沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合に対する沖縄県の責務を考える(その8)※Wスタンダード

2016-06-27 09:59:39 | ごみ処理計画

その8は、沖縄県の事務処理のWスタンダードについて書きます。

その前に、その7の記事で使用した下の画像(2つ)をもう一度確認して下さい。

沖縄県は中北組合が平成26年3月にごみ処理計画を改正する前に、同組合に対して間違いなく技術的援助を与えています。そして、中北組合は平成26年度から市町村として不適正なごみ処理を行っていますが、沖縄県は平成27年度まで適正化を図るための技術的援助を与えていません。

したがって、沖縄県は中北組合が平成26年度と平成27年度において一般廃棄物の不適正な処理は行っていない(適正な処理を行っている)と判断していたことになります。


中北組合に対する沖縄県の技術的援助が適正な事務処理であるとすると、このように沖縄県の廃棄物処理計画は単なる「絵に描いた餅」になり、県内の市町村のごみ処理計画は規範になる計画がなくなるので、完全に「流動化」することになります。 

原寸大の資料(画像をクリック) 

 

下の画像は、上の資料の糸満市と豊見城市のごみ処理計画の「流動化」に関する資料です。

サザンクリーンセンター協議会の前のいわゆる「南廃協」の時代に、糸満市と豊見城市は、一度協議会から離脱しています。それを乗り越えて今は3市3町による最終処分場を「輪番制」で整備して行くことを決めています。しかし、糸満市と豊見城市が中北組合に対する県の技術的援助の内容を詳しく知った場合は、再度、離脱に関する検討を始めるかも知れません。

なぜなら、中北組合のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合する適正なごみ処理計画であるとした場合は、最終処分場や溶融炉の整備を行わずに焼却灰の民間委託処分を続けていても、焼却炉の更新や新設が可能になるからです。そうなると、南城市や他の3町も場合によっては最終処分場の整備を中止するかも知れません。

ちなみに、サザンクリーンセンター協議会が整備を進めている最終処分場は県が整備を進めている処分場と同じ屋根付きの豪華な処分場なので、工事費がかなり高額になると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

ここからが、本題です。

下の画像をご覧下さい。

これは、沖縄県(環境整備課)が毎年発表している「沖縄県の廃棄物対策の概要」から、平成23年度から平成26年度までの「ごみ処理施設」の概要に関する部分を抜粋した資料です。

なお、文字が読みづらい場合は原寸大の資料を拡大してご覧いただくか県の公式サイトにアクセスして確認して下さい。

廃棄物対策の概要(沖縄県環境部環境整備課)

この資料は、沖縄県が県民(市町村を含む)に対して県内のごみ処理の状況を発表している資料になりますが、県民(このブログの管理者を含む)に対しては平成26年度においても中北組合は溶融炉を稼動して焼却灰の溶融スラグ化を行っていたことになっています。ちなみに、一番下の平成27年3月末現在の状況は、平成28年1月29日に県が県の公式サイトにアップしています。

原寸大の資料(画像をクリック)

次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、環境省が毎年発表している全国の市町村に対するごみ処理の実態調査の結果から、上の資料にある6市村の溶融炉の整備状況を抜粋した資料です。

なお、この実態調査の結果は、環境省が各都道府県からの報告に基づいて作成しています。そして、平成26年度の調査結果については平成28年3月25日に公表されています。

この資料は極めて重要な資料なので、環境省の公式サイトにあるエクセルの表をそのまま画像にしてアップしています。疑問を感じた方は直接環境省のデータにアクセスして確認して下さい。

一般廃棄物処理実態調査結果(環境省)

このように、平成25年度においては県の「廃棄物処理の概要」にあるように6市村の溶融炉の全てが稼動していることになっています。したがって、県と環境省が発表しているデータは同じデータということになります。

問題なのはこのデータです。環境省が発表している平成26年度の調査結果によると6市村の中で中北組合の溶融炉は「無し」になっています。つまり、この調査結果が正しいデータだとすると、沖縄県は環境省に対して中北組合は溶融炉を廃止したと報告していることになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、上の3つの画像のデータを整理した資料です。

