沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合(中城村・北中城村)の不適正な事務処理(その1)※中北組合の無視の履歴

2016-06-12 11:31:40 | ごみ処理計画

浦添市との広域処理に関する記事は一休みして、今日は、中北組合(中城村・北中城村)の不適正な事務について書きます。

その前に、下の画像をご覧下さい。

これは、1市2村の広域処理に関する記事をまとめた資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

中北組合(中城村・北中城村)は平成27年度まで民間の発想で不適正な事務処理を行ってきました。しかし、平成28年度からは公共の発想で適正な事務処理を行わなければ、広域処理を推進することはできないことになります。

なお、今日の記事に使用する画像は公正を帰すために原本からそのまま抜粋した画像を使用します。ただし、赤線はこのブログの管理者が引いています。 

まず、下の画像をご覧下さい。

これは、沖縄県廃棄物処理計画から、焼却灰の資源化に関する部分を抜粋した資料です。

第三期沖縄県廃棄物処理計画(平成23年3月改正)

このように、沖縄県廃棄物処理計画は、溶融炉の整備を推進して最終処分場の延命化を図る計画になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

では、下の画像をご覧下さい。

無視(1)不適正

これは、北中城村のごみ処理計画から計画の位置付け焼却灰の資源化に関する部分を抜粋した資料です。

なお、中北組合と中城村はごみ処理計画をネット上には公開していません。しかし、中北組合は2村が設立している一部事務組合なので、2村と組合のごみ処理計画は同じごみ処理計画として記事を書きます。

北中城村一般廃棄物処理基本計画(平成26年3月改正) 

 

このように、北中城村(中北組合・中城村)は、沖縄県の廃棄物処理計画を上位計画としてごみ処理計画を改正しています。そして、平成26年度から平成35年度までは焼却灰の溶融処理を行わずに民間委託処分を行うことを決定しています。したがって、この計画は上位計画である県の廃棄物処理計画を完全に無視した計画になっています。

なお、青葉苑の焼却炉は「飛灰」のみが排出される流動床炉ですが、この計画は、なぜか青葉苑の焼却炉が「焼却灰」と「飛灰」が排出されるストーカ炉であるかのような計画になっています。したがって、この計画には不正確なところがあります。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

  

無視(2)(3)不適正

下の画像は、廃棄物処理法の基本方針から最終処分場の整備に関する部分(左)とごみ処理施設の長寿命化に関する部分(右)を抜粋した資料です。 

廃棄物処理法基本方針(平成22年12月全部変更) 

           

廃棄物処理法の規定により、沖縄県の廃棄物処理計画は廃棄物処理法の基本方針に即して策定されています。したがって、県の計画を無視して策定している北中城村(中北組合・中城村)のごみ処理計画は、廃棄物処理法の基本方針における重要課題である最終処分場の整備に関する計画やごみ処理施設(溶融炉)の長寿命化に関する計画も無視した計画になっています。 

なお、中北組合(中城村・北中城村)はこの時点で国の補助金を利用する権利を自ら放棄していることになります。なぜなら、国は県の計画や国の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定している市町村に対して財政的援助を与えることはできないからです。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

 無視(4)不適正

中北組合は防衛省の補助金を利用してごみ処理施設を整備しています。 下の画像はその防衛省の財産処分の承認基準から財産の一時使用に関する部分を抜粋した資料です。

防衛省財産処分承認基準

中北組合は平成26年度から溶融炉を休止していますが、このことは、溶融炉のために補助金を利用して増築した建物部分を補助目的と異なる目的で使用していることになります。そして、2年以上その状態を続けています。しかし、防衛省の財産処分の承認基準においては、そのような行為は建物の一時使用には該当しない(財産処分に該当する)ことになります。したがって、中北組合は財産処分の承認手続を2年以上無視していることになります。

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無視(5)不適正

下の画像は、防衛省の財産処分の承認基準から「包括承認事項」に対する基本的な考え方に関する部分を抜粋した資料です。

「包括承認事項」は経過年数が10年を超えている財産の処分(主として転用)を容易にするための特例措置ですが、中北組合は溶融炉を単に休止したままにしています。そして、建物部分については溶融炉を休止する前と同じ状態になっています。したがって、この特例措置についても中北組合は無視していることになります。

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無視(6)不適正

下の画像は防衛省の財産処分の承認基準から財産処分の前提条件に関する部分を抜粋した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

中城村と北中城村の行政区域において溶融炉と同様の社会資源は整備されていません。しかし、中北組合は2年前から溶融炉を休止して溶融炉のために整備した建物部分を補助目的と異なる目的で使用しています。したがって、中北組合はこの前提条件も無視していることになります。

