務処理」を行うようになったら、大嫌いになると思います。というよりも、怖くて沖縄県民でいることができなきなくなると思います。

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下の画像は、地方公務員法と沖縄県職員服務規程から県の職員の事務処理に関する部分を抜粋した資料です。

地方公務員である沖縄県の職員が法令を遵守して事務処理を行うことは当たり前のことですが、中北組合を特別扱いして他の市町村と異なる技術的援助を与えた場合は、不誠実かつ不公正な事務処理を行っていることになるので服務規程に違反することになります。

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下の画像は、環境省の循環型社会形成推進交付金交付要綱から交付対象地域に関する部分を抜粋した資料です。

このように、中北組合が内地の自治体であった場合は、そもそも国の補助金を利用することができない自治体になります。しかし、沖縄県の自治体ということで、人口5万人以上の自治体という扱いを受けて(国の補助金を利用して)ごみ処理施設を整備しています。したがって、内地の人口5万人以下の自治体と違って、広域処理を行わなくても国の補助金を利用してごみ処理施設の長寿命化や更新を行うことができます。しかし、中北組合は平成26年度から県の廃棄物処理計画や廃棄物処理法の基本方針に適合しない事務処理(しかも、法令に違反する事務処理)を行うことによって、その権利を自ら放棄しています。このため、人口の少ない自治体が広域処理を条件に国の補助金を利用するという内地における一般的な「広域処理のスキーム」は通用しないことになります。

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下の画像は、平成10年代に県内(本島)でごみ処理施設を整備した自治体が長寿命化計画を策定した時期を策定時期の早い順に整理した資料です。

なお、計画策定は那覇市南風原町環境施設組合を除いて長寿命化を実施した前年度に行われているという前提で作成しています。

ちなみに、供用開始から10年目に長寿命化計画を策定している浦添市と那覇市南風原町環境施設組合は中北組合と同じ「焼却炉+溶融炉」方式を採用しています。

したがって、中北組合の事務処理を沖縄県が適正な事務処理と考えている場合は、浦添市や那覇市南風原町環境施設組合は、国の補助金を利用して焼却炉だけを長寿命化する計画を策定することができたことになります。そして、中北組合と同じように溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行うことができたことになります。

このように、他の自治体は供用開始から10年目前後に長寿命化計画を策定しています。しかし、中北組合は供用開始から12年目に溶融炉を休止しています。そして、焼却炉については供用開始から13年目になっても長寿命化計画を策定していません。

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下の画像は、沖縄県に対する国の技術的援助と沖縄県による中北組合の事務処理の適正化を整理した資料です。

ちなみに、中北組合はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定に関する内閣官房と総務省の技術的援助が行われている間にごみ処理計画を改正して溶融炉を休止しています。そして、上の画像にあるように平成27年度(13年目)になってもごみ処理施設の長寿命化計画を策定していません。

今年の3月に総務省が「長寿命化計画」を策定していない自治体に対して早急に策定するように勧告していますが、既に「長寿命化計画」を策定している自治体は、今年度中に中長期的な維持管理コストや更新コストの見通し等を記載した「行動計画」を策定すればよいことになります。しかし、中北組合はまだ「長寿命化計画」を策定していないので、平成28年度に「行動計画」を策定して、遅くとも国(環境省)が「老朽化が著しくなる」としている平成29年度(15年目)までには「長寿命化計画」を策定しなければならないことになります。ただし、中北組合が平成28年度においても事務処理を適正化しない場合は焼却炉の長寿命化を中止して自主財源によりごみ処理施設を更新する「行動計画」を策定することになってしまいます。もちろん、浦添市との広域処理も白紙撤回になってしまいます。

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平成26年度から沖縄県が中北組合に対してどのような技術的援助を行ってきたのかは分かりません。しかし、沖縄県が中北組合に対して県の廃棄物処理計画の達成を図るために必要となる措置を講じることができなかったことだけは分かっています。

その2に続く