このように、沖縄県は中北組合が溶融炉を休止していることを承知しているにも関わらず、県民(市町村を含む)に対しては稼動しているという情報を流しています。そして、環境省には廃止していると報告しています。したがって、県民(市町村を含む)の多くは中北組合が法令に違反して不適正な事務処理を行っていることを知らないことになります。

また、環境省は県から中北組合の溶融炉は廃止しているという報告を受けていることになるので、中北組合が地方財政法第8条の規定に違反して事務処理を行っている(溶融炉を所有したまま休止している)ことを知らないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、上の画像にある沖縄県の不適正な事務処理に関する原因を整理した資料です。

沖縄県の職員は、県の服務規程に従って全体の奉仕者として誠実かつ公正に事務を遂行しなければならないことになっています。しかも、その7の記事の最後に書いたように、県の職員は県民所得の約2.5倍の所得があります。したがって、このような事務処理を単なる「過失」と考えることはできません。しかし「故意」に隠蔽したいと考えるほど重大なデータとは思えません。

このブログの管理者は、この事務処理については県の職員に「重大な過失」があると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、沖縄県が発表している廃棄物対策の概要から、平成25年度と平成26年度の焼却炉と溶融炉の整備状況に関する部分を抜粋した資料です。 

のように、沖縄県は平成26年3月に島尻環境美化センターの焼却炉が停止(老朽化に伴い廃止) したことは県民に伝えていますが、中北組合が平成26年3月に青葉苑の溶融炉を休止したことは県民に伝えずに稼動していると伝えて、環境省には廃止したと伝えていることになります。

したがって、中北組合に対する沖縄県の技術的援助については、普通では考えられない何か(故意に限りなく近い重大な過失)があると考えています。 

原寸大の資料(画像をクリック) 

下の画像は、環境省が発表している平成26年度の焼却施設の整備状況に関する調査結果の中から溶融炉を整備していない沖縄県の一部事務組合に関する部分を抜粋した資料です。

このように、平成26年度においては島尻消防清掃組合は焼却施設を整備していない一部事務組合になっています。そして、中北組合は溶融炉を整備していない他の一部事務組合と同じ状況になっています。

なお、本部町今帰仁村清掃施設組合と比謝川行政事務組合は最終処分場を整備しています。また、東部清掃施設組合と金武地区消防衛生組合は廃棄物処理法の基本方針に従って最終処分場の整備を推進しています。しかし、中北組合は最終処分場の整備を放棄して溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行っています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、中北組合が平成26年3月にごみ処理計画を改正する前に、県の職員が組合に与えた技術的援助に関する資料です。

普通に考えれば、左側のスキームに従って平成26年度には中北組合の不適正な事務処理が適正化されていることになりますが、実際は平成27年度においても適正化されていません。そうなると、右側のようなスキームを考えざるを得ないことになります。

なぜなら、平成27年度においても、中北組合は溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行っていたからです。そして、そのことを県の職員は承知していたはずだからです。

これは、あくまでも一般論ですが、右側のスキームにおいて中北組合の職員が廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画を十分に理解している職員であれば県の職員の不適正な技術的援助をそのまま信用することはないと考えます。そして、その場合は、県の職員の不適正な技術的援助を拒否又は無視することになると考えます。

また、溶融炉を休止するかしないかといったレベルの事務処理において、中北組合の職員が県の職員と計策的に事務処理を行う必然性はないと考えています。

しかし、結果的に県の職員も中北組合の職員も溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っていることについては、適正な事務処理と判断していることになります。このブログの管理者はその理由を、①中北組合の職員が民間の発想で事務処理を行っていて、②県の職員が廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画を重視していないからだと考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

下の画像は、あくまでもこのブログの管理者が想像している平成25年度における沖縄県の中北組合に対する技術的援助の概要を整理した資料です。

なお、この資料は沖縄県と中北組合の事務処理の結果から導き出した資料であり、その意味ではフィクションになりますが、このブログの管理者はドキュメンタリーに限りなく近いフィクションだと考えています。 

この技術的援助のうち、もしかすると地方財政法違反に関することは、沖縄県の職員も中北組合の職員も知らなかった可能性があると考えています。なぜなら、地方公務員が法令に違反する事務処理を正々堂々と行うことはできないと思っているからです。ただし、その他の技術的援助については、ほぼこのような感じだったと想像しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像(2つ)は、中北組合に対する沖縄県の技術的援助のうち、中北組合が国の補助金を利用する場合に関する技術的援助を想像して作成した資料です。