<参考資料①>

下の画像は、規制改革会議が行った防衛省に対するヒアリングの議事録から「包括承認事項」が適用される財産処分に関する防衛省の考え方を抜粋した資料です。

規制改革会議(防衛省ヒアリング議事録)

 

 

このように、ごみ処理施設の経過年数が10年を超えていれば無条件で「包括承認事項」が適用されるということにはなっていません。したがって、中北組合は溶融炉を休止する前に防衛省の財産処分の承認基準に基づいて承認手続を行わなければならなかったことになります。

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<参考資料②>

環境省財産処分承認基準

下の画像は、環境省の財産処分の承認基準から「包括承認事項」に関する部分を抜粋した資料です。

環境省も防衛省とほぼ同様の承認基準になっていますが、ごみ処理施設に対する財政的援助が多いので、前提条件は防衛省よりもより具体的になっています。いずれにしても、中北組合は平成26年度から補助金適正化法の趣旨や補助目的を無視してごみ処理施設を運用していることになります。

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無視(7)不適正

下の画像は、地方財政法第8条の規定です。

中北組合が「包括承認事項」が適用されるように代替措置を講じれば、地方財政法第8条の規定は適用されないことになりますが、組合は溶融炉の休止に当って焼却灰の民間委託処分を行うことにしています。つまり、組合はなんの措置も講じずに財産処分を行っていることになります。したがって、組合はこの法令に違反していることになりますが、2年以上も是正をしていないので、結果的に地方財政法第8条の規定を無視していることになります。

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無視(8)不適正

下の画像は、補助金適正化法第22条の規定です。

中北組合が適正な代替措置を講じていれば、この規定のただし書きの部分が適用されることになります。しかし、組合はなんの代替措置も講じていません。したがって、この法令に違反していることになりますが、2年以上も財産処分の承認手続を行っていないので、結果的に補助金適正化法第22条の規定も無視していることになります。

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無視(9)不適正

 下の画像は、地方自治法第2条第16項の規定です。

中北組合は地方財政法第8条の規定と補助金適正化法第22条の規定を無視することによって、結果的に法令に違反して事務処理を行っていることになります。そして、2年以上も法令違反を是正しないでいます。したがって、地方自治法第2条第16項の規定も無視していることになります。

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無視(10)不適正

下の画像は、中北組合の規約から法令遵守に関する部分を抜粋した資料です。

中城村北中城村清掃事務組合規約

中北組合の事務処理は廃棄物処理法の規定には適合しています。しかし、地方自治法の規定(第2条第16項)には適合していないので、組合は自ら制定した規約も無視していることになります。

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重要法令(1)

下の画像は、廃棄物処理法第6条第3項の規定です。

中北組合が浦添市との広域処理を推進する場合はこの規定が適用されることになりますが、この規定までも無視するようなことになると、広域処理を推進することはできないことになります。

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 重要法令(2) 

下の画像は、地方財政法第2条第1項の規定です。

 

この規定も広域処理を推進する場合に適用されることになりますが、廃棄物処理法第6条第3項の規定と同様に無視するようなことになると広域処理を推進することはできないことになります。 

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 重要法令(3)

下の画像は地方自治法第2条第14項の規定と地方財政法第4条第1項の規定です。 

 

仮に、中北組合が平成28年度も民間の発想で事務処理を行った場合は、この2つの法令の規定に違反することになります。

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関連資料

下の画像は、廃棄物処理法第5条の6の規定です。  

廃棄物処理法の規定により、国と都道府県は都道府県が策定した廃棄物処理計画の達成に必要な事務処理を行わなければならないことになっています。したがって、中北組合に対して適正な技術的援助を行わなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

下の画像は、沖縄県廃棄物処理計画(第三期)から溶融炉と最終処分場に関する部分を抜粋した資料です。

このブログの管理者は、県には県の廃棄物処理計画を達成するために、中北組合(中城村・北中城村)に対して適正な技術的援助を行う責務があると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

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原寸大の資料(画像をクリック)

  

原寸大の資料(画像をクリック)

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原寸大の資料(画像をクリック)

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、県は中北組合(中城村・北中城村)に対して平成26年度から県の廃棄物処理計画との整合性を確保することを求めていないことになりますが、仮に求めている場合は、中北組合は県の技術的援助も無視していることになります。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは 、ごみ処理に関する市町村の適正な事務処理の条件を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

市町村が国の財政的援助を受けない場合は、中北組合のように廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画を無視することができます。しかし、法令に違反して事務処理を行っている場合は不適正な事務処理を行っていることになります。

なお、市町村が国の財政的援助を受けずにごみ処理施設を整備する場合は、地方自治法第2条第16項の規定に基づいて、①住民の福祉を増進することや、②最少の経費で最大の効果を挙げることができなくなるので、それだけで不適正な事務処理を行うことになります。

その2に続く