このブログの管理者は、沖縄県が中北組合が溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っていても、焼却炉の更新や新設に当って国の補助金を利用することができるという技術的援助は行っていなかったと考えています。

なぜなら、沖縄県の市町村であっても国の補助金を利用する場合は廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画を策定していなければならないことは、県の職員の常識であり、基本中の基本だからです。 

沖縄県の職員は、中北組合に対する技術的援助に当って、おそらく、廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画よりも、補助金適正化法の処分制限期間を経過していることを重視していたと考えています。そして、とりあえす、溶融炉を休止しても補助金を返還する必要はないという判断のもとで、溶融炉を休止するための技術的援助を与えていたと考えています。

そして、将来補助金を利用する状況になったときに改めて中北組合に技術的援助を与えるつもりでいたのではないかと考えています。

ただし、その技術的援助は、結果的に県が県の職員の判断で、①地方財政法の規定を除外して、②県の廃棄物処理計画の対象からも除外して、③長寿命化計画の策定を免除していたことになります。

中北組合の人口が急激に減少していて、浦添市のごみ処理施設の能力に余裕がある場合は、もしかするとこのようなスキームも成立するかも知れません。しかし、中北組合も浦添市も人口が増えています。そして、どちらもごみ処理施設の能力に余裕があるという状況ではありません。

したがって、中北組合が浦添市との広域処理を推進する場合であっても、県の職員はもちろん、県知事であってもこのような技術的援助はできないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、処分制限期間を経過した溶融炉を所有している市町村に対して沖縄県の職員が他の都道府県の職員と同じ考え方で技術的援助を行う場合を想定して作成した資料です。

ただし、浦添市の溶融炉は国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例の多い溶融炉を前提にしています。そして、中北組合の溶融炉は国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉を前提にしています。

最終処分場に余裕があるとはいえない沖縄県において、県の職員は市町村が整備している溶融炉は沖縄県における重要な社会資源だと考えているはずです。このブログの管理者は中北組合が人口の多い一部事務組合であったなら、県の職員は別な技術的援助を行っていたと考えています。しかし、県の職員はどのような場合であっても県の服務規程に従って全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を遂行しなければなりません。

したがって、浦添市や那覇市等に対する技術的援助と中北組合に対する技術的援助は基本的に同じ技術的援助でなければならないことになります。ただし、各市町村が整備しているごみ処理施設は同じ施設ではないので、技術的援助の具体的な内容は違ってきます。

このブログの管理者は、県は場合によっては国の技術的援助や専門家等の技術的援助を受けて、県内の市町村に対して各市町村の特性に応じた実行性のある技術的援助を与える責務があると考えています。上の資料はその前提で作成しています。 

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、中北組合に対する平成25年度における県の技術的援助と平成28年度における県の技術的援助を比較する意味で作成した資料です。

平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっています。沖縄県の市町村も例外なく「行動計画」を策定することになっています。したがって、平成28年度においては、中北組合の焼却炉と溶融炉の長寿命化に関する技術的援助が県(環境整備課)の重要な事務処理になると考えています。 

この技術的援助は、かなり抽象的な技術的援助になりますが、中北組合がこれらの事務処理をクリアしなければ、浦添市との広域処理を推進することはできません。また、広域処理が白紙撤回になった場合であっても、これらの事務処理をクリアしていなければ、自主財源によりごみ処理施設の更新又は新設を行わなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、平成28年度における中北組合に対する県の技術的援助の内容をより具体的に整理した資料です。

沖縄振興特別措置法は平成33年度が期限になっています。したがって、中北組合と浦添市は平成31年度には国の補助金を利用して広域施設を整備することができる広域組合を設立する必要があると考えます。そして、沖縄県は広域処理を推進するための措置として中北組合に対して適正な技術的援助を与える必要があると考えます。

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【沖縄県の問題点】 

下の画像は、平成27年度までの沖縄県の事務処理の問題点を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

沖縄県民として平成28年度にこれらの問題が解決することを強く希望します。

その9に続く